相続税にはいろいろな特例や節税方法がありますが、相続人がいちから相続税の知識を身につけるのは難しいです。
そのため税務署で相談するのも選択肢ですが、質問のしかたを間違えると、的確なアドバイスを受けられません。
そこで今回は、税務署窓口でやってはいけない相談方法を、3つご紹介します。

目次
(1) 節税方法を教えて
との趣旨の質問を、税務署職員に対して行っても、あまり意味がありません。
相続税を1番抑える方法は決まっていて、相続財産を取得する権利を捨てる「相続放棄」の手続きを行うことです。
相続放棄をすれば、納める相続税額はゼロですが、その代償として相続財産を一切取得できなくなるため、現実的に実行するメリットはありません。
なので、もし私が税務署職員に節税方法を質問する場合には、
適用できる特例の種類
がわかれば、制度内容や節税効果について、再度職員に質問が可能です。
(2) 申告書を全部作成して
税務署窓口で、
と依頼しても、残念ながら断られます。
所得税の確定申告会場では、税務署職員が申告書の作成を最後まで手伝ってくれますが、相続税は違います。
相続税の申告書作成には、所得税の申告書の何倍もの時間を要するため、1~2時間以内で申告書を作るのは困難です。
そのため税務署に相談する際は、
・ 特例の適用要件の確認
・ あらかじめ自分で申告書を途中まで作成する
など、ポイントを絞って質問をしてください。

(3) 申告をしなければバレない?
私が税務署職員だった当時、
とよく聞かれました。
確かに相続税の申告義務のある人が全員申告しているとは思いませんし、現実には申告を逃れている人もいることも否定できません。
しかし警察官が「万引はバレなければいいですよ」と言わないように、税務署職員も
とは言わないです。
そのため脱税がバレる・バレないについて、職員に聞いても意味がありませんし、逆に税務署から悪い意味で注目される可能性がありますので止めた方がいいでしょう。

税務署窓口は積極的に節税をすすめない
税務署は相続税の相談窓口もありますが、同時に相続税を回収する場所でもあります。
そのため相談担当の職員が、積極的に税金を安くする方法を説明することはありません。
ただ聞かれた質問に対しては、職員もしっかりと回答しますので、質問のしかた次第で自分の相続税の申告で適用できる、節税方法を知ることも可能です。(執筆者:平井 拓)