お笑い芸人のチュートリアル徳井さんの脱税報道により、徳井さんが個人事務所を介して芸能事務所から報酬を得ていることがわかりました。
所属事務所があるのにも関わらず、わざわざ個人事務所を設立する動機は節税です。
実は、法人を設立するだけで支払う税金が半分程度なることは、高額所得者の中では一般的な節税方法となっています。
こうした節税効果の他にもまだある法人設立のメリット3つについて解説します。

目次
1. 法人税の最高税率は所得税の最高半分の税率しかない
サラリーマンは給与に対して所得税を支払いますが、法人については利益に対して法人税を支払います。
所得税も法人税も累進課税制度を採用しており、所得金額が多くなるほど税率が上がる仕組みです。
2019年の所得税の最高税率は45%であり、所得金額の約半分は税金として納めます。
しかし、法人税の最高税率は23.2%と、どんなに利益があったとしても税率は所得税の半分程度です。
所得税を抑えるための1つのボーダーともなる「税率23%」の対象は、課税される所得金額が695万円超から900万円以下の層です。
そのため、年収が1,000万円を超えるような場合には、所得税よりも法人税として支払った方が、納める税金が少なくなるのです。
2. 経費は個人事業主よりも法人の方が認められる傾向にある
法人設立のメリットは税率だけではありません。
法人は、個人事業主よりも経費が落ちやすいのもメリットとしてあります。
個人事業主の経費は、仕事で利用した分の割合しか認められません。
仕事とプライベートの両方で車を利用している場合、仕事で使っている分の割合のみが経費として認められます。
仕事7割、私用3割の場合には3割部分は経費として計上できません。
しかし、法人の場合には全額が費用として認められますので、法人名義で購入した車は全額経費として計上できます。
もちろん架空の経費や経費を水増しした場合には税務署から指摘を受けますが、適正に会計処理をした場合であっても個人事務所よりも経費が認められやすいのが特徴です。
3. 法人代表の方が、個人事業主より社会的が地位が高い

個人事業主が法人を設立するもう1つのメリットとしては、法人を起業した方が社会的地位が高くなる点があります。
どんなに収入が多い個人事業主であっても、肩書は「フリーランス」や「自営業」です。
一方、収入がそこまで多くなくても法人を設立していれば、肩書は「代表取締役」となります。
フリーランスと代表取締役の肩書を比べた場合、代表取締役の方が社会からみると地位が高いです。
芸能人の場合にはそこまで影響はありませんが、ブロガーやYouTuberなど社会的信用があまりないジャンルの人にとっては、法人設立することで「代表取締役」の肩書を得ることができますのは相応のメリットがあります。
「節税」は合法的に手段、「脱税」は違法な手段
徳井さんは税務署に確定申告をしていなかったので税務調査により指摘を受けましたが、個人が節税のために法人を設立するのは合法ですので、それ自体に問題はありません。
一方で、法人を利用した脱税行為が横行しているのも事実で、マルサ(国税局査察部)が行っている調査の多くは法人が対象となっています。
節税は合法ですが脱税は違法ですので、節税は法律の範囲内で上手く行いましょう。(執筆者:平井 拓)