2019年1月から「NISA 口座簡易開設」が可能となりました。
NISAの開設手続きがスピーディーになり、早い場合は申込んで即日、NISAでの買付が行えます。
これで、思い立ったらすぐに口座開設してNISAで取引できるようになりました。
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これまでのNISA開設手続きと何が変わったのか、NISA口座簡易開設で何に注意しなければならないのかを解説します。
目次
これまでのNISA開設手続きと何が違うのか
NISA口座は1人につき1つの金融機関でしか申込・開設ができません。
NISAの申込があった金融機関は、NISAの二重開設にならないようにするため、税務署を通して他の金融機関でNISAが開設されていないか確認して、確認後にNISAの開設を行っていました。
この税務署への確認作業だけでも1~2週間かかっていたため、申込んだ金融機関でNISAの口座開設が完了して取引できるためには通常2~3週間程度必要でした。
しかし、2019年から始まったNISA 口座簡易開設では、税務署への確認作業がNISA口座開設の後に行われます。
1~2週間ほど必要だった税務署への確認が後回しにされるため、最短で即日、NISAを開設できるようになりました。
こうしてスピーディーになったNISA口座簡易開設ですが、注意点もあります。
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【注意点1】NISA口座簡易開設に未対応の金融機関もある
NISA口座簡易開設に対応しているのは、すべての金機関ではありません。
NISA口座簡易開設を利用するには、投資家はNISAを開設したい金融機関に「非課税口座簡易開設届出書」を提出します。
しかし、「非課税口座簡易開設届出書」を受付けていない金融機関もあります。
その場合、昨年までと同様、税務署での確認作業後にNISAが開設されるため、すぐにNISAを開設して取引はできません。
【注意点2】2018年のNISA口座を持っていると利用できない
2018年のNISA口座を保有している場合、NISA口座簡易開設は利用できません。
例えば、2018年A証券でNISA口座を持っているが、2019年からB証券でNISA取引をしたい場合、B証券に「非課税口座簡易開設届出書」は提出できません。
このケースでは、NISA口座の金融機関の変更という扱いになるため、金融機関の変更のための書類をA証券に提出した後にB証券でNISAの手続きをするという、少々複雑な手順を踏む必要があります。
【注意点3】NISAを重複開設すると、後から開設した方は無効
NISA口座簡易開設では、税務署での二重口座開設の確認が後回しにされるため、複数の金融機関で重複してNISAが開設されてしまう可能性があります。
万一、重複してNISAが開設された場合は、後から開設されたほうのNISA口座は無効になります。
無効になったNISA口座で、すでに買付が行われていた場合は、これらはすべて一般口座での買付と扱われます。
一般口座での売却益は、基本的に確定申告をする責任があります。
また、NISA口座が無効となるまでの間に、配当などが発生していた場合は、さかのぼって課税されます。
非課税というメリットのためにNISA口座開設を申込んだものの、重複開設となってしまった場合は、確定申告や追加で税金を払うなど想定以上の手間が強いられる可能性があるので注意が必要です。(執筆者:潮見 孝幸)