介護が必要になっても住み慣れた自宅で暮らしたいと願う方は多いものです。
介護保険サービスを利用しながら1人暮らしをしている方も多くいらっしゃいます。
介護ヘルパーの手助けがあれば何とか1人暮らしが継続できる場合には、無理にショートステイなどの施設利用に切り替える必要性を感じないでしょう。
しかし、物忘れの進行や認知症の症状が現れ始めてくると、今まで通りの介護サービスでは心配ということもあります。
「ヘルパーに日に2回訪問してもらえればまだ1人暮らしができるかな」
と迷ったとき、介護費用が頭をよぎるでしょう。
今回は、1人暮らしで介護量が多くなってきた場合に、ショートステイの利用は損か得かと合わせて、検討したい理由についてご紹介したいと思います。

目次
安否確認に関わる家族の労力と交通費、通信費
親が1人暮らしをしている場合には、心配で安否確認のために週に何度も訪問する家族もいます。
訪問時には、つい食材や日用品をまとめ買いしていくということもあります。
一度に食べる量が少ない高齢者の場合には、かえって無駄になってしまうケースも少なくありません。
また、遠方に住んでいるために容易に安否確認に来ることができない場合には、親に携帯電話を持ってもらうなどの方法をとっている人もいます。
この場合には、通信費を負担します。
このように、介護保険サービスの利用と家族の訪問、携帯電話での見守りなど十分な備えをしても、冬などは特に暖房などの火気の取り扱いなどの心配も加わりますので、苦労は尽きないものです。

冬の期間、ショートステイに行った方が節約になるケース
例えば、何とか1人暮らしを維持するために、
・ 受診の付き添いを1か月に1回依頼
・ 週2回はデイサービスを利用し、冬期間は身体面にリスクがある自宅での入浴もしている
とします。
その他に
・ 冬場には灯油が切れないように注文する
など、少々手間と費用、心配が増えるといった方もいるのではないでしょうか。
このように手間と費用、心配が増える冬の期間は、ショートステイの利用をした方がかえって安上がりのケースがあります。
夏の間に冬場のことを検討するなんてまだ早いと思いがちですが、ショートステイは前もっての予約が必要な場合がほとんどですので、決して早くはないのです。
介護度にもよりますが、要介護2の場合は介護保険で多少補いきれない実費分が出ても、冬期間は連日ショートステイを利用した方が、得な場合があります。
年金収入のみの世帯であれば介護負担限度額認定によって、ショートステイで3食食事付きでも1日あたり約300円で済みますので、食費と手間を考えると自宅で炊事して毎日食べるよりも節約になりますし、手間要らずで楽もできます。

毎日の複数回のヘルパー訪問や週2回のデイサービス、家族がかかる負担、生活にかかるランニングコストを考えると、特に雪の降る地方では冬期間はショートステイを利用した方が節約になる場合があります。
さらに家族も安心できるのでメリットを感じることでしょう。
・ 冬期間の生活費が大きくなる地方
・ 1人暮らしの軽介護度の方(要介護2が割合的にはお得感が大きい)
・ 負担限度額認定に該当する方
以上の条件の方は、冬の期間は自宅を締めてショートステイで越冬した方が節約になると考えられます。
ショートステイでの越冬のメリット
冬の期間をショートステイで過ごすことのメリットは、節約以外にも以下のことがあげられます。
・ 整った環境で体調管理ができる
・ 自宅よりも活動しやすい環境なので活動性を維持できる
この3点によって、特に高齢者の体には負担が大きい冬の寒さや寒暖の差によって生じるリスクを回避できますよ。
1人暮らしの高齢者、冬も夏もショートステイの検討を
住み慣れた自宅でできる限り長く暮らしていきたいという思いで1人暮らしを頑張っている高齢者の方は、住んでいる地域によって巡る季節をどう過ごすのかが課題になることもあります。
暑すぎる夏、寒く長い冬は「命がけ」と言える状況にある方もいるのです。
寒い地域では、ショートステイで越冬して健康状態を保ち、体力も維持したまま無事に暖かい春を迎え自宅に戻る高齢者の方もいるのが現状です。
「ああ、今年の冬も何とか越すことができたね」という安堵の気持ちに溢れ、希望の春の訪れを感じるのです。
今回は冬にスポットを当てましたが、冬だけではありません。
熱中症が心配である夏の時期も、介護が必要な1人暮らしの方は、ショートステイをご検討ください。
高齢の方は特に電気代が心配で冷房の使用を控えがちですが、冷房の節約は熱中症の原因にもなります。
夏の間に利用するショートステイは有意義で節約、健康、活動のメリットがあります。(執筆者:佐々木 政子)