親でも身内でも、介護をする場合には介護保険を利用することが当たり前になるほど、「介護保険サービス」はとても便利で一般的になりました。
その一方で、介護認定を受けた人でも「障害者手帳」を取得できることは意外と知られていません。
「介護保険+障害者手帳」のサービスを受けることで、介護に関わる費用をより減らせるのです。
この機会にぜひ見直してみましょう。

目次
「障害者手帳」とは
「障害者手帳」とは、障害のある人に交付される手帳のことです。
障害の程度により等級が決まり、その等級によって福祉サービスや医療費、税金等の支援を受けられます。
「障害者手帳」の種類

「障害者手帳」の種類は次の通りです。
「身体障害者手帳」
視覚・聴覚・肢体不自由などが該当します。
ポイントは「障害が永続し生活動作に不自由があること」です。
心臓機能障害でペースメーカーを使っている人は、「身体障害者手帳」を持っていることでしょう。
その一方で、脳梗塞による半身麻痺等では、障害があるにもかかわらず取得している人が少ないという印象を受けます。
「精神障害者福祉保健手帳」

統合失調症・うつ病・高次脳機能障害や発達障害と言われるものが該当します。
ポイントは「精神疾患・発達障害の影響で生活に支障があること」です。
脳梗塞・脳出血による精神障害でも「精神障害者福祉保健手帳」を取れます。
そして、多くの人に見過ごされてしまうのが認知症です。
認知症の症状次第では申請した方がよいと言えます。
「療育手帳」
知的障害の方々が対象です。
「療育手帳」は、高齢者介護に関係してくることはそれ程ないと言えます。
児童相談所等で「知的障害あり」と判定された後に手続きが進みます。
「障害者手帳」で負担軽減できる内容
介護費用を軽減するという意味で「障害者手帳」を持つことでメリットは多いです。
さまざまなサービスや利用料の軽減を受けられ、また税金の控除もあります。
自治体によって受けられる支援に違いはありますが、デメリットは特にありません。
強いて言えば、更新手続きが手間になる程度です。
(1) 医療費、補装具、リフォーム費用の助成
・ 等級により医療費の軽減
・ 生活する上で必要な、補聴器・義肢・車椅子の購入費用の助成
・ 住宅リフォームの費用給付
(2) 所得税・住民税・自動車税などの軽減
「特別障害者控除」
「同居特別障害者控除」
といった種類があり、その等級によって金額が変わります。
(3) 公共料金の割引
・ 鉄道やバスなど運賃割引
・ NHKの放送受信料の割引
・ その他、水道料金・携帯電話・タクシーの割引
などがあります。
障害者へのヘルパーサービスもありますが、介護保険を使っている場合には障害者へのヘルパーサービスは受けられません。
この点は仕方ないです。
「障害者手帳」の申請方法

介護が必要な高齢者に該当するのは「障害者手帳」、「精神障害者手帳」です。
交付の方法は次の通りです。
各市区町村の障害福祉窓口へ相談する。
手順2.
医師の診断を受け、申請書に診断内容を記載してもらう。
手順3.
本人確認書類(住民基本台帳カード、写真、マイナンバー等)とともに窓口に提出。
申請してから決定までは、1か月~数か月かかることが多いようです。
余裕をもって申請しておいた方がよいと言えます。
自治体によって手続きや窓口が変わってくるため、詳細は役所に相談してください。
制度を適切に利用して介護とうまく向き合う
「障害者手帳」のサービスを受けるということは、税金等がそのサービスに充てられるということです。
利用するのであれば適切に利用する必要はあります。
その一方で、「障害者手帳」は「障害のある方が生活できる」ことを目的に制度化されました。
在宅介護は、終わりの見えず非常に大変です。
経済的な負担を軽減できて介護と家庭が両立できるのであれば、制度を上手に使うべきだと思います。
制度を適切に利用して、うまく介護と向き合ってください。(執筆者:小原 しろう)