第6回目となる今回は、iDeCoで積み立てることのできる金融商品について見てみましょう。
基本的にイデコでの投資対象は次の2種類です。
1. 安全な元本確保型とよばれるタイプ
2. 値動きが変動し、元本割れのありうる投資信託というタイプ
筆者個人の結論を先に記しますと、多くの人にとってiDeCoで積み立てるべき金融商品は、安全性の高いものではなく、元本割れ(損する)の可能性のある投資信託だと考えています。
どういうことか、詳しく説明します。
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目次
iDeCoにはリスク商品と元本保証型がある
iDeCoで選択できる金融商品は、「元本確保型」と「投資信託」と呼ばれる2種類の金融商品です。
投資信託の方は、値動きの変動があります。
簡単に言うと、
・ 値上がりするとき
・ 値下がりするとき
がある、という金融商品です。
リスクがあるからこそ見返りがある
このような価格の変動を価格変動リスクとも呼びます。
確かに価格変動はイヤなものかもしれません。
ただ金融の理論上は、この「変動するリスク = 嫌なこと」を背負い込むことで、見返りとして長期的に見るとリターン(投資家の要求リターン)がついてくるもの、と考えられます。
そのため長期分散投資・資産形成を考えた場合には、投資信託という金融商品は大変に重要なものだと筆者は考えています。
元本確保型は誰でも選びがち
一方、元本確保型には、預貯金タイプや保険タイプがあります。
基本的に文字通り元本が確保されています。
価格が変動しないので安心です。
そのため多くの人が、この元本確保型を選択しています。
元本確保型ではインフレに対応できないところがやはりうまい話ばかりではありません。
元本確保型のデメリットは、「インフレリスクに対応できない」という点です。
乱暴に言いますと、物価が上昇するのに対して、元本確保型では思うように増えない可能性があります。
結果として元本確保型なのに、実質的にはお金の価値が減ってしまう、というちょっと不思議で残念な事態になってしまう可能性があります。
元本確保型ではお金が増えにくい
確かに元本確保型を選んでも、毎月コツコツと積み立てをしていれば、資産形成はある程度できますが、増えません。
以下の表は筆者作成で、数値は仮のものですが、このようにシミュレーションできます。(税金・手数料は無視)

なぜiDeCoでは元本確保型だけではなく、価格が変動してしまう投資信託があるのでしょうか。
なぜ、従来の預貯金だけでなく、iDeCoという仕組みがあるのでしょうか。
その理由は、預貯金だけでは老後の生活資金が十分に形成できないからだと筆者は考えています。
最終的な金融商品の選択は個人の意思決定にゆだねられています。
合理的な金融リテラシー(知識)があるかないかが、老後の資産形成を大きく左右することがこれからの時代、現実になりつつあるのではないでしょうか。(執筆者:佐々木 裕平)