「保険月」という言葉を聞いたことありますか。
会社によって「記念月」や「キャンペーン月」、「重大月」、「イベント月」など、違う呼び方をすることもありますが、いわゆる「強化月間」のことです。
ここでは、便宜上「ノルマ月」と呼ぶことにします。
この「ノルマ月」について、それはいつなのか、顧客としてどんなことに気をつければよいのかなどを詳しくお話ししていきます。
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目次
全社共通の「ノルマ月」
ノルマ月の中で、唯一全社共通のものがあります。
それは、11月「生命保険の月」です。
「生命保険の月」が生まれたのは、昭和22年。第2次世界大戦が終結した翌年のことです。
当時、日本全体がそうであったように、生命保険業界も壊滅的な打撃を受けていました。
そこで、連合国総司令部(GHQ)が
と提案したのだそうです。
生命保険協会もそれを受け入れ、
として定められました。
それから70年以上、なぜか「より一層、契約をあげる月」として、各社に受け継がれているというわけです。
実は、1月31日は「生命保険の日」(明治15年に、日本初の生命保険金支払を新聞が報じた日)もあるのですが、こちらはほとんど忘れ去られています。
1年中ほとんどの月が「ノルマ月」
先述の通り、「生命保険の月」以外の「ノルマ月」は会社によって違います。
6か月ごとの5月・11月
パターン(2):
4か月ごとの3月・7月・11月
パターン(3):
3か月ごとの2月・5月・8月・11月
パターン(4):
2か月ずつの4-5月、10-11月
パターン(5):
4半期締めを避ける間隔の3月・6月・9月・11月
他にも、会社の創立記念月を加えるタイプや、生命保険ノルマ月と損害保険ノルマ月を交互に配置する「結局1年中ノルマ月」タイプなど、バラエティに富んでいます。
つまり、あなたのもとに訪れる保険のおばちゃんが、A社(パターン(3))とB社(パターン(5))だとしたら、ほぼ毎月「入らない?」と誘われ続けるのです。
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「今なら、初回保険料がタダ!」に要注意
「ノルマ月」に契約したからといって、「保険料10%OFF」とか「保険金額が1.5倍」といった金額的なサービスはありません。
もしも、保険のおばちゃんが
と言ってきても、決して応じないでください。
保険会社が提供する正式なサービスに「初回無料」は絶対にありません。
ではなぜ、1回分タダにできるのでしょうか。
保険のおばちゃんが、こっそりと立て替えているからです。
そして、それは「不適正募集」と呼ばれ、金融庁が監督する保険業法に違反する行為なのです。
お客様への罰則等はないので、「払ってくれるなんてラッキー」と思ってしまうかもしれません。
しかしながら、
です。
たいていは常習化していて、「お客様のニーズよりも、自分の利益(点数)優先」の契約をごまかすために、1回分タダという「違法サービス」でゴリ押ししていることがほとんどです。
一方、それが初めての違法行為である営業員の場合であれば、違法行為をしなければ成績が立ち行かないほど根本的に知識や技術が足りないということが考えられます。
つまり、保険をすすめてくる営業員のタイプが前者であっても後者であっても、契約者にとって本当に必要な保障ではない可能性が高いということです。
違法行為をチラつかせる保険のおばちゃんとつき合っていても、よいことはありません。
早々にお引き取り願いましょう。
「ノルマ月」契約のメリット
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では、「ノルマ月」に契約するメリットは全くないのかというと、そうでもないのです。
次に、メリットを3つほどお話しします。
メリット1:保障内容がよくなる
「ノルマ月」のサービスで保障がよくなるわけではありません。
「ノルマ月」は、保険や特約の新発売が多いのです。
今までになかった新しい保険の発売や、より保険金を受け取りやすくする保障内容の改良などです。
予告や予約は事前に行いますが、手続き開始は「ノルマ月」にタイミングを合わせています。
例えば、「1泊以上の入院が必要 → 日帰りOK」などといった格段に使いやすくなる改良特約の発売も、「ノルマ月」にタイミングを合わせているのです。
情報だけでも聞いておいた方がよいでしょう。
メリット2:おみやげが多い
多くの保険会社が、「ノルマ月」に合わせてプレゼントキャンペーンを実施します。
・宿泊券
・ディナー券
・商品券
などの各種金券や、
・ダイソンの扇風機
などの高額家電などが当たるものが多く、保険会社で扱える人気キャラクターがある場合にはビックサイズの縫いぐるみやオルゴール時計などを特別に作る場合もあるようです。
また、それぞれの支社や支部単位で、タオルやお菓子などの「小さなおみやげ」を入手しやすくしていることもあります。
保険のおばちゃんも、いつもよりおみやげを奮発することでしょう。
メリット3:保険のおばちゃんが忙しい
より多くの契約をとらなければいけない「ノルマ月」は、保険員はとにかく時間に追われています。
提案して、すぐに返事をもらえないと判断したら、もう次に向かわなければいけません。
そのため、いつもより長居せずに帰って行くでしょう。
それが大きなメリットだと感じる人もいるかもしれませんね。
保険見直しのタイミングが「ノルマ月」と合致したらお返事をおはやめに
「ノルマ月」には、新人もベテランもノルマが通常の2~3倍になります。
平常月ノルマが2件であれば4件に、5件であれば10件になるといった具合です。
新人にもベテランにも平等に訪れるのです。
保険員がノルマを達成したとしてもたいしたご褒美はありませんが、もちろん同情して入る必要はありません。
ただ、もしも保険契約や見直しを考えているタイミングがたまたま「ノルマ月」であったら、当該月中にぜひハッキリとしたお返事をして差し上げてください。(執筆者:仲村 希)