
投資信託の一覧で、名前に「ESG」や「サステナブル」と付いた商品が目に留まった方もいるでしょう。環境や社会に良さそうな響きですが、名前だけでは運用の中身までは分かりません。金融庁が監督指針で示した確かめどころを手がかりに、交付目論見書を開いてみませんか。
名前の響きと中身がずれる「グリーンウォッシング」
ESGを運用にどう取り入れるかは、投資信託ごとに違います。環境省の用語集によると、ESGは環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)を示す言葉で、英語の頭文字をとったものです。
金融庁の「資産運用業高度化プログレスレポート2022」は、国内の投資信託は一般的に信託財産の成長を目的とし、環境や社会への効果の創出を目的としていない場合が多いと説明しています。名前にESGを掲げながら運用の実態が見合っていないのではという懸念は、グリーンウォッシング問題として世界的に指摘されてきました。
金融庁の監督指針が引いた「ESG投信」の線
金融庁は2023年3月31日から適用した監督指針の改正で、ESGに関する公募投資信託の情報開示や運用会社の態勢整備の確かめどころを定めました。ここでいう「ESG投信」は、ESGを投資対象選定の主要な要素とし、かつ、交付目論見書の「ファンドの目的・特色」にその内容を書いている公募投資信託です。財務指標などと並ぶ要素としてESGも考慮する公募投資信託には、ESGが主要な要素だと誤認させる説明がないかを確かめるとしています。
見落としやすいのが名前です。監督指針は、ESG投信に当たらない公募投資信託の名称や愛称に、ESG、SDGs、グリーン、脱炭素、インパクト、サステナブルなど関連する用語が含まれていないかを確かめる項目に挙げています。2023年3月末までに設定され、名前に用語が残るものは、ESGを主要な要素としていない旨を交付目論見書に明記しているかを見るとしています。たとえば名前に「グリーン」と付いていても、交付目論見書にその旨があれば、監督指針のいうESG投信ではありません。
交付目論見書と交付運用報告書で読むところ
名前の次に見るのが、交付目論見書の「ファンドの目的・特色」です。監督指針は、ESG投信がこの欄に、主要な要素となるESGの具体的な内容や運用での勘案方法を書いているかを確かめるとしています。
購入後は、交付運用報告書で様子を追えます。目標や目安を置いたESG投信なら、実際の投資比率や達成状況を継続的に提供しているかが確かめる項目です。記載すべき事項は、電磁的方法で提供されることもあります。

名前の次は「目的・特色」の欄、迷ったら販売会社へ
名前のESGは、運用の中身を知る入り口にすぎません。気になる投資信託は、交付目論見書でESGが主要な要素かを読み、購入後は交付運用報告書で取り組みの状況を追ってみてください。分からない記載は、販売会社に尋ねて確かめておきましょう。


