2019年7月1日より、イオングループ対象店舗で電子マネー「WAON」を使って支払った際のポイント還元率が、0.5%→1%にアップします。
この記事では、ポイントアップの概要やねらいはもちろん、他の電子マネーとの比較やWAONの今後の展望についても解説します。

目次
ポイントアップの概要
全国のイオン、イオンスタイル、ダイエー、マックスバリュ、イオンモールなどのイオングループの対象店舗での支払いに電子マネー「WAON」を使うと、従来は200円(税込)ごとにWAONポイントが1ポイント貯まるシステムでした。
これが、2019年7月1日より200円(税込)ごとに2ポイントにアップします。
ただし、他のポイントキャンペーン、ポイント倍付企画(お客さまわくわくデー・ありが10デーなど)との併用はできません。
また、WAONで支払えない商品(金券類・各種サービス料金など)はポイントアップ対象外で、WAONで支払えるものの中でも調剤薬品は200円(税込)→1ポイントのままです。

ポイントアップを適用させるには、お手持ちのWAONカードを会員登録する必要があります。
会員登録はネット・郵送から可能で、会員登録をするとポイントアップだけでなく紛失・盗難時の残高補償、WAONポイントの合算などが可能です。
他の電子マネーとの比較とWAONのねらい
では、他の電子マネーはどうなっているのか、気になる点を抽出して比較してみましょう。

WAONは使えるお店が少なくポイントも貯めにくい
実店舗が作った電子マネーでない「楽天Edy」「Suica」はあらゆる店舗で導入が進んでいます。
特にSuicaは全国の多くの公共交通機関・その関連施設で利用可能な点が大きいです。
一方、イオン色が強い「WAON」、セブン&アイ色が強い「nanaco」はなかなか加盟店が増えません。

また、楽天Edyでは、自社のポイントカード提示と電子マネーでの支払いでポイント二重取りが可能ですが、電子マネーWAONとWAON POINTカードを併用しても、WAON POINTカードのポイントは貯まりません。
こうしてみると、電子マネーWAONは他の電子マネーと比較して、使えるお店が少なくポイントも貯めにくいです。
イオンはスマホ決済・コード決済にも乗り遅れの感あり


電子マネーにはWAONは「モバイルWAON」というスマホ決済サービスがあり、「Google Pay」も利用可能ですが、Felica対応のAndroid端末のみ利用可能で、iPhoneユーザーは利用できません。
楽天ではすでにコード決済「楽天ペイ」を導入しており、モバイルWAONと同様の事情を抱えている「nanacoモバイル」を運営するセブン&アイは、コード決済「7pay」を前面に押し出して加盟店の増加を目論んでいます。
一方のイオンでは、コード決済導入の予定はありません。
WAONのポイントアップで利用者増とキャッシュレス化促進をねらう
これらを総合すると、セブン&アイや楽天のように加盟店を増やすのではなく、イオンは自社グループ店舗でよりたくさんWAONを使ってもらおうと考えたのでしょう。
イオングループでよりたくさんWAONを使ってもらう上で、ポイントはやはり魅力的ですが、現状では二重取りができないため、電子マネーWAONを単独で使ってもらい、その分ポイント還元率を上げるのは当然の流れといえます。
また、イオンとしてはキャッシュレス決済の促進を図りたい思惑もあるでしょう。
現金の取り扱いを減らすことで、偽札使用・お釣りの間違いのリスクを減らし、小銭を出す時間を短縮してレジをスムーズに流せます。
そうすれば、レジ店員の削減・セルフレジの拡大にもつながり、人件費の抑制にもつながるのです。
イオン・WAONは今後どう動く?
最後に、イオン・WAONが今後どんな手に打って出るか、予想してみました。
ポイントプログラムの一本化
現在、イオンのポイントプログラムには
・ WAONポイント…電子マネーWAONの利用で貯まる
・ ときめきポイント…イオンカードの利用で貯まる
・ WAON POINT…WAON POINTカードの提示で貯まる
という3種類があり、ポイントの相互交換は可能なものの、「分かりにくい」という声が少なくありません。
最後発である「WAON POINT」にゆくゆくは一本化して、利用者が使いやすいように改良するものと思われます。
ポイント二重取りの解禁
現状では二重取りができない3種類のポイントですが、仮に一本化ができなくてもポイント多重取りが可能になる可能性があります。

WAON POINT機能搭載のイオンカードセレクトでオートチャージしたWAONを使って支払った場合、チャージ・提示・支払いで三重取りとなれば、ポイント面での魅力はさらにアップするでしょう。
コード決済の導入

現在、イオンにはクーポン利用や請求金額確認が可能なアプリ「イオンウォレット」がありますが、これにコード決済機能を搭載する可能性があります。
先発のコード決済が群雄割拠の状態ですが、読み取り端末が必要な電子マネーと比較してハード面での投資が少なくて済むコード決済は、参入のハードルも低いでしょう。(執筆者:角野 達仁)