先日、介護保険は保険だから、介護が必要になったら保険金が入ってくると思っているご家族がいらっしゃいました。
介護が必要になった時の保険として40歳から支払っているのですから、当然の考え方といえます。あながち間違えではありません。
介護保険の利用については、まだまだ知られていない間違った理解をされている方も多い状況です。
そこで、介護保険を受け取るしくみと介護費用を抑えるためにまずは知っておいてほしい制度をお伝えしたいと思います。
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目次
介護保険の支給は実際どう受け取ってるの?
介護保険を利用することになった場合には、介護保険に適応している介護サービスに限りますが、介護保険が実際にかかった費用の7~9割の負担を担ってくれることになります。
このように、実際にお金を受け取ることができないため、介護保険は保険料を払うだけと思ってしまう理由はここにありそうです。
介護が必要になった時、厚生労働省が定める「支給限度額」の範囲が決まります。
この範囲を示すために介護が必要な状況に合わせた要介護度が決められます。
例えば、要介護度が軽度の要支援1の場合は、支給限度額は5万30円になります。
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ですからこの範囲内であれば実際に利用した介護サービス費用の1~3割の自己負担で利用することができます。
保険料も支払っているのに介護サービスの費用も支払うとなると二重の負担と感じてしまうかもしれませんが、介護保険料を納めているからこそ、費用の1~3割の負担で利用ができるのです。
要介護度が重くなればなるほど、介護サービスは必要になりますので、限度額の幅が広がり利用できるサービスも増えます。
実際にかかる費用の1~3割負担で多くのサービスを受けることができるようになります。
知っておくと安心「高額介護サービス費」
自己負担額が大きくなってきた場合は、負担を軽くするため「高額介護サービス費」の制度があります。
設定されている自己負担の上限額については、所得によって異なります。
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基準となっている上限額を超えた料金については超過分を払い戻しすることができます。
ご自身が忘れていても対象となった場合には後日、市町村から通知書が届きますので、申請忘れはない制度といえますが、心配な方は担当のケアマネージャーや市町村に確認しておくと安心です。
介護サービス費とは別の「居住費」と「食費」は自己負担
要介護度認定で、「要介護1」以上の判定になると、老人保健施設(特別養護老人ホーム)や特別養護老人ホームなどの施設が利用できます。
しかし、在宅で生活していくことが困難な人を対象とした特別養護老人ホームの新規入所は、要介護3以上に限定されていますので、ここは注意しておきたいポイントです。
施設を利用する際には、介護保険で設定されている介護サービス費のほかにも、「居住費」、「食費」、「日用品費」などがかかります。
居住費や食費、日用品費などは実際に利用した分だけ利用者が負担することとなります。
介護保険施設については月額6万円~10万円程度で利用することができるため、居住費と食費を負担していても、有料老人ホームに比べると介護費用の負担は軽くなります。
前年度の所得が厚生労働省が定める条件に当てはまる方は、居住費・食費の上限額(負担限度額)が定められ、費用負担が軽減されるという負担限度額の軽減制度があります。
前年度の課税状況等により利用者負担段階が分けられ、各段階ごとに減免額が定められています。
介護施設を利用する前に知っておきたい「負担限度額の軽減制度」
市町村長の窓口へ申請書を提出し、認定されると「介護保険負担限度額認定証」が交付されます。
利用する介護施設にこの「介護保険負担限度額認定証」を見せると居住費・食費の負担軽減を受けることができます。
在宅介護を頑張られている方も介護施設利用だからとあきらめないでください。
在宅介護の方が利用することができるショートステイ(短期入所生活介護)も介護施設となりますので「介護保険負担限度額認定証」が適用されます。
この制度は条件に該当しているからと言って特にお知らせなどは来ません。
ご自分で申請する必要がありますので、ぜひご確認してほしいと思っております。
また、持っているだけでも効力は発揮しません。必ず利用する介護施設に提示する必要があります。
負担限度額の認定を受けることで負担がかなり軽減されます
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介護保険の利用が1割~3割で利用できるということは、かなり安く利用ができると思ってしまうところです。
しかし、施設を利用した場合に自己負担である食費やお部屋代が加わると少々高く感じてしまう金額になります。
負担限度額の認定を受けることで、食費代もお部屋代金も負担がかなり軽減されますので、対象となる人は必ず市町村長の窓口に申請をしましょう。
利用金額を確認することは恥ずかしいことではありません。
介護保険は事業所、施設によって加算料金などが付く場合もあり、やや複雑な仕組みになっています。
事業所、施設側も明確に提示するよう義務付けられていますので、事前にしっかりと説明を受けましょう。(執筆者:佐々木 政子)