介護を頑張っているご家族は、介護保険サービスを利用されている方も多いかと思います。
確定申告が始まるというニュースを見ても、介護保険サービスは確定申告には関係ないと除外して考えやすいです。
「確定申告なんて今の私には無縁だ」とあきらめていませんか?
しかし、実は介護保険サービスの中でも医療費控除の対象として確定申告できるものがあります。
今回は、医療費控除の対象となる介護保険サービス(施設入所以外)について詳しく見ていきます。
目次
確定申告の医療費控除とは

医療費控除を簡単にご説明すると、年間に支払った医療費が一定金額以上になったときに確定申告することで、治めた税金の一部が戻ってくるしくみです。
医療費控除の対象となる金額は、医療費が10万円を超えたときです。
「10万円を超えたとき」の考えた方は実際に支払った医療費から生命保険など(※)によって支給された分があればそれを差し引き、さらに10万円を引くという計算になります。
また、この計算による医療費控除の対象となる金額の上限は200万円ということになっています。
(※)には高額療養費や出産育児一時金などの制度から支給されるものも含まれます。
医療費控除額の計算方法
医療費控除額の計算方法を具体的に説明しましょう。
例)1年間に30万円の医療費を支払い、個人で加入している保険の入院給付金などで保険金が8万円支給された場合の医療費控除額
この12万円に対して所得税を乗じた額が、後に還付金となって戻ってきます。
医療費控除の対象となる医療費
医療費控除の対象となる医療費は以下の9項目です。
1. 医師や歯科医師に支払った診療費、治療費
2. 治療や療養のために必要な医薬品の購入費
3. 病院や診療所、介護老人保健施設などに支払った入院費、入所費など
4. はり・きゅう師や指圧師、柔道整復師へ支払った施術費。ただし、疲労改善や体調を整える目的での施術は含まれません
5. 保健師や看護師などに加え、療養上の世話をしてもらうために、特に依頼した人に対する対価。ただし、付き添いのために家族や親類縁者に支払った金銭は対象になりません
6. 助産師による分娩の介助費用
7. 介護福祉士などによる、たんの吸引や経管栄養の費用
8. 診療や治療、施術の介助を受けるために直接必要なもの。例えば、通院費用、入院中の部屋代やベッド代(差額ベッド代は除く)、食事代、診療を受けるために使用した公共交通機関の運賃、松葉杖、補聴器、義足など各種医療用器具の購入費用
9. 介護保険制度のもとで提供された施設・居宅サービスの自己負担額
参考:国税庁
7と9に介護保険サービスが含まれていますね。
また、医療費以外にも薬代や公共交通機関の交通費、実費で支払った入院中の食事代なども対象になりますので、知っておくとお得です。
医療系の居宅介護サービスは控除の対象に

ここで、居宅と施設の介護サービスのうち、居宅介護サービスについて具体的に説明します。
居宅介護サービスは、その内容が医療系のものであれば医療費控除の対象です。
国税庁の情報をもとにまとめていきますと、次のように分けられます。
対象グループ1(医療系サービス)
・ 訪問看護
・ 訪問リハビリテーション
・ 居宅療養管理指導
・ 通所リハビリテーション
・ 短期入所療養介護
対象グループ2(対象グループ1とあわせて利用した時に対象となるサービス)
・ 訪問介護 ※但し家事援助中心型は除く
・ 訪問入浴介護
・ 通所介護
・ 短期入所生活介護
対象となる費用
介護保険サービスを利用して自己負担となる分の額になります。
介護保険給付の対象となるものにかかわる自己負担額に限りますので、注意しておきましょう。
おむつ代の申告も忘れずに
忘れてはいけないのが、大人用のおむつ代も医療費控除の対象として認められるという点です。
概ね6か月以上にわたり寝たきり状態にある、またはあると認められる方はかかりつけの医師から「おむつ使用証明書」を発行してもらい、医療費控除の明細書を添えて申告しましょう。
医師が、治療に必要と認めて紙おむつを購入・使用した日をおむつ使用証明書に記入します。
その記入された日付から医療費控除の対象期間となります。
紙おむつの購入・使用した日からおむつの領収書を保存しておくようにしましょう。
2年目以降からは、寝たきり状態にあること、及び尿失禁の発生可能性があることが確認できる「主治医意見書の写し」があれば可能な場合もあるとされています。
参考:国税庁
大変なことも多い介護生活 戻ってくるお金はしっかり受け取ろう
介護保険サービスでも医療費控除の対象になる項目があることがわかりましたね。
今回は在宅で受ける介護サービスの中で医療費控除の対象となるサービスを紹介しましたが、施設サービスを利用する中でも対象となるものもあります。
また、今回ご紹介したサービスの中でも医療系サービスと併用することで対象になるサービスもあり、内容は実に複雑です。
また、確定申告の申請方法も添付する書類も変更になることもあるので、必ず国税庁のホームページや税務署などの関係機関に問い合わせて確認することをおすすめします。
申告の際に慌てないためには、どのようなサービスを利用しても領収書をなくさずに保管しておくことが大事です。
介護で忙しい毎日ですが、コツコツと準備しておくことでお金が戻ってきたらうれしいです。
書類は苦手! と目を背けずに、整理したり調べることが気分転換になることもあります。(執筆者:佐々木 政子)