介護が必要な家族がいる家庭では、終わりの見えない介護にかかわる費用が家計を圧迫しまいがちです。
そのため、節約を考え少しでも安い物を購入しがちです。
しかし、何でも節約すれば良いというものではありません。
少し節約をしたことが大きな損失につながってしまうということもあります。
今回は、具体例を挙げながら、ここだけはケチってはいけないというポイントを紹介します。
目次
高齢者には転倒防止の良質の靴下を選びたい
まず、1番にお伝えしたいのが「靴下」です。
高齢者の靴下を購入する場合は、多少高くてもある程度の柔らかさの中にも厚みがあり、足底に滑り止めのゴムが施されているタイプを選ぶのがおすすめです。

靴下の値段はピンからキリまであります。
靴下は多少安くてもカラーも柄も豊富なのでつい手に取ってしまいがちです。
しかし、靴下の場合は、安い素材になると薄くペラペラになってしまいます。
もちろん滑り止めも付いていません。
踵部分の厚さにも工夫がなく履き心地やフィット感もいまいちという場合が多いものです。
何より、滑りやすいといえます。ここが一番重要です。
安い素材の靴下を履いて滑ってしまい転倒、骨折したというケースが複数あるのです。
転倒場所としてはフローリングの他に、和室の畳です。
和室の畳では、靴下の素材によっては畳の目の方向に向かって非常に滑りやすくなります。
これは若い人でもそうなのですから、高齢者の方ではもっと転倒リスクが高くなります。
マットレスは動きを阻害しない硬さを選ぶ
次に、マットレスです。
寝心地の良さを重視してマットレス選びは悩むものです。
高価なマットレスの寝心地は抜群でしょうが、安価なマットレスの中にも人気が高いものもあります。
マットレスを購入する場合、特に高齢者の場合にはマットレスの柔らかさを熟考しましょう。

寝具の硬さや重さは人によって好みがありますが、高齢になると体つきやできる動作が使用する用具に影響を受けやすくなります。
柔らかすぎるマットレスは比較的安く売っていますが、体の沈み込みが深いので寝起きの動作の妨げになります。
また、安いことでスポンジやウレタンが底付きしやすく、皮膚や骨に必要以上に圧力がかり床ずれの原因にもなりかねません。
ホームセンターなどに行くと、安い柔らかいタイプのマットレスと3つ折りの真ん中だけが硬めのウレタン素材のタイプを見かけることがあります。
後者の方が1,000円ほど高いのですが、寝起き動作、寝返りがしやすく、一番負荷のかかる腰部、臀部の部分が硬めのウレタン素材なのですぐに底付きする心配もありません。
ウレタン素材のタイプのマットレスでも5,000円以内では購入できる商品もあるので、長く安心して使うことを考えるとお得と言えます。
安心して使えるものを選びましょう
今回は、少し良質なものを選んでも節約につながる物として、靴下とマットレスについて紹介しました。
どちらも生活に必要不可欠です。
専門的な業者から購入しなくとも間に合う場合、衣料品店やホームセンターで購入する際には今回ご紹介した点に留意してみてください。
使用した時の動きや安全面、後々のことをイメージして購入する癖をつけるとそのほかのものも選びやすくなります。
その時は安い方が良いと思っても、長い目で見ると転倒や床ずれで医療費や介護サービス費がかかることを考えてみましょう。
何より、大切な家族に苦痛が生じることがないように、リスクが少しでもないような買い物ができると良いです。(執筆者:老人ホーム施設長 佐々木 政子)