今回は、米国とイランの緊張により上昇を続ける金相場の今後の注意点と、見ておくべきポイントについて解説していきたいと思います。
目次
金価格の特徴

金価格は、
・ 地政学的リスク
に大きく左右されます。
各国の金利動向に価格は左右される
金価格と金利はシーソーの関係にあり、金利が下がると金価格が上昇し、金利が上昇に転じると金利の付かない金の価格は下落する傾向があります。
リスクオフ時に価格は上昇する
金は安定資産であるため、地政学的リスクが上昇すると価格は上昇に転じる傾向にあります。
金価格は一時1トロイオンス1,600ドル台まで上昇した
米国がイランの最高司令官を殺害したことで、原油の供給懸念からブレント原油先物価格は70ドル台まで上昇しました。
地政学的リスクの高まりにより金価格は一時1トロイオンス1,600ドル台と2013年以来の高値を更新しました。
これらの情勢を踏まえ、各国の金利動向および地政学的リスクの可能性を予測することが今後の動向を占う上で重要となるのです。
世界的な低金利が金価格上昇に拍車をかける
2019年に行われた米国の利下げに伴い、各国も利下げに大きく踏み切っています。
ブラジルの政策金利は過去最低水準まで低下し、その他新興国も政策金利を低水準で維持しています。
過去最低水準まで金利を引き下げられていることが金価格上昇の最大の要因となっています。
米国の政策金利は当面の間維持されることが予想されており、金利の上昇は現状期待できません。
トランプリスクに注意

米中貿易戦争の第1フェーズ合意を受け、米国株式市場が史上最高値を更新し相場全体がリスクオンに傾いています。
前述の通り、金価格は通常リスクオン時には下落する傾向がありますが、安全資産である金価格も上昇を続けているのが今回相場の最大の特徴となっています。
これは、トランプ大統領が選挙アピールのために、今回のような予想外の行動を起こす可能性を市場関係者が強く懸念しているためであり、その結果、安定資産である金価格は高値圏で横ばい状態を維持しているのです。
選挙後の動向に注目
以上より現在の金は、
・ 2020年秋の大統領選に向けたトランプリスク懸念が価格の高騰を維持させている
という状態にあります。
また、
ことも価格上昇の原因と言えます。
そのため、年内は金価格が高い水準で推移する可能性がありますが、選挙後は株が上昇するという経験則及び金価格維持要因であるトランプリスクの後退が予測できるため、金価格が調整局面を迎えるのかその動向には注目が集まるでしょう。(執筆者:白鳥 翔一)