2020年5月現在、マイナンバーと銀行口座を連結する法案が検討されています。
法案が成立すれば、給付金なども申請なしで支給されるかもしれません。
ただ銀行口座と連動すれば、役所がより個人情報を把握できる状況が整います。
そのため本記事では、「マイナンバーと銀行口座を連動した際、税務調査にどのような影響が出てくるのか」解説します。
目次
連結後は財産を隠すのが困難に

相続税は亡くなった人の財産すべてが対象なので、相続税の脱税を試みる人は、亡くなった人の財産を税務署にバレないように隠そうとします。
また脱税手段としてよく利用されるのが、生活圏外の銀行口座を申告から除外する手口です。
たとえば北海道に住んでいる人が、鹿児島の銀行口座を保有しているとしましょう。
この場合、相続税の申告に口座を記載しなければ、税務署に見つからない可能性もあります。
しかし銀行口座にマイナンバーが連結することにより、税務署はマイナンバーから銀行口座を把握できるようになります。
また相続人名義の銀行口座に相続財産を隠しても、相続人のマイナンバーから口座を割り出すことが可能なりますので、税務署の目を潜り抜けるのは今より難しくなるでしょう。
現段階でも税務署は銀行口座を把握している
マイナンバーと銀行口座が連動すれば、間違いなく税務署の調査能力は向上します。
ただ元税務署職員の私の意見としては、現在でも税務署は銀行口座を把握する手段をいくつも持っていますので、マイナンバーと連動が開始されても、そこまで税務調査の環境が変わるとは想像できません。
また相続税を正しく申告していれば、税務署がいくら銀行口座を調べても、納める税金が増えることはないです。
相続人が知らない銀行口座が探しやすくなる

マイナンバーと銀行口座の紐づけは、税務署や役所にメリットのある話と思われていますが、マイナンバーが連動することで、相続人が亡くなった人の相続財産を把握する手段として活用できるかもしれません。
突然相続が発生した場合や、実家から財産を承継している場合、相続人が亡くなった人の財産をすべて把握するのは大変です。
相続人が知らない財産でも、申告漏れがあれば、相続税と追徴課税の支払いは避けられません。
しかしマイナンバーを利用して銀行口座が確認できるようになれば、相続人が知らない口座でも探すことが可能となり、申告漏れを防げます。
脱税ではなく節税で相続税を抑えよう
税務調査は、申告内容に不明点や、脱税の疑いがある場合に行われます。
そのため、適切に申告すれば、追加で税金を納める事態にはなりません。
そのためマイナンバーと銀行口座が連動して困るのは、ごく一部の人だけです。
なお、脱税は違法行為であり、節税は合法行為です。
相続税を少しでも安く抑えたい方は、脱税手段ではなく節税手段を使いましょう。(執筆者:平井 拓)