令和4年10月1日から75歳以上の方等で一定以上の所得がある方は、医療費の窓口負担割合が2割になりました。
昨今、色々な食品や料金が値上がりしている中で、医療費が2割負担になることは、高齢者の方にとって、負担感が大きいです。
今回は、健康保険の保険料や医療費の自己負担額や自己負担額を軽減する方法等を見ていきます。
目次
【65歳~74歳】健康保険と医療費の自己負担額について
65歳から74歳までの方の健康保険等を見ていきます。
65歳で会社を退職した方の場合、退職後の健康保険に加入する方法について以下の3つの方法があります。
- 入っていた健康保険を任意継続する
- 国民健康保険に加入する
- 家族の扶養に入り、その会社の健康保険に入る
任意継続の場合は、加入できる期間は退職後2年間までです。
保険料は、基本的には2年間変わりません。
任意継続と国民健康保険では、保険料が異なる為、自身の場合はどのような金額になるのかを調べる必要があります。
健康保険組合ならば、HPへの記載や資料を取り寄せるなどで確認ができます。
国民健康保険ならば、市区町村の担当窓口に問い合わせができます。
注意点
退職した次の日から「20日以内」に申請しなければ、加入できなくなります。
退職前から必要書類を調べる等し、退職後スムーズに手続きができるように準備しましょう。
国民健康保険、健康保険組合どちらに入っている場合でも、70歳から74歳の方には、医療機関等での自己負担割合を示す、「高齢受給者証」が発行されます。
所得の状況によって、自己負担割合が決定します。
一定の基準に該当すると負担割合が下がりますので、ぜひ当てはまるかどうかの確認をおすすめします。
それぞれの事情に合わせて保険料や利用できるサービスなどを検討し、自分にあう健康保険を選んでください。
参照:
全国健康保険組合 協会けんぽ 1.任意継続被保険者となるための要件
【75歳から】健康保険と自己負担額
75歳からは、後期高齢者医療制度に加入することになります。
例外として、65歳以上74歳以下の方で、一定の障がいがある場合、申請することで後期高齢者医療制度に加入できます。
後期高齢者医療制度は、都道府県ごとで、すべての市区町村が加入する広域連合が運営しています。
窓口負担の割合は、令和4年9月30日までは、現役並みの所得者の方は、窓口での負担割合が3割、他の方は1割負担でした。
今回、現役世代の負担を抑え、国民皆保険の継続の為に、窓口負担割合の見直しが行われました。
その結果、令和4年10月1日からは、一定上の所得がある方は2割負担になる人が出てきました。
2割になる方は、後期高齢者医療の被保険者全体で約20%となります。
2割負担になる方には、令和4年10月1日からの負担割合が記載された被保険者証が送られてきています。
負担を抑える配慮措置が、令和4年10月1日から令和7年9月30日まで受けられます。
配慮措置の内容としては、外来医療の窓口負担が1割から2割になった場合の差額が1か月3,000円以上となった時に、払い戻し等があります。
外来医療の窓口で1か月間に支払う金額としては、
窓口負担割合1割の医療費 + 1か月間合計で3,000円
になります。
払い戻しは、高額療養費として登録されている口座へ自動的に振り込まれます。
2割負担になられた方で、今まで高額療養費の払い戻しについての口座登録がない方には、申請用紙も郵送されています。
後期高齢者医療保険者証は、毎年、8月1日から新しい被保険者証に変わります。
今回の変更により、いつもとは違う時期に新しい保険証が口座登録の申請書とともに送られてきているので混乱されている方もいるでしょう。
病院などにも、負担割合の変更などのポスターが貼られていますが、理解が難しい方もいるかもしれません。
今回登録されていない場合には、払い戻しが生じた際に申請の為の書類が再度送られてきます。
払い戻しがあることから、還付金詐欺かと思われてそのままにされているという場合もあります。
75歳以上のご家族がいる方は、被保険者証を確認し、2割負担となっている場合には手続きを一緒にすることをおすすめします。
参照:
板橋区 65歳から74歳までの方の後期高齢者医療制度への加入
厚生労働省 後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)
医療費の負担が多い場合
体調不良などで、病院で検査等を行うと窓口負担が多くなる場合があります。
そんな時は「高額療養費制度」や「高額介護合算療養費制度」が利用できるか検討しましょう。
高額療養費制度とは、1か月に支払った医療費が自己負担上限額を超えると、返ってくる制度です。
高額医療・高額介護合算療養制度とは
世帯に介護保険の受給者がいて、1年間、介護保険の自己負担額と医療費の自己負担額の合計が自己負担限度額を超えた場合に、返ってくる制度です。
高額医療・高額介護合算療養制度の申請先は、入っている健康保険に申請します。
合算するのは、医療保険上の世帯の自己負担額になる為、注意が必要です。
医療保険上の世帯の考え方とは、同じ健康保険組合に加入している家族のことです。
両制度とも対象となる方には、自動的に申請書が送られてくる場合があります。
参照:
全国健康保険協会 協会けんぽ 高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)
厚生労働省 高額医療・高額介護合算療養制度について(pdf)
負担軽減の方法を入手
日本は超高齢者社会です。高齢者の医療費の現役世代への負担が増えてきています。
今後、後期高齢者医療の保険料の引き上げも検討されているようです。
高齢者になると、医療とのかかわりが多くなり、支出の中で医療費が占める割合も増えていきます。
ややこしい内容でわかりにくことも多いものですが、案内のリーフレットや関係窓口、問い合わせなどを活用して、負担軽減の方法を知り、上手に利用していきましょう。(執筆者:現役老人ホーム施設長 佐々木 政子)