皆で支えるのが介護保険制度です。
40歳を過ぎると必然的に加入者(被保険者)として市町村(保険者)への納付(支払い)が開始されており、給料からの天引きや年金からの天引き(普通徴収で通知書により支払う人もいます)などで逃れられない状況です。
要介護者が介護保険制度で利用するサービスの料金の1割~3割を自己負担しますが、この介護保険料は次のように賄われています。
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目次
介護保険料の全国平均は、6,000円前後

年々、要介護認定、要支援認定を受ける人が多くなってきており、介護保険料も少しずつ上がる傾向にあります。
介護保険料の全国平均は6,000円前後です。
また、第1号被保険者と第2号被保険者によっても保険料の決められ方に違いがあり、さらに「保険者」である市町村独自で定められるため、市町村によっても違いがあります。
この幅は4,000~8,000円程度となっており、大きな差があることがわかります。
市町村で介護保険外のサービスが増え、その利用が増えれば介護保険サービスの支出が軽減されるかとは思います。
しかし、超高齢化社会となってしまっている日本の社会において、どこまで支えてけるのかは今後の課題ともいえます。
第1号被保険者(65歳以上の人)の介護保険料支払額
「保険者」である市町村が、3年ごとに策定する「介護保険事業計画」の予算の21%が第1号被保険者の納める保険料の総額です。
それを第1号被保険者の人数で単純に割ったものが、基準となる介護保険料です。
しかし、所得が違うのに同じ介護保険料であっては負担が大きく支払ができない人も出てくるため、第1号被保険者である本人や世帯の収入、合計所得などにより所得段階を設定し、保険料が計算されています。
所得段階を決めるのも、市町村(保険者)に任されており、6~15段階と市町村(保険者)によってそれぞれになっています。
第2号被保険者(40~64歳で健康保険に加入している人)の支払額
毎年、全国の介護保険サービスに費用がどれぐらいかかるかを見込み、第2号被保険者が1人あたり平均していくら負担するかを国が決めます。
その決まった金額を医療保険者(健康保険組合など)が、
を基準とし介護保険料が決定します。
このことから、健康保険と一緒に合わせて給料から天引きになっている人が大半です。
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給料から天引きされると、いくら支払っているのかが分かりにくいところですが、40歳になった月から間違いなく天引きされていますので、確認しておくことをおすすめします。
介護保険料の上昇を抑えるには、国民全体の協力も必要

2000年に始まった介護保険制度ですが、介護の負担は、当初の「家庭内の問題」から「社会全体の問題」として捉えられるようになりました。
介護保険制度が導入される以前は、家族で協力しあって何とか支え、厳しい状況の中で長男の嫁などが義母や義父の介護を強いられるといった傾向にありました。
嫁の仕事は家庭のことといった意識が根付いていたことも無関係ではないでしょう。
介護保険制度が開始されたことで、介護そのものは介護保険サービスに任せられるようになり、女性も男性も社会に出て働けることになるはずでした。
しかし、制度開始から20年近く経過した現在、介護サービス利用料の「自己負担2割~3割」が導入されています。
つまり、
負担費用がかさむことで介護保険サービスをうまく利用できない場合には、自分で介護を行うという物理的負担が増え、その結果、今後もまた介護離職などが増えてしまう可能性
があります。
さらに、要介護者は年々増加傾向にあり、それとともに保険料も上がってきています。
今後も上昇を続け、2025年度には7,000円台に、そして2040年度には9,000円台になるのではないかと予想されています。
思い返してみると、介護保険の本来の目的は、社会で要介護者を支えることでした。
介護があまり必要のない方でも、介護保険の介護サービスは安いからちょっと利用してみようという方もいます。
介護保険料を減らすために過剰な介護サービスの見直しも行われています。
必要な時に必要な介護を受けられるように、国民全体の協力が必要な時期なのかもしれません。(執筆者:佐々木 政子)