定期的に収入のあった会社員を卒業してリタイアメント生活に入ると、子どもの教育費や住宅ローンといった大きな出費と縁遠くなるような感じもしますが、実際には、リタイア後にも大きな出費が発生することがあるのです。
そこで、リタイア後のイベント費用の目安を紹介します。

目次
1. 子どもの結婚式費用の援助
リタイア後、子どもがいる場合には、結婚費用の援助をお願いされる可能性が考えられます。
その中でも、結婚式の費用として親が資金援助をした平均額は167万8,000円(2019年)という調査結果が出ています。
資金援助の額については地域差が見られ、1番低いのは結婚式を会費制で行うことで有名な北海道で111万9,000円、最も高いのは、岡山県・広島県・鳥取県・島根県・山口県といった中国地方で188万8,000円です。
また、子どもが1人の場合と複数いる場合では負担の額も変わりますので、リタイア後のイベント費用として1度、試算してみることをおすすめします。
2. マンションなど住居の住み替え費用
リタイア後は、それまで住んでいた郊外の一戸建てから、
・利便性の高い都心のマンションに引っ越す
・生まれ故郷に戻る
・憧れの田舎暮らしをしてみる
など、住居の住み替えを考える方も少なくありません。
参考までに、平成30年度の中古マンション購入資金の平均額は2,819万円(3大都市圏)という調査結果が出ています。
住み替えをする場合には、
ところから始めましょう。
また、自宅を利用した老後資金準備方法の1つとして、
・ 不動産会社が窓口のリースバック
があります。
どちらもかなり工夫された資金調達法ですので、気になる方は問い合わせしてみてもいいかもしれません。

3. 住み替えはしないが、リフォームする費用
現在の住居に住み続ける場合でも、水回りや、内装など部分的にメンテナンスが必要となることが考えられます。
最近では先々を見据えて、階段に手すりを付けるなど生活補助的なリフォームをするケースも増えています。
どの程度リフォームするかによって、金額に違いが出ますが、平成29年度のリフォーム工事平均金額は759万円、中央値(金額データを順番に並べて中央になった値)は432万円となっています。
・ 大規模リフォームなのか部分的なリフォームなのか
・ 金額をどの程度かけられる
かなど、まずは条件を1つずつあげて、具体的かつ理想とする形を家族と一緒に考えてみましょう。
4. その他、リタイア後の生活スタイルごとの費用
車をお持ちの場合には、将来的に買い替えるのか、維持費を考えて売却するのか、また、旅行や趣味を楽しみたい場合にはいくら位必要か、資格を取って独立開業するにはどの程度の準備金が必要かなど、人生100年時代と考えるとまだまだ先は長く、できることはたくさんあります。
何をするにしても資金は必要ですので、
ことで、リタイア後の明るい生活設計のスタートを切ることができます。
5. 大災害時に備えて緊急予備費を確保する
ここ最近、地震や大きな水害など大規模災害が増えていますが、思いがけない万一の時に備えて緊急予備費の確保をおすすめします。
緊急予備費の目安は、
できると頼りになります。
「老後の生活資金2,000万円不足」という話の捉え方
老後の生活を送るには2,000万円不足するという話が一時期、話題になりました。
もともとは総務省の家計調査における、高齢無職夫婦世帯の平均収入と支出の金額をもとにして算出された不足額です。
しかし、これには預貯金や資産が反映されていないなど、データを鵜呑みにできない背景があります。
2,000万円足りないと簡単に言い切れない部分があるのです。
あくまでも、平均収入や支出で試算しただけの話ですので、リタイア後はお金が足りないと漠然と不安に思う必要はありません。
自分自身の資産、収入、支出の数字をはっきりと出してから、具体的に対策を考えることが人生後半を楽しく過ごすポイントと言えます。(執筆者:AFP、2級FP技能士 大川 真理子)