医療技術や治療薬、また検査機器の進歩により「がんは治せる病」というイメージが浸透しつつあります。しかしその一方で、「再発や転移の可能性の高さ」や「高額になる治療費」などの問題点も多く残っているのが実情

医療レベルでは殆ど差がないといわれるアメリカでは、がんの死亡率が減少している傾向にあるのに対し、日本では依然増加傾向のままとなっています

その違いは「国を挙げての取り組み」が徹底していること。

特に子宮頸がん検診や乳がん検診の受診率は70~80%と高く、日本の受診率はその半分程度の40%に留まっています。(2013年厚労省国民生活基礎調査)

仕事や家事、妊娠・出産・子育て、介護など、忙しい毎日を送る女性のための検診にはどんなものがあるのでしょうか。

助成制度のある女性の検診とは

女性が対象となる検診では、それぞれの自治体により様々な助成制度が受けられるようになっています。

特に乳がん検診、子宮頸がん検診、骨粗しょう症の検診などを対象としている自治体が多く、HPや広報紙などでもその詳細を見ることが出来ます。

乳がん検診

乳がんに罹る要因として挙げられているのは、

・遺伝性
・飲酒や喫煙
・経口避妊薬やホルモン補充療法などの体外から女性ホルモンを追加すること
・初潮が早く閉経が遅い
・妊娠、出産、授乳などの経験がない、もしくは少ない

遺伝性と飲酒・喫煙以外の要因では、女性ホルモン「エストロゲン」が大きく関係しています。上記のような体内のエストロゲン濃度の高い時期が長ければ長いほど、乳がんに罹るリスクも高くなると言われています。

◆視触診…専門医が乳房を視て触って行なう検査です。

胸のしこりや変形、リンパ節の腫れ、乳頭からの分泌物などを調べます。

初期の段階では視触診のみの検査での発見は難しいため、画像検査を併用することが重要です。

◆マンモグラフィ…X線で乳房を撮影する検査です。

乳房を片側ずつ機械に挟むようにして撮影します。

乳房~リンパ節にあるしこりの大きさや形、石灰化の有無を判断することが出来ます。

妊娠中、もしくはその可能性がある場合はNG。乳房が張りやすい生理前や生理中もなるべく避けた方が良いでしょう。

◆エコー(超音波検査)…X線を使用しないので妊娠中の人でも受けられる検査です。

マンモグラフィで見付けられなかった小さなしこりの発見も可能です

これらの検査を併用して行なわれます。

子宮頸がん検診

近年20~30代の若い世代に急増している子宮頸がん。

ヒトパピローマウイルスによる感染が原因で発症します

感染してから5~10年かけてゆっくり進行すると言われています。

子宮頸がん検診は月経周期や生理痛、不正出血の有無、妊娠や出産歴等の問診が行なわれ、内診により子宮頸部を観察、一部組織を採取して顕微鏡などで異常の有無を確認します

骨粗しょう症の検診

女性ホルモンと密接な関係があるとされる骨粗しょう症。特に閉経後、女性ホルモンの分泌が減ることにより、骨密度も急激に減少すると言われています。

60歳代になると骨粗しょう症の女性患者の数は男性の3倍になるというデータが出ているほど。特に女性は積極的に検診を受ける必要があります。

40歳を過ぎた女性の場合、5年ごとの節目検診を行なっている自治体が多くなっています。(閉経後の女性であれば年に1回の検診が理想的です。)

骨粗しょう症の診断はX線や超音波、血液や尿の検査などによって行なわれます。

自治体により無料のところもあれば、1,000円前後の自己負担が必要になるところまで様々です。

女性の検診助成制度は自治体により様々

東京都世田谷区では

・乳がん検診…40歳以上で今年度偶数年齢を迎える女性区民、自己負担額1,000円

・子宮頸がん検診…20~39歳以上の女性は毎年受診可能

40歳以上の場合は今年度偶数年齢を迎える女性区民で2年に1回受診可能、自己負担額800円

・骨粗しょう症検診 30歳~70歳女性で5歳ごとの節目年齢の人、自己負担額400円

兵庫県神戸市では

子宮頸がん検診は20歳以上1,700円、乳がんは40歳代が2,000円、50歳代が1,500円となっており、ともに偶数歳の誕生日を迎える女性市民が対象です。

また骨粗しょう症の検診は18歳以上の女性、40歳以上の男性が対象で自己負担額は1,000円となっています。

宮城県仙台市では

子宮頸がん検診が年齢に関係なく1,700円、乳がん視触診検査は30~39歳が700円、40歳以上はマンモグラフィ併用で1,400円となっています。

いずれも40歳以上で仙台市の国民健康保険加入者は無料です。

このようにそれぞれの自治体によって検診の内容や自己負担額に違いがあります。検診を受ける際は予約や自治体発行の検診受診表などが必要になります。必ず事前に自治体のHPや情報紙、広報紙等で確認しましょう。

助成制度って、どれくらいお得なの?

実際に自費により検査を受けた場合はどれくらいかかるのでしょうか。

福岡市にある乳腺クリニックのHPによると、自費診療の場合(特に目立った症状などがなく検診のみが目的)

・視触診とエコー(超音波検査)  4,700円
・視触診とマンモグラフィ     6,800円
・視触診とマンモグラフィとエコー 1万300円 

となりますが、福岡市が発行するクーポン券を使って医療機関で検査を受けると、

・視触診とマンモグラフィ 40歳代の方     1,500円
・  〃       50歳以上の方    1,200円
・追加でエコーを希望する場合は     プラス3,500円

集団検診を利用するのであれば、40歳代が1,300円、50歳以上が1,000円と更に安くなります。

また福岡市の健康づくりサポートセンターでは土日祝日に各種検診を受けられることが可能で、有料ではありますが託児もOK。

平日は仕事で忙しい人や、小さい子どもがいて検診を受けにくい人への配慮がなされています。

更にここでは乳がん検診や子宮頸がん検診は女性医師を中心に行なわれており、女性が「検診に行きやすい」環境が整っています

ライフスタイルの見直しと検診への意識を高めることがポイント

「国民の2人に1人が、何らかのがんにかかる」といわれる現代。

特に乳がんにおいては女性の罹りやすいがんのトップになっていて、亡くなった人の数がこの40年で5倍となっています。がんは早期発見・早期治療が何より重要。これが治癒率を大きく左右すると言っても過言ではありません。

まずは、

・栄養バランスの取れた食生活
・適度な運動を心がける
・睡眠や休養を十分に取る
・ストレスや疲れを溜めない
・健康や病気に対する正しい知識を身に付ける
・住んでいる自治体の検診制度を把握する

などのことを意識して行なうことが大切です。

現在は自治体ごとに検診の内容が異なりますが、今後は受診することが当たり前になるような国を挙げての取り組みを期待したいところです。(執筆者:藤 なつき)