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賞与が「年4回以上」支払われた場合のメリットとデメリット

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賞与が「年4回以上」支払われた場合のメリットとデメリット

新型コロナウイルス感染症は2323年5月8日付で第5類へと移行し、緊急事態宣言時と比べると(もちろんリスクがゼロということではありませんが)ある程度落ち着いたとみてよいでしょう。

そこで、企業によっては支給が延期または中止されていた賞与の支給が再開しているというケースも増えています。

今回は社会保険上で賞与の支給回数が増えたことによる影響を解説します。

賞与が年4回以上支払われた場合の影響

年4回賞与が支払われた場合の影響とは

原則として、年4回以上「賞与」が支給される場合は「報酬」扱いとなります。

そして、賞与を支払った場合は、支払日から5日以内に賞与支払届を届出しなければなりません

賞与の定義は「労働の対償」として支給されるもので、かつ、年3回以下の支給であるため、業績向上等によって、年4回支給されるとういことも起こり得ます。

そのような場合、毎年4月から6月に支給された報酬を報告する算定基礎届に加算して届出する必要があります。

突発的に年4回賞与が支払われた場合

今回の事例のように明らかに「今年度に限って」支給されたことが明らかな賞与については支給回数に算入しないことになっています。

また、名称は異なっていても同一性が認められる場合は、その支給のたびに判別をすること、例外的に賞与が分割支給された場合(例えば計算に誤りがあったために追加支給した)場合は1回として扱うなどの例外的な取り扱いもあります。

年4回の賞与は社会保険上、「報酬」と扱われることとなります。

ただし、制度として運用するには就業規則等に規定を整備しておく必要があり、また、規定の整備が追い付いていない場合は過去の取り扱いも考慮する必要がありますが、少なくとも例外的に年4回以上の支給となった場合は、月々の給与に含める必要はありません

年4回以上の賞与のメリットとデメリット

メリット1:保険料の負担

標準賞与額(賞与支給総額から1,000円未満を切り捨てた額)は健康保険が年度で573万円、厚生年金は1か月当たり150万円が上限となっています。

他方、標準報酬月額の場合、厚生年金は65万円が上限ですので、仮に標準報酬月額が既に65万円(等級にすると32等級)の方の場合は賞与を報酬に合算されたとしても厚生年金保険料は変わらないこととなります(健康保険は厚生年金保険よりも更に上位の等級があります)。

他方、賞与の場合は支払った都度、保険料が発生します。

メリット2:給付額の増加

傷病手当金や出産手当金については「標準報酬月額」を用いて支給額が算出されます。

仮に「賞与」が年4回以上支給されたことで、「標準報酬月額」が増えると支給額も増えるということです。

これは傷病手当金に限定されるわけではなく、出産手当金にも当てはまります

デメリット1:年金額への反映

厚生年金の標準報酬月額は「65万円が上限」ですので、これを超える報酬を受けていても、将来受け取る年金額への反映はありません

現在は賞与を受給した場合も賞与分は年金額に反映しますが、「賞与」が年4回以上支給されたことで、「標準賞与額」ではなく、「標準報酬月額」が増えたとしても標準報酬月額が既に65万円に達している場合は年金に反映しません。

デメリット2:月々の保険料額の増加

賞与にかかる社会保険料は、言うまでもなく、賞与を支払った際に発生しますが、「賞与」が年4回以上支給されたことで、「標準賞与額」ではなく、「標準報酬月額」が増えた場合、月々の報酬と合算して算定が行われますので月々の保険料額が増えることとなります。

デメリットや享受できるメリットを総合的に考慮

賞与の支給時期については、一般的には夏と冬の年2回というケースが多い印象です。

例外的に年4回となった場合は、月々の報酬と合算して扱われることはありませんが、制度として、あえて年4回以上支給する場合は、起こり得るデメリット、享受できるメリットを総合的に考慮して進めていくことが重要です。(執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾)

《蓑田 真吾》
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蓑田 真吾

執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾 蓑田 真吾

社会保険労務士 独立後は年金などの社会保険制度、人事労務管理に関する講演活動を行い、また、労務トラブルが起こる前の事前予防対策に特化。現在は有効的な社会保険制度の活用、様々な労務管理手法を積極的に取り入れ、企業をサポートしています。 【他保有資格】2級ファイナンシャル・プランニング技能士、労働法務士 等 寄稿者にメッセージを送る

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