株価が何倍にもなる可能性を秘めている「新興企業」は、個人投資家に人気の投資対象です。
その中でも、営業利益率が高くてほとんど借入金のない成長株には、多くの資金が集まります。
しかし、このような財務が健全な優良成長株への投資には、思わぬ落とし穴が潜んでいることも…。
そこで今回は営業利益率が高くて財務も健全な成長企業に潜む落とし穴を3つ紹介します。

目次
1. 許容できる割高感を超えている
営業利益率が高くて、借入金がほとんどなければ、自然と内部留保が溜まっていきます。
さらに売り上げが右肩上がりで成長しているのなら、株価水準が割高になってしまうのは仕方のないことです。
このような銘柄を割安で買うことは現実的ではないため、多少の妥協は必要です。
しかし、どの程度割高になっているのかを完全に無視していいわけではありません。
例えば、2000年頃にIT銘柄の一大ムーブメントが起こりました。
IT化の波は今世紀で終わることはないと、投資家はこぞって馬鹿げた株価水準で株を購入しました。
しかし、その後ITバブルがはじけて、跡形もなく消えた銘柄は数知れません。
この教訓を生かして、人工知能などの人気テーマ株の株価水準を冷静に判断してください。
2. 先行投資で営業利益率低下
成長著しい新興企業が、大型株のように安定的な配当を出すことはほとんどありません。
さらなる成長を実現するために、利益が出ていても果敢に投資をします。
営業利益率が20~35%を維持しながら成長している新興株は、通常の新興株よりもその傾向が強い(余裕がある)ため、1~2年ほど大きな投資期間にするとアナウンスして、自ら営業利益率を大幅に低下させることがあります。
これだけ聞くと、企業の成長のためには自然なことだと誰もが納得できると思います。
しかし、既存の株主の中には納得しない人も…。
そもそも、高い利益率と成長率が割高な株価を支えているため、EPS(一株純利益)がガクッと下がり、今後1~2年回復することはないとわかると、高い株価水準は目も当てられないほどに…。
わざわざ今買う必要はないと、新たに株を購入する投資家も減ってしまいます。
これは財務健全な利益率の高い成長株によくあることですので覚えておきましょう。
3. 意味のない固定費の増加

自らEPSを押さえつけて投資に回すのはいいですが、問題は何に投資をするかです。
例えば、認知度を上げるため期間を決めて広告費に大量投下したり、現在のサービスの品質を上げるための投資や、優秀なプログラマーを増やすための人件費に回すなど、計画的なものなら問題ありません。
しかし、意味のない固定費(高額な賃料を払うことになる身の丈に合っていないオフィス移転など)の増加をしている場合には要注意です。
その投資が生み出す利益はほとんどありません。冷静に考えれば誰もが分かることです。
タイミングと経営者を見極める
投資するタイミングと、投資するに値する経営者かどうかを、冷静に見極めることができれば、これらの落とし穴に陥ることもないでしょう。
期待の高い新興企業が失速することはよくあることです。
銘柄に惚れて何も考えずに飛びつけば、高い確率でやけどします。
投資するに値する経営陣かどうかを見極めて、じっとチャンスを待ちましょう。(執筆者:三田 亮)