加齢や疾病に伴い、要介護状態に陥る人は現代日本では急激に増加しています。
介護が必要になった時に、自宅で介護する事を選択する人もいますが、施設入居を検討する方もいる事でしょう。
近年では、老人ホームでもホームページを作成し、その中に施設利用料金を記載している施設も多くあります。
もちろん、それを参考に施設を選ぶ方は少なくありません。
しかし、その欄外等に記載されている実費費用に関する注意書きを読み忘れ、入居してから予想外に高額の料金の支払いをしなければならなくなる場合があります。
施設の種別によっても、実費費用となる項目はさまざまです。
今回は、施設入居者の方が予想外に感じる事が多い実費費用について解説していきます。

目次
排泄用品に関する費用は実費か否か
まず、注目するべき点は排泄用品に関する費用です。
ここに挙げる排泄用品とは紙おむつやリハビリパンツ、尿取りパットや使い捨てのお尻拭き等になります。
排泄用品の使用は毎日のことです。
この排泄費用についての料金はどのような支払いになるのかを事前に確認しておくことはとても重要です。
失禁の有無や排泄の回数などによって料金は異なりますが、ひと月あたり1~2万円程度の料金負担が発生します。
介護老人福祉施設や介護老人保健施設などでは排泄用品に関する費用は利用料金の中に含まれており、施設の種別によって請求が発生しない場合もあります。
入居を考えている施設の料金体制がどのようになっているか、入居前に確認しておきましょう。
施設で用意するおむつが市販の料金より高めに設定されている事は少なくありません。
もし、面会に頻繁に行けるという事であれば、自分たちで購入して持ち込みをすればその料金はかからないこともあります。
持ち込みが可能なのかという点も施設に確認しておくと安心です。

洗濯代が実費の場合は料金設定を要チェック
次に挙げるのは洗濯代です。
施設では、定期的に入浴を行うためその都度汚れ物が出ます。
その汚れ物を施設で洗濯してもらうための料金が、実費費用として上乗せされる施設も存在します。
料金設定は洗濯ネット1枚に入る分で1袋計算の場合や衣類1枚ごとの料金を細かく設定されているなど施設によってさまざまです。
入浴については、多くの施設が週2~3回で設定しているため、その都度、洗濯料金がかかると考えられます。
その他にも、排泄の失敗等で衣服を汚してしまったり、毎日衣類は交換するという理念のもと運営している施設もあるので、思っていた以上に高額の請求がきてしまう事もあります。
この洗濯代についても排泄用品と同様、面会をした際に全て持ち帰り家族の方が洗濯をするという事であれば実費での費用負担はありません。
洗濯物の取り扱いや、費用負担についても事前に施設に確認しておくと良いでしょう。
また、介護老人福祉施設等は利用料金の中に洗濯代は含まれているため実費の請求はありません。
しかし、乾燥にかけると縮んでしまうような衣類や、クリーニングが必要な毛布などについては実費で料金が請求される事になるので注意が必要です。
持ち込む衣類については、事前に検討するようにしておいた方が良いでしょう。
通院に要する費用の確認はマスト
実費として注意したい項目には通院に要する費用があります。
多くの入居型施設では主治医(嘱託医)がおり、施設に往診をする形で診察や薬の処方をしてくれています。
しかし、施設内に医師が常駐している施設は少ないため、突発的な体調不良に関しては通院が必要になります。
施設に受診の付添や移送をお願いする場合は、通院費を請求される事があります。
通院費は、病院までの距離や受診に要した時間などによって異なりますが、1回につき数千円かかる場合があります。
提携病院までの通院であれば料金負担は定額または無料としている施設もあるため、入居を決める前に施設に確認しておくと良いでしょう。

入居前にきちんと確認しておきましょう
老人ホームなどの介護施設への入居を考える時に、利用料金を判断基準とする人は多いと思います。
しかし、利用料金はあくまでも基本の料金ということで提示されていることが多いです。
そのため、今回挙げた点についての料金設定がどのようになっているのかを確認することで実際にかかる費用が把握しやすくなります。
実際の利用料金の請求書が来た時に、予想外の料金を支払う事にならないために、施設入居前には細かいぐらいに施設に確認しておく事をおすすめします。
料金表を見てもよくわからない場合や入居したい施設を見つけた場合には、施設に直接確認することもありです。(執筆者:老人ホーム施設長 佐々木 政子)