
家賃の安い公営住宅に申し込めるかどうかは、収入で線が引かれます。ただしその線は全国一律ではなく、住んでいる自治体の条例で決まります。国の政令が置いているのは、上限と参考にすべき額だけです。誰がその線の内側に入るのか、収入はどう計算されるのかを解説します。
法律が求めている条件は2つ
公営住宅法が入居者に求めている条件は2つです。ひとつは収入が基準の額を超えないこと。もうひとつは、現に住宅に困窮していることが明らかであることです。
このうち収入の基準は、事業主体である都道府県や市区町村が条例で定めます。国の政令は、条例で定められる上限を月25万9千円とし、参考にすべき額として月15万8千円を示しているだけです。高齢者や障害のある人がいる世帯など、特に居住の安定を図る必要がある場合として条例で定めた場合には、上限のほうの額まで基準を引き上げられます。
なお、同居する親族がいることは法律上の条件に入っていません。単身で申し込めるかどうかも、自治体の条例で決まります。
「収入」は年収でも手取りでもない
ここでいう収入は、入居する人と同居者の過去1年間の所得金額を合計し、そこから決められた控除を引いて12で割った額です。月あたりの所得という考え方なので、年収の額をそのまま基準と比べても答えは出ません。

年金で暮らす人の場合も、受け取った年金額がそのまま判定されるわけではありません。公的年金等の雑所得として計算した額から、さらに控除を引いた額で見ることになります。
入居したあとに収入が上がったら
入居後の収入は、2つの段階で扱いが分かれます。引き続き3年以上入居していて基準を超える収入があると収入超過者となり、住宅を明け渡すよう努める義務が生じます。家賃も、毎年の収入の申告に基づいて近傍同種の住宅の家賃に近づいていきます。
さらに引き続き5年以上入居し、最近2年間続けて国の政令上は月31万3千円を超える収入があると高額所得者にあたります。ただし、自治体が条例で別の明渡し請求の収入基準を定める場合は、月25万9千円以上31万3千円未満の範囲で基準を定めることがあります。この場合、事業主体は期限を定めて明渡しを請求できます。期限は請求の日の翌日から6か月を経過した日以後とされ、病気などの特別の事情があって申し出たときは延長される仕組みも置かれています。
数字は、住むまちの募集要項で確かめる
条例で決まる以上、同じ世帯構成でも自治体によって線の位置は違います。申し込みを考えるなら、住んでいる自治体の募集要項で基準額と控除の扱いを確かめるのが近道です。所得証明書を手元に置き、控除を引いたあとの月額で見比べてみてください。募集の時期や受付の方法も自治体ごとに違うので、基準額とあわせて確認しておくと動き出しやすくなります。


