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お盆の帰省先で親が入院。8月から変わった高額療養費の上限と、対象外の出費

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お盆の帰省先で親が入院。8月から変わった高額療養費の上限と、対象外の出費
お盆の帰省先で親が入院。8月から変わった高額療養費の上限と、対象外の出費

お盆の帰省で、親の体調の変化に気づくことがあります。入院と聞いても、高額療養費があるから大丈夫と考えがちです。ただ、ひと月の上限額は令和8年8月から変わり、差額ベッド代や食事代のように対象外の出費もあります。新しい上限額と入院前に確かめたいことを、家計目線で整理します。

お盆の帰省を前に、実家からかかってきた電話

「入院することになったから、そっちは気にしないで」。お盆の帰省を翌週に控えた夜、実家の親からそう電話を受けた40代の会社員がいます。声はいつもどおりで、深刻さは伝わってきません。それでも翌日は仕事を早めに切り上げ、新幹線に飛び乗ったといいます。

病室に着いてまず頭に浮かんだのは、治療そのものよりお金のことだったそうです。年金暮らしの親に、入院費を払える蓄えがどれだけあるのか。自分がどこまで肩代わりすることになるのか。聞きたくても、本人の前では切り出しにくい話でもあります。

高額療養費という制度があることは知っていました。ただ、いくらまでで支払いが止まるのか、いつ戻ってくるのかまでは答えられなかったそうです。帰省のあいだに何を確かめておけばよかったのか、あとから気づいたことが多かったといいます。

病室の希望を聞かれて、手が止まった場面

「個室しか空いていないのですが、こちらでよろしいですか」。入院の手続きで窓口に呼ばれ、料金の書かれた用紙を差し出されて手が止まった、とその会社員は振り返ります。

静かな部屋のほうが親も休めるだろうと思う一方で、1日あたりの金額が入院日数ぶん積み上がることも頭をよぎります。断ったら心証が悪くなるのではないか、という迷いもありました。結局その場でよく分からないまま署名し、後日、この差額分は高額療養費の対象外だと知ることになります。

入院のお金は、公的医療保険でカバーされる部分と、そうでない部分に分かれます。どちらがどちらなのかを先に押さえておくと、窓口で迷いにくくなります。

高額療養費は、ひと月の窓口負担に上限をかける仕組み

高額療養費制度は、医療機関の窓口で支払った自己負担が重くなりすぎないよう、月ごとの自己負担限度額を超えた部分をあとから保険者が払い戻す仕組みです(厚生労働省)。限度額は加入者の所得に応じて決まるため、同じ入院でも収入によって止まる位置が変わります。

入院の場合は、窓口での支払いをはじめから自己負担限度額までにとどめる現物給付の仕組みが用意されています。外来でも、平成24年4月から同一の医療機関で限度額を超える場合に同じ扱いが導入されました。あとから払い戻しを受ける形だと、いったんは手元の現金が要ります。

窓口での支払いを上限までにとどめるには、マイナ保険証を利用するか、事前に「限度額適用認定証」を用意しておきます。認定証の手続き先は、加入している健康保険組合、協会けんぽ、市町村の国民健康保険、後期高齢者医療広域連合のいずれかです。親がどれに入っているかは、帰省中に確かめておきたいところです。

令和8年8月から変わった、ひと月の自己負担限度額

自己負担限度額は令和8年8月の診療分から見直されました。長く治療を受ける人への配慮として多数回該当の金額は据え置かれ、月ごとの上限が引き上げられています。

お盆の帰省先で親が入院。8月から変わった高額療養費の上限と、対象外の出費

窓口で払う割合は、70歳未満が原則3割、70歳から74歳が2割、75歳以上が原則1割で、所得が高い場合は2割または3割になります。70歳以上には外来だけの上限も別にあり、年収およそ370万円までの区分は個人ごとに月22,000円(年間216,000円まで)、住民税非課税の区分は月11,000円(年間96,000円まで)です。さらに住民税非課税で所得が一定以下の区分では、世帯ごとの上限が15,700円、外来が8,000円と低く抑えられています。

今回の見直しで新しく加わったのが年単位の上限です。月ごとの上限に届かない月が続いても、8月から翌年7月までの1年間で自己負担が年単位の上限を超えれば、超えた分は払い戻しの対象になります。また、この約370万円までの区分のうち、健保では標準報酬月額15万円以下など、年収換算で約200万円までと確認できた人は、年単位の上限が41万円となり、令和9年8月以降に払い戻される扱いです。なお、令和9年8月からは所得区分がさらに細かく分かれます。

家族の分をまとめる世帯合算と、4回目から下がる多数回該当

ひと月の自己負担が上限に届かなくても、負担が軽くなる場合があります。ひとつが世帯合算です。同じ月に同じ公的医療保険に加入する家族が受診したときや、一人が複数の医療機関にかかったときに、それぞれの自己負担を合算して上限と比べられます。70歳未満は1つの医療機関で21,000円以上になった自己負担だけが合算の対象で、70歳以上はすべての自己負担を合算できます(全国健康保険協会)。

ここで気をつけたいのが、合算できるのは同じ公的医療保険に加入している家族どうしだという点です。後期高齢者医療制度に入っている親と、勤務先の健康保険に入っている子は、別々の保険なので合算できません。帰省して付き添う側の医療費を足せるわけではない、と考えておくほうが安全です。

もうひとつが多数回該当です。直近12か月のうち高額療養費に該当した月が3か月以上あると、4か月目からは上限額がさらに下がります。今回の見直しでも、この金額は現行の水準のまま据え置かれました。

高額療養費の対象にならない出費

入院中の支払いがすべて高額療養費でカバーされるわけではありません。差額ベッド代のような保険外併用療養費の差額部分や、入院時食事療養費、入院時生活療養費の自己負担額は対象外です(全国健康保険協会)。上限額まで払えば終わり、とはならない点が見落としやすいところです。

食事代は、令和8年6月1日から一般の区分で1食550円になりました。住民税非課税世帯は270円、住民税非課税世帯で過去1年間の入院日数が90日を超える場合は220円と、区分に応じて軽減されます。

差額ベッド代は医療機関ごとに設定されており、全国の集計では、令和7年8月1日現在[有大1]の1日あたり平均徴収額が1人室で8,710円、全体で7,026円でした(中央社会保険医療協議会)。1日単位で見れば小さくても、入院が長引くほど効いてきます。

ただし、差額ベッド代はどんな場合でも払うものではありません。厚生労働省の通知は、患者に特別療養環境室の料金を求めてはならない場合として、次のような例を挙げています。

・料金を明示した文書に署名を受ける形で同意を確認していない場合(室料の記載がない、署名がないなど内容が不十分な場合を含む)

・患者本人の治療上の必要から入院させる場合(病状が重篤で安静を要する、免疫力が低下している、終末期の苦痛を緩和する必要があるなど)

・病棟管理の必要などから入院させ、実質的に患者の選択によらない場合(他の病室が満床だったために入院させた場合を含む)

他の部屋が空いていないという理由で個室に入った場合でも、ただちに差額ベッド代が不要になるわけではありません。設備や料金について明確な説明を受け、そのうえで患者側が同意していれば、徴収される場合があります。一方で、説明が不十分なまま署名を求められた場合や、実質的に患者の選択によらない入室だった場合は扱いが変わります。説明を受けて自分から希望したのか、そうではないのかを、署名する前に確かめておきましょう。

帰省のうちに、保険証と加入先だけは確かめておく

親の入院でまず効くのは、金額の暗記ではなく、加入している公的医療保険がどれかを知っていることです。マイナ保険証か限度額適用認定証があれば、窓口の支払いははじめから上限までにとどまります。差額ベッド代は、署名の前に理由を確かめておきましょう。迷うときは加入先の窓口や病院の相談窓口へ、早めに聞いてみてください。

《編集部》
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