会社で年末調整が完了している人や、収入がない人は確定申告をする必要はありません。
ただ、会社の給料以外の所得がある場合や特例制度を利用する際は、確定申告手続きが必要です。
申告しないとペナルティが発生したり、特例が適用できなくなりますので、今回は確定申告手続きを忘れやすい3つのケースを紹介します。
目次
1. 2か所以上の会社から給料をもらっている

会社の年末調整により確定申告手続きが不要になるのは、給料をもらっている会社が1か所のみの場合に限られます。
給与所得の給与控除は、その人が1年間で得た給与所得に対して控除され、各会社の給与ごとに控除できるわけではありません。
そのため副業の給与収入がある場合は、確定申告により給与所得を再計算し、算出された所得金額によっては、税金を納めることになります。
なお年の途中で転職し、転職先の会社が前職の収入を反映させて年末調整している場合は、確定申告をする必要はありません。
2. 住宅ローン控除を適用する初年度は確定申告が必要
住宅ローン控除は、確定申告手続きをしてはじめて適用できる特例です。
年末調整で会社に書類を提出するだけで、住宅ローン控除を受けられるようになるのは、特例適用の2年目からです。
そのため住宅用地を適用する初年度は、税務署に確定申告書と必要書類を提出しなければなりません。
なお住宅ローン控除の適用2年目以降でも、会社で年末調整をしない場合は、確定申告により住宅ローン控除を適用してください。
3. 贈与税の特例適用は期限内申告が絶対条件

所得税や贈与税の特例制度は、特例を適用した内容の申告書を提出して、はじめて適用されます。
また特例適用は期限内申告が原則であり、特に贈与税の特例制度のほとんどは申告期限を過ぎると、一切特例適用が認められません。
【期限内申告が絶対条件の贈与税の特例制度】
・ 相続時精算課税制度
・ 住宅取得資金などの非課税制度
・ 教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税制度
・ 結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度
贈与税は、財産をもらった人(受贈者)が申告する税金です。
そのため特例を適用する際は、申告する時点で受贈者が住んでいる場所を管轄する税務署に、申告書を提出してください。
無理に還付申告する必要はない
納税額が発生する場合には、確定申告をしなければいけませんが、還付申告をするかどうかは納税者の判断です。
還付申告の手続きを行えば、納め過ぎていた税金は還付されます。
しかし還付金額が少ない場合、申告書を作成する時間や税務署に行く交通費などを考慮すると、還付申告の手続きをした方が損をするケースもあります。
税金の納め過ぎはもったいない気持ちになりますが、費用対効果を踏まえ、あえて還付申告をしない選択も必要です。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)