不動産投資の最大のメリットと言えば、金融機関から借り入れすることで得られるレバレッジ効果です。
レバレッジ効果を使えば、自己資金は少なくても高額の物件を買うことができ、資金を効率よく運用することができます。
しかし、レバレッジ効果はメリットも多いのですが、その分リスクも伴います。
今回は、レバレッジ効果とリスクの関係をお話しいたします。

目次
レバレッジ効果とは
不動産投資の最大のメリットと言えば、やはりレバレッジ効果です。
レバレッジ効果とは、金融機関で借入を起こして資産規模を拡大することで、自己資金の投資効率を上げる手法です。
レバレッジ効果の例
例えば、
利回り:6%
※ ここでは運営費等を差し引いた実質利回りとします。
の物件を購入するとします。
この場合の年間収入は、60万円です。
次に、同じ物件を金融機関から90%借入で購入するとします(ここでは購入諸経費・税金等の費用は省きます)。
借入条件を
金利:2%
期間:25年
とすると年間の返済額は、約46万円になります。
年間収入60万円から返済額46万円を引くとキャッシュフローは14万円です。
この場合、自己資金は頭金で使った100万円なので、14万円 ÷ 100万円 × 100 = 14%となり、
しました。
同じ条件で借入できるのであれば、最大10戸まで物件を購入することができるのです。
レバレッジ効果を使うことで、資産効率は上がり、さらに資産規模の拡大が可能なのです。
これがレバレッジ効果(てこの原理)です。
レバレッジ効果にはマイナス効果もある
上記のようにレバレッジ効果で投資効率がアップする場合を「正のレバレッジ」と言います。
しかし、レバレッジ効果には、投資効率が悪くなってしまう「負のレバレッジ」もあります。
融資期間が短くなったり、頭金なしのフルローンなどで借入する場合には、毎年の返済金額が増え、収支がマイナスになってしまいます。
「負のレバレッジ」の例
例えば、先ほどと同じ価格1,000万円、利回り6%の物件を、
金利:2%
期間:15年
で購入した場合、返済金額は約77万円ですので、収入はマイナス17万円です。
どうしても物件を購入したい場合に、収支がマイナスでも借り入れを行って購入するというケースもありますが、所有物件が少ない最初のうちは手出しが続くのでリスクを考えると余りおすすめできません。

レバレッジ効果のリスク
昨今の不動産ブームでメガ大家、ギガ大家が話題になりましたが、金融緩和による融資情勢を背景に金融機関から多額の借り入れを起こし、レバレッジ効果を最大限に活かしてたくさんの物件を購入した例と言えます。
こういった大家さんは、積算価格が出て融資のしやすい地方の1棟RCマンションを購入しているケースが多く、ほとんどが自己資金を使わずフルローンで購入しています。
そのため、収入が10億円、年間返済が9.9憶円というような感じで、資産は10億円ありますが実際の収入は1,000万円などといったケースもあるのです。
私もメガ大家さんから
という相談を受けたことがあります。
1,000万円の収入があればよいのではないかと思うかもしれませんが、地方物件の場合は空室リスクがあり、築年数がたっていると設備の交換や大規模修繕費用などが必要になり、ほとんど手残りがないといった状態です。
地方物件などメガ大家さんの例
これは極端な例ですが、価格1,000万円、利回り6%の物件を
金利:2%
期間:25年
で購入すると返済額は51万円となり、キャッシュフローは9万円です。
2か月も空室になるとキャッシュアウトするような状況となってしまいます。
今後金利が上がったり、空室率が上がると経営破たんの可能性も高まります。
リスクコントロールが重要
レバレッジ効果を使えば、資金効率をアップさせ、さらなる資産規模の拡大が可能です。
しかし、レバレッジ効果を高めれば高めるほど実際のキャッシュフローは少なくなり、賃貸経営としてはリスクが高まります。
不動産投資を始める際には、いきなり高レバレッジで行わず、最初はある程度頭金を入れてキャッシュフローを多く得ることで賃貸経営を安定させることが大事です。
ある程度経験を積み、リスクコントロールができるようになってから高レバレッジ投資にチャレンジしても遅くありません。(執筆者:山口 智也)