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低所得の年金受給者は節税より、税金や保険料を取り戻すことを考えよう

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低所得の年金受給者は節税より、税金や保険料を取り戻すことを考えよう

公的年金から支給される「障害年金」や「遺族年金」は、非課税になるのですが、老齢基礎年金や老齢厚生年金などの「老齢年金」は、公的年金等の雑所得として所得税が課税されます

ただ老齢年金の合計額から、受給者の区分(年齢)や、その年中の公的年金等の収入金額(老齢年金の合計額)に応じた、次のような金額の「公的年金等控除額」(表の一番右側)を控除できます。

公的年金等控除額

≪画像元:国税庁HP 第4 公的年金等の源泉徴収事務≫

これに加えて基礎控除の38万円も控除できるため、65歳未満の方については、老齢年金の合計額が108万円(公的年金等控除額:70万円+基礎控除:38万円)以下であれば、所得税は徴収されません

また65歳以上の方については、老齢年金の合計額が158万円(公的年金等控除額:120万円+基礎控除:38万円)以下であれば、所得税は徴収されません

20歳から60歳になるまでの40年間に渡って、国民年金の保険料を一度も欠かさずに支払い、満額の老齢基礎年金を受給できた場合、その金額は2019年度額で78万100円になります。

そのため厚生年金保険の加入期間が短いため、老齢基礎年金の上乗せとなる老齢厚生年金が少ない場合には、現状では所得税がかかりません

所得税が徴収されていない方は、所得控除を節税のために使えない

所得税がかからないのに お得にならない

所得税がかからないのは、お得だと思うのですが、お得だと思えない場合もあるのです。

例えば民間の医療保険、がん保険、介護保険などに加入して、ぞれぞれの保険料を支払った場合、確定申告を行って「介護医療保険料控除」を受ければ、課税所得が低くなるため、年金から徴収されていた所得税が還付されます。

つまり介護医療保険料控除などの各種の「所得控除」を受けると、所得税の節税になります

適用される所得税の税率や、支払った保険料の金額によっては、節税できる金額はそれほど大きくはないかもしれませんが、銀行口座などに還付金が振り込まれと、お得だと感じられると思います。

しかし上記のように65歳以上で、老齢年金の合計額が158万円以下の場合、所得税は徴収されていないため、民間の医療保険、がん保険、介護保険などに加入しても、所得税の節税ができないのです。

その他に医療費がかかった時に受けられる「医療費控除」、または災害などで資産に損害を受けた時に受けられる「雑損控除」も、所得税を徴収されていない場合には、所得税の節税のために使えません

なお医療費控除は生計を共にする家族の医療費も対象になるため、例えば年金から所得税が徴収されている夫が、妻の医療費で医療費控除を受ければ、払い過ぎた所得税が還付されます。

加入要件を満たす限りは、生涯に渡って雇用保険に加入する必要がある

所得が低いために所得税が徴収されていない年金受給者の方でも、買い物のたびに消費税を支払っております。

これに加えて公的医療保険(国民健康保険、後期高齢者医療など)や、公的介護保険の保険料も支払っているはずです。

また2019年度末までは徴収を免除されておりますが、収入を増やすために、一定時間以上のパートなどの仕事をすると、雇用保険の保険料を支払う必要があります。

この理由として2017年1月からは、「1週間当たりの所定労働時間が20時間以上」や、「31日以上の雇用見込みがあること」という要件を満たすと、65歳に達した日以降に、新たに雇用された方でも、雇用保険に加入するようになったからです。

つまり加入要件を満たす限りは、生涯に渡って雇用保険に加入するようになりました。

加入要件を満たす限り 生涯に渡って雇用保険に 加入する必要がある

消費税率の引き上げ分を使って、年金生活者支援給付金が支給される

所得税が徴収されていない年金受給者の方は、所得控除を活用した節税策で、お得感を味わうことはできません。

しかし支払った税金や、それぞれの保険料を取り戻して、お得感を味わうことはできると思います。

例えば2019年10月からは、基礎年金(老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金)を受給できる一定の低所得者を対象にして、月額5,000円程度の年金生活者支援給付金が支給される予定です。

なぜこの時期から始まるのかというと、消費税率の引き上げ分を財源にするからです。

そのため認定請求という手続きを行って、年金生活者支援給付金を受給することは、支払った消費税を取り戻すことになり、また月額5,000円程度を継続してもらえたら、お得感を味わえると思います。

賃貸住宅に住んでいる方は、自治体などが実施する家賃補助を活用する

金融庁が発表して話題になった、金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書(pdf) 「高齢社会における資産形成・管理」によると、夫が65歳以上、妻が60歳以上の高齢夫婦無職世帯は、収入と支出の差により、平均で毎月約5万円の、金融資産の取り崩しが発生しております。

そのため夫婦が30年間生きると仮定すると、約2,000万円の金融資産を取り崩す必要があるのです。

また平均で毎月約5万円という取り崩しは、住居に関する支出が約1万3,000円という前提で試算されているため、例えば賃貸住宅に住んで家賃を支払っている場合には、更に取り崩しが多くなってしまうのです。

この問題を解決する手段としては、自治体が運営する公営住宅の他に、高齢者の方が住みやすいように配慮された、「高齢者向け優良賃貸住宅」があると思います。

その理由として入居者の収入によっては、自治体などから家賃補助を受けられる場合があるからです。

また65歳未満の方に限られますが、失業により経済的に困窮し、住居を喪失した方、または住居を喪失するおそれのある方に対して、家賃相当額(一定の上限あり)が最長で9か月支給される、「住居確保給付金」という制度もあります。

これらの財源は税金ですから、それぞれの制度の支給対象になった場合には、支払った税金を取り戻せます

雇用保険は失業しなくても、支払った保険料を取り戻せる制度がある

雇用保険は失業しなくても、 支払った保険料を取り戻せる制度がある

2017年1月からは上記のように、所定の要件を満たすと、65歳に達した日以降に、新たに雇用された方でも、雇用保険に加入するようになりました。

これをマイナスに捉える方がいるかもしれませんが、雇用保険は社会保険(健康保険、厚生年金)と比べると、かなり保険料が安いです。

また例えば資格を取得するために、厚生労働大臣が指定する講座を受講し、それが修了した時に、「教育訓練給付」が支給されたり、家族を介護するために、介護休業を取得し、給与が支払われなくなった時に、「介護休業給付」が支給されたりします。

つまり雇用保険はうまく活用すれば、失業しなくても支払った保険料を取り戻せるのです。

もちろん失業した時には、「高年齢求職者給付金」という失業手当を受給できる可能性があります。

ですから定年退職後にパートなどで働く予定があるなら、雇用保険には加入しても良いと思うのです。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)

《木村 公司》
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執筆者:社会保険労務士 木村 公司 木村 公司

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。 【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種 寄稿者にメッセージを送る

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