
家族の一員として長く暮らしたペットとのお別れは、何度経験しても慣れるものではありません。いざそのときが来ると、火葬をいつ、どこに頼めばよいのか戸惑う方も多いはずです。依頼先は大きく自治体と民間の2つに分かれ、費用や見送り方が変わってきます。悲しみの中で慌てて決めなくて済むよう、火葬までの流れと費用の目安を落ち着いて整理します。
ペットを見送るまでの時間の目安
ペットが亡くなってから火葬までの目安は、遺体の状態や季節、依頼先の受付体制によって変わります。急がなければならないものではありませんが、安置環境によって状態は変わるため、早めに依頼先へ相談して日程を決めると安心です。
気をつけたいのが季節です。夏場など気温が高い時期は傷みが進みやすいため、早めの火葬が安心です。それまでの間は、風通しのよい涼しい場所に寝かせ、保冷剤などで体を冷やして安置します。寒い時期でも、安置できる時間は保管環境によって変わります。お別れの時間の取り方に正解はありません。ご家族が納得できるかたちで進めるのがいちばんです。
自治体と民間、2つの依頼先
火葬の依頼先は、お住まいの自治体と、民間の火葬業者やペット霊園の2つに大きく分かれます。実は、この2つでは遺体の法律上の扱いそのものが違います。
飼い主が処理を自治体に委ねた場合、ペットの遺体は法律上「一般廃棄物」として引き取られ、焼却されるのが基本です(廃棄物処理法・環境省)。一方、供養を目的に民間の火葬・霊園を利用する場合は、その遺体は廃棄物には当たらないとされています(旧厚生省の見解)。つまり同じ火葬でも、自治体は「処理」、民間は「供養」という位置づけの違いがあるわけです。
どちらが良いかは、かけられる費用や見送りへの思いによって変わります。費用を抑えたいなら自治体、手厚く弔いたいなら民間、というのが大まかな目安になります。
自治体と民間で変わること
具体的にどこが違うのかを、主な項目で並べると次のようになります。ただし自治体の対応は地域差がとても大きく、費用も扱いも一律ではありません。

※費用や扱いは自治体・業者によって幅があります。金額は目安で、実際は依頼先ごとに必ず確認してください。
自治体の手数料は地域差が大きいのが実情です。ごみと一緒に焼却する引き取りなら数百円ほどで案内する自治体がある一方、横浜市のようにペットの遺体の引き取りに6,500円かかる地域もあります。自治体の回収・引き取りでは合同での焼却となり、遺骨は返らないことが多く、より手厚く送りたい場合には、自治体の斎場で有料の個別火葬に対応している地域もあります。大型犬など体の大きなペットは受け付けられないこともあるため、事前に公式サイトや窓口で確認しておくと安心です。
民間の火葬プランと、一緒に送れるもの
民間に依頼する場合、見送り方に応じて合同火葬、個別一任火葬、個別立会火葬などのプランがあります。合同火葬は、ほかのペットとまとめて火葬する方法で、費用は抑えやすい反面、遺骨は混ざるため返却は受けられません。個別一任火葬は、一体ずつ火葬して遺骨を引き取る方法です。個別立会火葬は、お別れから火葬、お骨拾いまで家族が立ち会う方法で、人の見送りに近いかたちで最後まで付き添えます。
棺代わりの箱に一緒に入れて送れるものは、依頼先によって異なります。自治体の斎場では、少量の生花・乾いたエサ・紙類に限る例もあります。一方で、金具の付いた首輪や缶詰など燃えないものは断られる場合があります。入れてよいか迷うものは、事前に業者へ確認しておきましょう。
費用とトラブルを避けるための進め方
ペットの火葬、とくに自宅まで来てくれる訪問火葬は、料金体系や追加料金の条件が事業者ごとに異なります。ペット火葬に特化した公的な相談統計は確認できませんでしたが、民間業者を選ぶときには、「基本料金」「出張料金」「夜間・休日料金」「骨壺代」「返骨の有無」「キャンセル料」などを確認 しましょう。
備え方は、人の葬儀サービスと同じです。国民生活センターは料金トラブルを防ぐポイントとして、事前に情報を集めること、見積書の明細をよく確認すること、打ち合わせは家族など複数で行うことを挙げています。ペットの火葬でも、電話や公式サイトで費用と作業の範囲、追加料金の条件を先に確かめ、余裕があれば複数の依頼先を比べると安心です。それでも困ったときは、消費者ホットライン「188」に電話すると、身近な相談窓口を案内してもらえます。
気持ちの整理とあわせて選ぶ
大切なペットとのお別れは、心の準備が追いつかないまま訪れます。だからこそ、費用を抑えたいなら自治体、手厚く見送りたいなら民間、という大きな向き不向きだけでも知っておくと、いざというときに落ち着いて選べます。元気なうちに、費用や流れ、家族の希望を少し話しておくのもひとつの備えです。慌てて決めず、ご家族が納得できるかたちで送り出してあげてください。


