少子高齢化社会、核家族化が進む現代において親に介護が必要になった時、子世帯が遠方に住んでいるというケースが多々あります。
親に介護が必要になったとき、子どもと同居できるケースは現実的にはなかなかないでしょう。
遠方からの介護が必要になった時どうしたらよいでしょうか。
日頃の心得や準備、基礎知識をみていきましょう。
目次
遠距離介護にかかる費用
遠距離介護で想定される費用にはどのようなものがあるでしょう。
考えられる費用を紹介します。
介護保険サービス

遠距離でなくてもかかる介護費用といえますが、安否確認や見守り等を考えると介護保険サービスが必要になることもあります。
・訪問介護
・通所サービス
・短期入所サービス
・福祉用具や住宅改修
公的サービス
配食サービスを利用することで安否確認ができたり、栄養面での心配を軽減することができます。
・配食サービス
医療関連
こちらも遠距離でなくてもかかるお金になりますが、受診、通院は本人に任せることになります。
親は子に対して何かと遠慮してしまいますが、「受診の前に必ず知らせてほしい」と約束しておくことで、親の身体状況や体調を常に把握できます。
・診察代
・薬代
・通院にかかる交通費
介護用品
介護用品としては身体状況によりますが、必要になれば負担が大きくなるということでオムツ代をあげました。役所からの支給の条件などを調べておくと必要になったときに安心です。
・オムツなど
その他
遠距離介護をする家族の交通費や食費なども必要になります。
介護保険の申請、更新などの時期も把握して、訪問した際に用事を済ませることができるように事前に訪問するスケジュールを組むことも大切です。
遠距離介護で最初にすること
介護が始まるきっかけはさまざまですが、お正月やお盆の帰省で親の異変に気が付いたとき、まず最初にすることは介護認定の申請の検討です。
お住まいの市役所の窓口で相談してみましょう。
申請の手続きの助言や手伝い、急ぎのケースではケアマネージャーと繋いでくれます。
担当のケアマネージャーが決まれば、介護保険制度の詳細や必要な支援の相談、手続きを進めてくれます。
その中で、遠距離介護の場合の家族が「できること」、「できないこと」の仕分けを明確にし、どうやって介護が必要になった親の生活を支えていくかの方向性を決めていきます。
遠距離介護での課題(1) 安否確認・緊急時体制
遠距離介護で課題となるのは、日頃の安否確認と緊急時の対応方法です。
介護保険サービスで訪問介護や通所介護のサービスを利用しても、それは限られた時間に過ぎません。
訪問介護では訪問回数や訪問時のケア内容が細やかに定められているので、単に安否確認に行ってもらうことや、家政婦さんのような内容での依頼はできません。
緊急時の対応については、家族でなければできないこともたくさんあります。
医療機関搬送時の行き先の判断や検査、治療に伴う説明や同意は家族が対応することになります。
日頃から、ケアマネージャーや関わる介護サービス事業所と段取りや取り決めをしておきましょう。
介護保険サービス対象外で自費がかかりますが、以下のようなサービスもあります。
民間の警備会社や市町村の緊急連絡システムの導入
生活導線へのセンサー設置や緊急時の駆けつけサービス、看護師や専門職に24時間相談できるサービスなどがあります。
通信手段を駆使した便利な商品の活用

電気ポットの使用状況を1日に2回、登録したメールアドレスにメール送信できる商品やカメラを設置し、スマートフォンで様子を確認できるものもあります。
遠距離介護の課題(2) 家族の交通費
遠距離から訪問する家族にとっての大きな負担は交通費です。
介護が必要なると帰省回数が格段に増えます。
要介護認定がされていると各種サービスが利用できます。
航空会社による割引
各航空会社では介護帰省のための割引サービスがあります。
・JAL~介護帰省割引~割引率36%
利用条件は、満12歳以上で要介護または要支援認定された方の「二親等以内の親族の方」と「配偶者の兄弟姉妹の配偶者」ならびに「子の配偶者の父母」に限り利用可能となっています。
注意点したい点は、航空券を買う時と搭乗手続きをする時にJALカードを使いますので、事前に「JALカード」か「JMBカード」を、作成しておく必要があります。
参考元:JAL
JR各社による割引
JR各社は介護に特化してではありませんが、早めに予定がわかれば早期の切符購入で格安で乗車できます。
また、新幹線回数券は定められた期間内に使うのであれば、購入後に後利用日時を決めることができますので料金的もお得ですし、予定がはっきりしない時は便利です。
遠距離介護に係る費用は想像以上に莫大

特に交通費は大きな負担になります。
また、遠距離の移動では道中の食事やお世話になっているご近所へのお土産など、なにかと出費もかさみます。
自分の家族を自宅においてくる場合は、留守にすることでかかるお金もあるかもしれません。
公共交通機関を利用する場合は、お得なサービスがないかを知り、交通費を極力抑えられるといいですね。
また、実際の介護は介護保険サービスを利用する場合が多いですが、常時見守りがなされるわけでも、緊急対応が確実にできるわけでもありません。
いざという時、最後は家族でなければ対応しきれないことが多いというのが現状です。
介護が必要になっても、住み慣れた地域(自宅)で1日でも長く暮らしたいという親の希望に添うために、主介護者が離れていても遠距離介護が成り立つような工夫をしていきましょう。(執筆者:佐々木 政子)