あなたに金遣いのアラい親戚がいたとします。
家計の収支は万年赤字体質。
自分ひとりでの家計維持はムリにということになって、いつのまにか連帯保証人となっていたあなたが、これからは一緒に、その親戚の赤字の穴埋めを手助けすることに。
この金遣いのアラい親戚は、あなたに感謝のコトバをおくるわけでもなく、「あなたの老後の生活費は足りなくなるよ」と、あなたに忠告してきたら?
たとえるなら、今回は、こんなお話になります。
目次
公的年金の年間収支からわかること

公的年金は、毎年の年間収支が公表されています。
厚生労働省のサイトに、「公的年金各制度の財政収支状況」というページがあり、いつでも閲覧できます。
平成29年分が最新データとなっています。
厚生年金部分を見ると、国家公務員共済と地方公務員共済の赤字分を、もともとの厚生年金が穴埋めするカタチとなっているのがわかります。
平成27年の不自然すぎる偶然
平成28年分、平成27年分も事情は同じです。
公的年金の年間財政収支が、このような状態となったのは平成27年10月からです。
平成27年10月には、公的年金の制度統合、公的年金の一元化が行われました。
が、実態は事実上破たんした国家公務員共済と地方公務員共済の救済策だったことがわかります。
平成27年10月と言えば、マイナンバー導入。
郵便トラブルにまつわるニュースを中心に、世間の注目は、完全にマイナンバーに集中していました。
このスケジュールが、偶然とは思えません。
共済年金が事実上破たんしたワケ
共済年金については、詳細が明らかとなっていません。
厚生年金については、社会保険労務士試験の出題科目となっていることもあって、多種多様な解説本が世に出まわっています。
が、共済年金に関しては事情は全く違い、現在もナゾの部分が多いです。
公務員は全員もらえる「年金の3階部分」

ほぼ確かな情報をまとめると、下記のようになります。
共済年金には「職域加算」といわれる給付があります。
民間サラリーマンで言う以前の厚生年金基金、今で言う、企業年金部分に相当します。
基礎年金の1階、厚生年金の2階と合わせて、年金の3階部分と呼ばれたりします。
サラリーマンの場合、3階建て部分の給付を受けられるのは、それだけ余裕のある会社に勤務していた人だけに限られます。
が、公務員共済の場合、この3階部分は公務員全員にモレなくついてきます。
しかも、給付の半分は税金です。
「事実上の破たん」は必然
厚生年金基金の場合、財政難で破たんしたケースも少なくありません。
共済年金の被保険者が特に多くの保険料を負担してきたわけでもなく、民間サラリーマンと同等か、むしろ少ない程度だったとも言われています。
少ない負担で多くの給付。
しかも、被保険者数と年金受給者数のアンバランス。
「事実上の破たん」は、当然のお話です。
「金遣いのアラい親戚」はまず赤字体質の改善を
冒頭の「金遣いのアラい親戚」とは、誰(あるいは複数)のことか、ご理解いただけたかと思います。
大臣に諮問されてもいない報告書で、国民に対して「老後に2,000万円足りなくなる」などと言っているヒマがあれば、
ということです。
旧共済年金への「持ち出し」がなければ、もともとの厚生年金の給付も、少しはマシになるハズですから。(執筆者:金子 幸嗣)