新型コロナ禍で、失業する人が増えています。
厚生労働省は2月26日に、新型コロナの影響で解雇された人が昨5月からの累積で9万人を超えたと公表しましたが、野村綜合研究所が3月1日に公表したアンケート調査の結果によれば「実質失業者」は約150万人いるとのことです。
「実質失業者」とは、パートとアルバイトのうち、シフトが5割以上減少していたり、休業手当を受け取っていない人たちのことです。
ここに、総務省が「労働力調査」で試算している1月の完全失業者数は197万人を足すと、なんと350万人以上の人が仕事を失ったり収入が激減したりしているということで、未曽有の危機というほかはありません。
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お金をもらいながら資格を取れる
しかしながら、「ピンチはチャンス」と言います。これを機に、将来を見据えて就職に役立つ資格を取るのもよいのではないでしょうか。
「ハローワーク」の「職業訓練」なら、お金をもらいながら資格を取れる可能性があります。
「職業訓練」を受けている人が、その間に月10万円(条件あり)の給付金をもらえる制度があるからです。
「職業訓練」には、「介護」「医療」「パソコン」などがありますが、これから最もニーズが高くなりそうなのが「介護」です。
実は、2030年~2040年の「団塊の世代が80歳代から90歳代になる時期」に向けて、国も介護に力を入れざるを得ない状況になっています。
そこで、政府でも手厚い支援をしているのです。
「介護職」への手厚い支援
その政府の手厚い支援策が「介護職就職支援金貸付事業」と「離職介護人材再就職準備金貸付事業」などです。
未経験からの介護職に「介護職就職支援金貸付事業」
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2021年4月から「介護職就職支援金貸付事業」が始まります。
これまで介護とは無縁だった人が介護や障害福祉分野への転職をすることを促進する制度で、
してくれます。
ただし、
ことになっています。
資格取得のための職業訓練は無料で、訓練期間は2~6か月程度です。20万円は就職準備金なので就職前に支給されます。
これは、4月に始まる介護に未経験な人に対する制度です。
介護職経験者に「離職介護人材再就職準備金貸付事業」
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一方で、既に1年以上の介護職の実務経験があって資格なども持っているが、何らかの理由で今は介護の現場を離れているという人に対しては「離職介護人材再就職準備金貸付事業」という制度があります。
介護福祉士の資格をとるなら「介護福祉士等修学資金貸付」
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≪画像元:社会福祉法人 東京都社会福祉協議会「介護福祉士等修学資金貸付制度リーフレット (pdf)」≫
本格的に介護を目指すのであれば「介護福祉士」の資格をとっておくというのもよいかもしれません。
資格手当がついて給料がアップしたり、職場でリーダー的な立場で働ける可能性もあるからです。
ただし、この資格を取得するには、3年以上の実務経験者が「介護福祉士実務者研修」を受講したうえで受験するか、あるいは養成施設に2年通わなくてはなりません。
資格を手に入れるのに最も手っ取り早いのは、養成施設に通うことです。
これには、「介護福祉士等修学資金貸付」という制度があり、
してもらえます。
2年制の養成施設であれば融資額は最高126万円とかなりの額になりますが、卒業後5年間、介護業務や相談業務に従事すれば、この全額が返済免除されます。
「介護」も5G時代に突入していく
介護の職場は、「きつくて大変」だと言われてきました。
そのため、外国人労働者を多く雇っていましたが、新型コロナでこうした人が入国できず、もともとの人手不足に輪をかけてその度合いが深刻化しています。
そこで、これを機にロボット化やIT化を進めるところが増えてきました。先進的な介護施設では既ににこうしたものを取り入れていてます。
2年ほど前にある施設を取材した際に、マッスルスーツという腰を補助する簡易ロボットを装着させてもらったのですが、施設の入居者を楽々と持ち上げられたことに驚きました。
「介護職の人は腰を痛める」ということをよく耳にしますが、こうしたものが普及すれば、かなり楽になると思いました。
また、タブレット端末「iPad」を導入して排泄の時間などをそれぞれに管理し、日中はオムツなしでも大丈夫という施設もありました。
さらに、部屋にプライバシー保護のために影だけが映るカメラを設置してプライバシーを守りながらも、転倒していたり起き上がれなくなっている人はすぐに分かるなどという装置もありました。
これから5G(第5世代移動通信システム)の時代になると、介護も大きく変わることでしょう。
すでに昨年、NECやSOMPOグループのSOMPOケアが介護施設で食事介護に5Gを使う実証実験で、業務負担の軽減を確認しています。
介護現場にもどんどんとAIが導入されていけば、労働時間も短縮できる可能性があります。
介護の現場も進化しています。向き不向きもあるとは思いますが、将来を見据えると仕事の選択肢の1つとして「介護」もアリなのかもしれません。(執筆者:経済ジャーナリスト 荻原 博子)