
延長コードが床をはっていると、壁にコンセントをもう1つ増やしたくなります。工具も部品もホームセンターでそろい、手順を見せる動画もあります。ただ、住宅の配線に手を入れる作業は電気工事士でなければ従事できないと法律で決まっています。自分でできる範囲は、思っているよりかなり手前で線が引かれています。
テレビ裏のたこ足配線に困った30代の思いつき
「壁にコンセントをもう1つ増やせば、この足元のごちゃごちゃが片づくのに」。テレビとゲーム機とルーターで差し込み口が足りず、電源タップを重ねて使っている30代の会社員は、休みの日にそう考えました。
調べてみると、部品は数百円から手に入ります。手順を解説した動画も見つかり、道具さえあればできそうに見えました。ところが電気工事士法を読むと、この「できそう」と「やってよい」の間には、条文で引かれたはっきりした線があります。
資格が要る作業と、要らない作業の線引き

電気工事士法3条2項は、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業は電気工事士でなければ従事してはならないと定め、そこから外れる「軽微な作業」を経済産業省令に委ねています。住宅がこの一般用電気工作物等にあたります。
省令にあたる電気工事士法施行規則2条は、一般用電気工作物等について、軽微な作業を「次に掲げる作業以外の作業」という書き方で決めています。その「次に掲げる作業」として、前項第一号イからヌまでとヲの作業、一定の接地線作業が挙げられています。上の表は、このうちコンセント増設に関係する主な作業を読み替えたものです。
例外として条文に明記されているのが、露出型の点滅器や露出型コンセントを取り換える作業です。壁の表面に付いている器具をそのまま入れ替える場合に限られ、新しく取り付ける場合は含まれません。埋め込み型のコンセントも、この括弧書きには入っていません。
無資格で従事すると罰則がある
同法14条は、3条の規定に違反した者を3月以下の拘禁刑または3万円以下の罰金に処すると定めています。工事の出来ばえが良かったかどうかは関係なく、従事したこと自体が対象です。
賃貸住宅では、これに加えて貸主の承諾という別の問題も出てきます。壁に穴を開ける作業は原状回復の話につながるため、資格のある業者に頼む場合でも、先に管理会社へ確認しておく必要があります。
頼む前に、どこまでが工事なのかを知っておく
差し込み口が足りないという困りごとは、電源タップで済むこともあれば、壁の中の配線を触る工事になることもあります。この2つは条文の上でまったく別の扱いです。自分でどこまでできるかを先に見極めれば、業者に伝える内容もはっきりします。動画のとおりにできそうだと感じたときこそ、施行規則2条の並びに戻って確かめてください。


