家族に介護が必要になったとき、思いのほか役に立つのが介護用品です。
介護に必要な道具をそろえるためにはお金がかかるため、その費用を節約したいと考える方も多いものです。
近年では介護用品を100円ショップなどで販売するようになり、うまく活用する事で介護にかかる費用を節約する事が可能です。
しかし、100円ショップで販売している介護用品の中には十分検討してから購入した方が良いと思われる商品も存在しています。
今回は100円ショップで購入する前に検討したい商品を紹介します。
目次
安全性重視で要検討：杖
加齢や疾病に伴い、下肢の筋力は低下していきます。
下肢筋力が低下すると、歩行に支障が生じ、長距離の移動ができなくなったり、歩行する事自体が難しくなる事もあります。
そんな方の移動を補助する役割を担う介護用品として杖があります。
近年100円ショップでも杖を販売している店は増えており、その金額は100円～300円程度で設定されています。
介護用品店等で杖を購入しようとすると、数千円～1万円程の金額がかかるため、100円ショップで購入した方が費用の節約になると思われる方は多いかもしれません。
しかし、100円ショップの杖は長さが伸び縮みする訳ではないため、使用者の体に合うサイズの物が売っているとは限りません。
使用者の慎重に合わせた杖を使用しなければ、支えにならないばかりでなく、杖を持った事でバランスが取れず転倒に繋がる可能性もあるのです。
また、杖の材質によっては体重を支え切れず曲がってしまったり、杖の先端についているゴムの滑り止めが十分機能しない事もあります。
お守り代わりとして所有する杖であれば100円ショップの杖でも役割を果たせる場合はあるでしょう。
しかし、その杖にかなりの荷重をかけなければ歩行する事が困難な方にとっては不向きな商品です。
歩行能力が衰え、杖などの移動補助用品を購入したいと考えた場合は、介護用品店で購入する事をおすすめします。
介護用品店には「福祉用具専門相談員」と呼ばれる専門職が配置されている事があります。
専門職のスタッフに相談する事で、その時の身体状態に適した商品の紹介を受けられます。
また、要介護認定を申請し「要支援」または「要介護」の認定を受けている場合は、介護保険を活用して杖をレンタルする事も可能な場合があります。
レンタルは月々数百円の自己負担で行う事ができ、適宜メンテナンスも行ってもらう事ができます。
使用頻度で要検討：介護用エプロン
高齢になり、握力の低下が見られると、食事を摂る際に橋やスプーンなどをうまく使う事ができなくなり、食べこぼしが見られる事も増えてきます。
その際に食べこぼしで洋服が汚れる事を防ぐための介護用品として、介護用エプロンがあります。
介護用エプロンは通常数百円～1,000円程度で販売されており、洗い替えも考えると数千円単位での出費となります。
それが100円で購入できるとすれば、大きな節約になると考えられます。
しかし、100円ショップで販売している介護用エプロンは、防水性や撥水性が介護用品店等で販売されている物よりも弱いため、水分やみそ汁などをこぼした時に十分受けきる事ができず、衣類を汚してしまう事もあります。
衣類を汚さないために使用している介護用エプロンですが、使用者の身体機能によっては十分にその目的を果たす事ができない事もあるのです。
ご飯やおかずなどを多少食べこぼすだけであれば、100円ショップで販売している介護用エプロンで十分衣類の汚れ防止という役割を果たす事ができますが、食べこぼしが多く見られる方については、100円ショップでの購入は十分検討した方が良いと考えられます。
厚さや枚数で要検討：おしりふき
加齢や疾病に伴い、トイレに間に合わずに失敗してしまう方少なくありません。
人によってはおむつを使用し、ベッド上で交換するという方もいます。
そんな時に役立つアイテムとしておしりふきがあり、それは100円ショップでも取り扱いをしているお店が多いです。
ドラッグストア等で販売しているおしりふきは、枚数などに差はありますが、1セット200円～400円程度で販売されているため、100円ショップで購入した方が節約になると考える方もいらっしゃる事でしょう。
しかし、100円ショップで販売されているおしりふきは、1枚1枚が比較的薄いため、排泄物で汚れた箇所を綺麗にするためには多くの枚数を消費してしまうことがあります。
その結果、ドラッグストアなどで販売しているおしりふきを購入するより割高となる可能性もあります。
常におむつ交換を必要とする方などに使用する場合は特に、100円ショップでの購入は検討した方が良い商品であると言えるでしょう。
強度・頻度も考慮する
便利で様々な物が販売している100円ショップですが、節約のためと思って購入した商品が実用的でなければ損をしてしまいます。
しかし、100円ショップでの介護用品の取り扱いも増えてきているため、使い勝手が良い商品がみつかれば大きな節約につながります。
今回は少し慎重に選びたい商品にスポットをあててみました。
安全安心で介護費用節約につながるよう、お役立てください。（執筆者：現役老人ホーム施設長 佐々木 政子）
