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厚生労働省の「新オレンジプラン」

世界に類を見ない超高齢化社会である日本では、認知症は身近な病気となりました。
厚生労働省の「新オレンジプラン」によると認知症患者の数は2025年には約700万人、65歳以上の高齢者の5人に1人に達する見込みです。
認知症にはいくつかのタイプがあり、どのような症状が出現し、どのような経過をたどるかは一概には言えませんが、認知症の家族介護期間は平均6~7年ともいわれています。
認知症の介護は長期戦の構えになると考えられます。
老後の生活の究極の節約は「健康」であることです。
しかし、誰にでも起こりえる認知症です。
いつまでも「健康」でいるために、効果的な認知症予防に取組むことはこれからの日本の課題ともいえます。
今回は認知症によって増える介護費用について、おすすめの認知症予防の方法と合わせてご紹介します。
認知症によって増える介護費用、注意のポイント
認知症によって介護が必要になると、どのようなことにお金がかかるのでしょうか。具体的にみていきましょう。
介護保険サービスの利用
ヘルパー、デイサービス、ショートステイ、グループホーム、介護施設の利用など
日常生活
日用品、消耗品(おむつや福祉用品)
ランニングコストの増加(水道光熱費)
家族にかかる負担
ガソリン代
買い物
介護離職や休暇取得が多くなる
その他
常時の見守り、付き添いという人手が必要になることのかかる出費
医療機関受診回数が増加
服薬治療、服薬調整が細やかに必要になる
介護には費用と時間がかかります

このようにこまごまとみていきますとさまざまな費用が必要になることが手に取るようにわかります。
家族が認知症になってしまうと、今までかからなかった事にお金が必要です。
認知症の初期や一人暮らしの方の場合は、水道や電気の止め忘れなどもあり水道光熱費が上がってしまうことも考えられます。
また、症状が進行し排泄が上手くできなくなると、昼夜問わずの後始末でやはりランニングコストが予想以上にかかってしまうこともあります。
家族が通い介護をするケースではガソリン代や交通費が高額になります。
そして、お金だけではなく介護者は介護のための拘束時間が長くなってしまいます。
ここ数年で介護休暇の取得など企業の体制も整ってきましたが、実際には介護休暇だけでは在宅介護を支え切ることは難しいというのが現状です。
に介護サービスを限度額ギリギリまで利用することや、介護のために家族が転職や離職を余儀なくされるケースもあります。
家族の介護負担を軽減しながらも節約できる暮らしをするためには、介護を必要としない日が1日でも長く続けるために、普段から認知症予防を考え行動に移すことです。
今、介護を必要としている状況にある方も、これ以上認知症が進行せず、介護度が重くならないことを目指しましょう。
おすすめの認知症予防の運動「コグニサイズ」
そこで、お金もかからず、どなたでも簡単にできる認知症予防のトレーニング、コグニサイズを紹介します。
コグニサイズという名称は、認知(Cognition)と運動(Exercise)を組み合わせた造語です。
どのような運動なのかと言うと、体を動かしながら同時に頭を使うという方法で行います。
コグニサイズにはいくつかの運動メニューがありますが、おすすめは取り組みやすくルールがわかりやすい「コグニウォーキング」です。
コグニウォーキングは、2名以上で歩きながらしりとりをする運動ですが、1人でも工夫次第でできます。
コグニウォーキングの方法

1. 上半身を真っすぐに起こします。視線も真っすぐ前を見ます。
2. おなかに力を入れて腹筋を意識します。
3. 手を後ろにしっかり振りながらやや大股で歩きます。
4. 足はかかとから降ろします。
5. 歩きながらしりとりをします
自宅内で行う場合は、無理のない体勢で足踏みでも良いでしょう。
また、1人で行う場合はしりとりでなくても簡単な足し算や掛け算をしながらでも良いです。
認知症を防ぐ重要性
認知症が進行すると徘徊などの問題行動の見守りに加えて、症状によって服薬コントロールがごく短い期間で必要になり医療機関の受診回数も多くなります。
費用がかかるばかりではなく、介護に係る労力や長い拘束時間で介護者は疲労困憊になってしまいます。
認知症は予防できることに越したことはありません。
その方法として、効果的な運動であるコグニサイズを紹介しました。
認知症予防の要素は日常生活の中にあります
できることは今から取り入れていくことも将来の介護費用節約に大きく差をつけてくれることでしょう。
介護される側も気を使い思い通りにできないなどの思いで、ラクなものではありません。
いつまでも介護要らずで元気で過ごせることは、介護費用の節約以上に本人にとっては大切な時間になることをお忘れなく。(執筆者:佐々木 政子)