高齢化社会の日本では、介護保険サービスにはさまざまな種類が存在しています。
「本当にこの介護サービスでいいの?」と迷う方も多くいるものです。
今回は、特に日中に介護が必要な方、介護保険サービスの中でも利用者が特に多い、通所介護サービス(デイサービス)と訪問介護サービス(ホームヘルプサービス)について、利用のメリットと料金を見ていきましょう。

目次
デイサービスのサービス内容・利用料金・メリット
まずは、サービス内容から見ていきましょう。
サービス内容
デイサービスのサービスは、1日または半日という比較的長めの時間で提供されます。
サービス内容は、そのデイサービスの特色によって異なりますが「食事」「排泄」「入浴」などの支援や機能訓練、他の利用者との交流による孤独の防止などが代表的です。
利用料金
サービスの利用料金は、
・ 基本の介護サービス利用料金
・ 昼食付のデイサービスであれば昼食代
・ 施設で準備している排泄用品(紙パンツやパット等)や入浴用品(タオル等)を使用した場合はその費用も必要
です。
介護サービス利用料金は、サービスの提供時間と要介護度によって異なります。
1日型のデイサービスを介護保険制度を活用して利用する場合には、1回あたり500円~1,000円程度(1割負担の場合)の料金がかかります。
昼食代は1回500円~700円程度で設定しているデイサービスが多いため、1回当たりのデイサービスの利用料は1,000円~2,000円程度かかると考えておくとよいことでしょう。
利用のメリット
デイサービスを利用するメリットは、比較的低料金で長い時間支援をしてもらえるということです。
日常生活のさまざまな場面で支援を必要と感じている方にとって、利用している間にはトータルで介護をしてもらえるため安心感を得られます。
また、その方を支援するご家族にとってもデイサービスを利用している時間に休息を取ったり用事を済ませられるため、利用するメリットを感じられると言えます。

ホームヘルパー(訪問介護)のサービス内容・料金・メリット
次に、ホームヘルパー(訪問介護、以下ヘルパーと記載)のサービス内容と利用のメリットを見ていきましょう。
サービスの内容
ホームヘルプサービスは、ヘルパーと呼ばれる介護の専門職が介護を必要としている方の自宅に訪問し、介護サービスを行います。
サービスの内容は、
・ 入浴や排泄など体に直接触れて支援を行う「身体支援」
に大別されます。
サービスの支援内容によって提供時間が異なります。20分という短時間から1時間を超えるものもあります。
ヘルパーサービスは介護が必要な方に関わることのみに支援が制限されるため、希望やついでにできることであったとしても同居している家族のことは支援できません。
利用料金
サービスの利用料金は時間数によって異なりますが、同じ時間数であっても生活援助より身体支援のほうが料金は高く設定されています。
たとえば、30分のホームヘルプサービスを利用した場合には、生活援助は200円程度、身体支援は400円程度かかることとなります。
利用のメリット
ホームヘルプサービスを利用するメリットは、自宅で支援を受けられるということが大きいでしょう。
他の方と過ごすことが苦手であったり、身体的な理由から出掛けることが困難な方たちにとっては、住み慣れた自宅で支援を受けられるということは大きなメリットです。
また、長時間の支援の必要性がない方にとっては料金を低額で抑えられるため、活用のメリットを感じられるサービスであると言えます。

どちらがよいのか:利用を決めるポイント
では、日中の介護サービスにどちらを利用するのが良いと言えるのでしょうか。
利用を決めるポイントは、その方の支援の必要性の度合いと、その方がサービスに何を期待しているのかが大きく関係します。
日常生活に多くの支援が必要ではない場合:ホームヘルプサービス
日常生活に多くの支援が必要ではない方の場合には、ホームヘルプサービスの利用を検討すると良いことでしょう。
短時間で必要な部分のみの支援を受けられるため、料金を抑えることにも繋がります。
ただし、1人暮らしや同居の家族が多忙のため他者との交流がほとんどなく、孤独を感じてそれを解消したいと思っているのであれば、支援場面が少なかったとしてもデイサービスの利用をおすすめします。
日常生活の中で多くの支援が必要:デイサービス
日常生活の中で多くの支援が必要な方であれば、デイサービス利用を検討すると良いことでしょう。
ホームヘルプサービスであれば必要な支援を必要な時間だけ受けられますが、回数が多ければ多いほど費用は嵩んでしまいます。
場合によっては、介護保険の保険適用範囲を超えてしまうこともあります。
そのような場合には、費用を抑えるためにデイサービスの利用を検討することをおすすめします。
ただし、自宅から離れたくないという思いが強かったり、親族の方などで必要な支援の一部を担えるということであれば、ホームヘルプサービスの活用を検討するのも良いことでしょう。
どちらがお得かは利用者のニーズ次第
どちらがお得かというのは、利用する側のニーズによってかわってきます。
したがって、どちらにもそれぞれに利用のメリットがあるというのが結論です。
介護を受ける方の思いや希望、介護サービスに捻出できる費用などを総合して考え、利用するサービスを検討していきましょう。
迷った時には、自分が1番受けたい介護サービス、時間、などを基準に比較するとどちらがお得かを比較しやすくなります。
介護費用の見直しや介護費用を抑えたいという時には担当のケアマネジャーなどに相談することも1つの方法です。
介護費用の負担も少なく、希望する生活に少しでも近づけるようサービスを上手に選択していくことは、いつまで続くかわからない介護生活にはとても大切なことです。(執筆者:現役老人ホーム施設長 佐々木 政子)