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良妻賢母とは

・妻は三歩下がって夫を立てるべし
・夫の出世は妻(の尽くし方)次第
・妻たるもの、一人で家事育児を完璧にこなすのが当たり前
「良妻賢母」は、女子は社会にでる必要はないと言われ明治時代初期から使われた言葉です。
知識も不要とされ、学業や社会進出よりも子供を産んで、育て、家庭を守ることが重視されていました。
その時代の考えは、女性が結婚・出産後も働くのが当たり前となった今もほとんど変わっていません。
専業主婦=「良妻賢母」
兼業主婦=「悪妻」
このイメージは筆者が結婚したころは非常に大きく、女性が結婚すると周囲から「良妻賢母プレッシャー」を受けるのが当たり前でした。
しかし、現代は共働き世帯が増加しています。
今は「兼業主婦」でも良妻賢母であり、また将来的に幸せな老後を過ごせる可能性が高いです。
稼ぐ力のある「妻」は老後破綻を防ぐ

結婚や出産後も働き続ける妻を「悪妻」よばわりする根拠は、仕事のために家事や育児がどうしても手抜き気味になり、夫の身の回りの世話も十分ではなくなることでしょう。
しかし、年金制度が先細りする中、稼ぐ力のある妻は、老後破綻の予防に大きな役割を果たす「良妻」ではないでしょうか。
妻が仕事をしないことの経済的損失は非常に大きい
妻が仕事をしないことによる経済的損失は、約2億だと言われています。
公的機関などから出ているデータを見ると、それはあながち誇張ではありません。
労働政策研究機構の「ユースフル労働統計 2017 労働統計加工指標集」によれば、大卒、大学院卒でずっと正社員として働いた場合の生涯年収はおよそ2億1,670万円。
卒業後まったく働かないまま専業主婦となってしまうと、確かに単純計算で2億円以上の生涯賃金を得られない計算になります。(下表)

また、卒業後ずっとフルタイム非正規で働き続けた場合の生涯賃金は、正社員の約半分の1億1,850万円。
ブランクを経て短時間パートなどで復帰した場合はデータとして出ていませんが、おそらくもっと生涯賃金が低くなり、生活レベルや子どもの教育環境にも大きな差が出てくるでしょう。(下表)

また、こちらの表をご覧ください。

上のグラフでおわかりでしょうが、年齢が上がるほど正社員とパート、アルバイトとで年収の伸びに大きな開きが出てきます。
つまり、夫婦ともに正社員であることは、世帯収入の面でかなり有利だということです。
また、厚生年金を払っている会社員なら、国民年金に加え厚生年金も支給されます。
そうなれば、年金面でも有利になり、老後の不安は軽減されます。
どのような就業形態であれ、妻が働くと経済的にプラスとなる

もちろん、上のデータはあくまでも統計の結果であり、働き方や会社ごとの賃金、各家庭のお金の使い方により生活レベルや老後の金銭的事情は変わってきます。
しかし、少なくとも夫婦そろってずっと働き続けた方が、老後の生活に安心材料が多いということは間違いありません。
そう考えると妻がフルタイムの正社員を続けることがベストですが、仮にパートやアルバイトであっても働けば生涯賃金はプラスになり、老後資金の準備もしやすくなるのは確かです。
そのメリットを考えれば、妻が働く方がお得。
それに比べると、家事育児が行き届かないことは大した損失ではないでしょう。(執筆者:大岩 楓)