※令和3年(2021年)2月3日 時点の情報に基づく記事です。
前回令和元年分の確定申告期限は当初の令和2年3月16日から、国税庁告示により1か月延長されて4月16日となりました。
さらに令和2年分の確定申告期限についても、当初の令和3年3月15日から4月15日に1か月延長されました。
さらに申告期限 以降でも申告を行えなかったやむを得ない理由があれば、確定申告書欄外(e-Taxでは特記事項欄)に「新型コロナウィルスによる申告・納付期限延長申請」と注釈をつけることで、申告日を申告・納税期限とできる個別延長も認められました。
個別延長に期限は定められてないので、令和3年に入っても令和元年分の確定申告を行っていないのであれば、個別期限延長は認められることがあります。
ただ令和2年分の確定申告期間に入ってくるので、令和元年分と2年分両方の申告を考えている場合には注意点もあります。
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令和2年分も同様の個別延長を認める方針
この話はあまり知られていないと思うのですが、令和3年に入ってもコロナ禍は続いていますので、令和2年分においても4 月16日以降に個別期限延長することは認めております(国税庁「令和2年分確定申告における感染症対策に関するFAQ」問38・問39)。
2年分申告→元年分申告では期限後申告に
上記FAQ問37でも言及されておりますが、令和元年分の確定申告を行わず、令和2年分の確定申告期間が来たからと2年分は申告期間内に行った場合、令和元年分は個別延長できず期限後申告となる点に注意してください。
期限後となれば、納税が発生する場合に無申告加算税や延滞税がかかってくるペナルティもあります。
また青色申告者では65万円の特別控除が受けられなくなる大きなデメリットもあります。
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せめて元年分と2年分は同時にできるよう書類を用意し、e-Tax(申告会場で行うケースも含む)の場合には元年分から順番に送信してください。
2年分が申告できるなら元年分もできるはずという理屈
新型コロナその他の事情による個別の期限延長は、申告ができないやむを得ない理由がある場合に認められるものです。
令和2年分が確定申告できているのであれば、令和元年分もその時にできているはずだという理屈に基づいており、2年分だけ先に申告することはやむを得ず元年分を申告できなかったわけでない根拠を自ら明示していることになります。
令和元年分において新型コロナの影響で認められた個別延長は、注釈をつければ無条件・無期限に申告期限が延長できる制度では無いことに注意してください。
本来古い年分から順番に申告すべきもの
新型コロナの影響による個別期限の延長に関して、年分の順番を守らないと追加出費の危険性があることを説明しましたが、コロナと関係なく各年分は古いものから順番に提出すべきだと考えておいた方がいいです。
繰越損失の申告は順番に行わないと失効に
コロナ関係なしに順番に連続して提出しないと受けられないのが、事業・不動産・株式・FXなどの繰越損失を所得から控除できる特典です。
災害があった際に受けられる雑損控除を繰り越す「雑損失の繰越控除」も同様です。
例えば平成30年分で発生した上場株式の譲渡損失200万円を繰り越しているとして、源泉徴収口座で令和元年分に100万円、令和2年分に100万円譲渡所得が発生しているケースを考えます。
平成30年分から令和2年分まで連続して確定申告書を提出していれば、令和2年分で繰越控除が終了し、令和元年・2年分の税軽減が受けられます。
しかしこのケースで令和元年分の確定申告を行わずに令和2年分の確定申告を行った場合、後から令和元年分の確定申告書を提出しても、元年分の繰越控除は受けられません。
このような危険性を考えると、申告期間後に還付申告を行うようなケースにおいても、古いものから順番に申告することを習慣化したほうがいいでしょう。(執筆者:石谷 彰彦)