
家を売ると決めたら、何から始めて、費用はいくら見ておけばいいのか。実は、手順の型はほぼ決まっており、かかるお金も上限や税額が公的に定められているものが目立ちます。査定から引き渡しまでの流れと出ていくお金を押さえ、最初の一歩を踏み出しましょう。
住み替えを考え始めた50代夫婦の迷い
「売るなんて、何から手を付ければいいのか分からない」。住み替えを考え始めた50代の夫婦が、長年住んだ戸建てを前にこぼす、よくある心配ごとです。買うときは不動産会社に導かれて進んだのに、売る側に回ると、誰に何を頼み、いくらかかるのかが急に見えなくなります。
同じところで立ち止まる人は少なくありません。それでも、進む順番と費用の当たりを先に付ければ、迷いはぐっと減ります。
査定から引き渡しまで、売却の段取り
出発点は、住宅ローンの残高を確認したうえで、複数の不動産会社に査定を頼むことです。得意分野は会社ごとに違うため、査定額そのものより「なぜその額か」の説明を聞き比べると、任せる相手を選びやすくなります。相場感もこの比較でつかめます。
頼む会社を決めたら媒介契約を結びます。契約には3つの型があり、どこまで1社に任せるかが変わります。

専任媒介と専属専任媒介は有効期間が3か月までで、業者間の物件情報ネットワークである指定流通機構(レインズ)への登録義務もあります。
契約後は、広告や内覧対応といった売却活動が続きます。買い手が決まったら売買契約を結び、後日、代金の決済と物件の引き渡しを済ませて完了です。
仲介手数料に印紙税。売るときに出ていくお金
大きいのは、売買が成立したときに不動産会社へ支払う仲介手数料です。上限が国の告示で決まっており、報酬額は税込みで、売買代金(建物に消費税等相当額が含まれる場合はそれを除いた額)のうち200万円以下の部分は5.5%、200万円を超え400万円以下の部分は4.4%、400万円を超える部分は3.3%と、部分ごとに計算した合計額までです。
2024年7月からは、価格800万円以下の物件の特例もあります。空き家の流通を促すために設けられた仕組みで、空き家かどうかは問われません。不動産会社は通常の上限を超えた手数料を受け取れますが、その額は依頼者の一方につき30万円の1.1倍(税込み33万円)以内。媒介契約を結ぶ前に、上限額の範囲内で合意しておくことも重要です。
紙の売買契約書には印紙税もかかります。軽減措置があり、代金が1,000万円超5,000万円以下なら1万円です(2027年3月31日までに作成する契約書が対象)。また、住宅ローンが残っている家は、引き渡しまでに完済して抵当権を消すのが通常で、その登記も要ります。登録免許税は不動産1個につき1,000円、土地1つと建物1つの戸建てなら2,000円です。登記を司法書士に頼む場合は別途報酬がかかります。なお、売れて利益が出たときは税金がかかる場合があります。
まず動くなら、ローン残高の確認と査定の依頼
家の売却は、査定に始まり、媒介契約、売却活動、売買契約、引き渡しへと進みます。流れとお金の出どころを先に知っておけば、途中の判断で慌てずに済みます。まずは住宅ローンの残高を確かめ、気になる不動産会社を2~3社選んで査定を頼むところから動き出してみましょう。


