各年に厚生労働省より診療報酬改定が行われていますが、現在、医療発展とともに入院期間が短期化されてきています。
入院が長期化すると病院の収益が下がる傾向にあります。
そのため、どの病院でも入院期間が短縮化されているのが実状となっています。
今まで介護保険を持っていなかった被保険者は、入院期間に介護保険を申請して自宅に帰らなければいけません。
しかし、介護保険申請にあたり、申請に動き出して認定されるまで地域にもよるが約1か月以上かかることがあります。
入院の短期化もあり、急かされるように退院してしまうため、退院時の生活をイメージしにくくなっているという現状があります。
そこで、入院中にできる在宅介護への準備と介護費用節約につなげるコツをご紹介します。
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目次
退院に向けての病院の動きを理解する
入院中は治療することに専念しながらも自宅へ帰ったあとのことも、何かと気がかりなものです。
退院時の生活をイメージできないことで、必要な介護がわからず不安な気持ちから、たくさんのサービスを入れてしまうことが多くあります。
病院では、自宅に帰ることを目標に日常や訓練でリハビリをしながら生活をしています。
各個人の社会的因子や環境的因子、健康状態を把握しながら、帰宅を目指して医療を行っています。
また、介護保険が必要な生活に介護サービスを入れて、帰るための準備も整えます。
例えば、歩行器がないと歩けない方に対して、どのような歩行器を選択すればいいかなどです。
その際に、
「買い物や外出時に使えるものなのかどうか」
という、さまざまな要素を考えて選択していきます。
可能であれば医療従事者の自宅訪問
家族が現在行えている日常生活の動きを把握していないと、適切な介護サービスを選択できないことがあります。
入院中の生活ではできている動きでも、退院後、自宅に帰ったらできないこともたくさんあるという場合もめずらしくありません。
患者は入院している間に可能な範囲でできることを増やして退院するのですが、医療従事者と家族の前では見せる動きが違うことがあります。
そこで、医療従事者が住宅訪問を行うことで、病院生活と自宅生活のギャップを埋めることができる場合があります。
実際に医療従事者が同行し自宅に帰った場合、必要な場所に必要な福祉用具、必要なサービス、必要な介護を入れることができます。
プロの目から見て適切な介護量を選択するだけで、介護保険の料金を節約することにつながります。
退院してからの介護費用節約につながる
退院してから適切なサービスを受けていると、生活に慣れてきて帰宅時よりも日常生活動作の向上がみられてきます。
これは、入院が短期化しているので、まだ改善していることが多く残っているためです。
実際には病院にいるよりも自宅生活のほうが自身で動かなくては生活ができないため、活動性がどんどん向上していきます。
「できれば、まだ入院していたい」と思っても、プラスに考えてみましょう。
1日でも短い退院により入院費用が削減されるうえ、活動的に生活を行うことができれば、福祉用具やサービス、介護などの必要がなくなり、介護費用の節約につながることになります。
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退院後の不安は入院中に伝えておこう
家族がケガや病気で入院して、退院後に介護保険を取得しないといけないケースは多々存在します。
現在の病院の体制、国の診療報酬の特徴、医療の発達を考慮すると入院期間が少なくなる、このことを知っておくことです。
可能な場合には、退院時に医療従事者の自宅訪問を実施することで、焦ることなく適切な介護量を選択することができます。
家族や本人にとって、退院後から始まる介護の不安や負担は大きいものです。
退院後の不安は入院中に伝えておきましょう。
必ず、対応方法を一緒に考えてくれるものです。
介護費用の節約は金額でズバリ示すことは難しい事ですが、目の前の状況をきちんと把握し、最適な介護サービスを受けることが、結果的に介護費用を抑えることにつながっていることを忘れないでください。(執筆者:現役老人ホーム施設長 佐々木 政子)