新型コロナウイルスによる経済への影響が、日に日に顕著になってきています。
日本も緊急事態宣言により1か月の経済活動自粛が行われ、倒産などの悪影響が出てきました。
今後は徐々に経済活動が回復する見込みで、政府の補助も出ますが、景気後退は不可避な情勢です。
このような環境では、将来を見越した資産運用も難しくなるでしょう。
本記事では、不景気に強いとされる債権と不動産(REIT)に加え、インフラファンドについて解説し、厳しい環境での資産運用に役立てていただければと思います。

目次
新型コロナウイルスでいよいよ倒産が増えてきた
新型コロナウイルスの影響による倒産が4月に入って急増しています。
東京商工リサーチの調査によると、特に観光業や宿泊業の中小企業で倒産が増えていることが明らかになりました。
調査によると、ウイルスの蔓延に関連した倒産件数は5月1日の時点で114件となり、3月末の25件から4倍以上となっています。
業種別にみると、宿泊業が26件と最も多く、次いで飲食業が16件、アパレル業が10件となっています。
地域別では、東京都とその周辺地域の倒産が38件と3割強を占めています。
新型コロナウイルスの影響による倒産や廃業は当面増加することが懸念されるようです。
不況時の最有力投資先の債権
景気が悪くなるときは、一般的に株式投資の資金を減らし、債券や不動産などの利回り商品へ資金が振り向けられます。
今回もこの資金移動が有効になるか、状況を確認してみましょう。
まず最も安全性が高いとされる債券を見ると、米国の緊急利下げと金融緩和が原因で、世界中の債権の利回りがなくなっています。
債権ではある程度元本が保証されているため安全ですが、金利がほぼゼロとなっているため、そもそものメリットがなくっているといえます。
利回りを求めて外国債に投資をしても、為替リスクがあるので難しそうです。
銀行に預金していてる方が安全といえそうです。

これまで人気だったREIT(不動産投資信託)
次にREITを見てみると、不動産テナントとして件数の多い、飲食やアパレルの倒産が増えているのは、先ほど紹介した通りです。
また、ここ数年インバウンド需要を取り込んでREIT指数をけん引していたホテル・宿泊業も、倒産件数トップとなっています。
政府は家賃補助を出すなど対策をしていますが、家賃の増額は難しくなるでしょう。
REITの大型銘柄が多いオフィス市況も、賃料が下落基調になっているようです。
これらの状況を鑑みると、REITへの投資は引き続き2~3%の利回りを見込めますが、投資口価格の下落に耐える必要がありそうです。
インフラファンドは指数が開発され資金も流入中
債券とREITの状況から、従来の利回り商品は投資対象とするのが難しそうです。
これらに対し、過去に紹介したインフラファンドは、異なる特徴がみられます。
インフラファンドの特徴を見てみると以下のようになります。
・ FIT制度を活用しているため、収入の多くが定額となっている
・ 2020年5月現在、7銘柄が上場されているが利回りは6%を超えている
これらの特徴に加え、4月から東京証券取引所でインフラファンド指数が算出されるようになりました。
この指数を使ったETFも年内に上場される予定です。
ETFは、購入単価が約1,000円で、利回り5%を見込める商品になる予定です。
景気悪化のニュースで投資しにくい環境が続きそうですが、インフラファンドに注目して資産形成を続けることを検討してみてはいかがでしょうか。(執筆者:卜部 友二)