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銀行預金は2018年からマイナンバーの適用対象 貯蓄考慮の軽減制度から見る、マイナンバーによる預金残高捕捉の狙い。

シニア 介護
銀行預金は2018年からマイナンバーの適用対象 貯蓄考慮の軽減制度から見る、マイナンバーによる預金残高捕捉の狙い。

社会保障制度においては、所得制限が設けられているものは数多くあります。確定申告や、会社における年末調整の結果を踏まえて所得制限の審査はあります。

ただ困窮しているかどうかの判断基準として、所得の大小だけでなく所有資産(預貯金残高など)の大小もあります

介護保険の居住費・食費軽減制度


資産の大小を見られる有名な制度生活保護ですが、明確な資産残高の基準をもって判断される社会保障制度は、介護サービスにおいて見られます。

老人ホームなどの介護施設を利用した場合にかかる食費や居住費(部屋代)は、値段自体は介護施設との契約で決まりますが、下記の所得要件と資産要件の両方に当てはまった場合は上限が設けられています

所得要件

まずこの軽減制度を受ける原則的な前提として、世帯全員が住民税非課税者である住民税非課税世帯(さらに配偶者が別世帯であれば、配偶者も非課税者)という要件があります。

軽減の程度に応じて第1段階~第3段階が設けられており、第1段階が一番軽減されます。基準は下記の通りになります。

第1段階 老齢福祉年金受給者もしくは生活保護受給者

第2段階 合計所得金額(公的年金等に係る雑所得除く)+公的年金等収入額が80万円以下

第3段階 第1段階・第2段階以外の方

※老齢福祉年金とは、大正5年4月1日までに生まれた方が70歳からもらえる年金です。

所得制限に関しては多くの社会保障制度で設けられていますが、この制度で特徴的なのは「公的年金等収入額」に関しては非課税年金(障害年金・遺族年金等)を含めて判定される点で、扶養の「130万円の壁」に近い部分があります。

資産要件


現預金等純資産残高(有価証券・投資信託・貴金属を含み、ローンは差し引く)の基準は

配偶者がいる場合 2,000万円以下 
配偶者がいない場合 1,000万円以下

第1段階~第3段階のすべてで、この資産要件を満たす必要があります。また申請日前2か月以内の最終残高が基準となります。

なお住民税非課税世帯でなくとも、現預金等残高450万円以下など一定要件を満たす場合は、第3段階に該当することになります。

食費・居住費の上限額

食費に関しては、下記の日額上限が設けられます。

第1段階 300円
第2段階 390円
第3段階 650円

居住費に関しては、上記の段階だけでなく部屋の種類によって0円~1,310円の範囲で細かく値段が設定されています

マイナンバーで口座残高を捕捉する意義

上記の軽減制度は負担する能力があるかを見るために、確定申告や住民税申告によって決まる所得だけでなく、非課税年金や銀行預金・証券口座に至るものまで幅広く考慮しています

非課税年金は日本年金機構が取り扱いますので、マイナンバーで把握するのは容易です。

マイナンバーで資産残高まで把握できれば、上記軽減制度の要件にあてはまるかの審査は大きく効率化されます

銀行預金は2018年からマイナンバーの適用対象


銀行預金は2018年からマイナンバーの適用対象とされ(ただしマイナンバー届出は任意)、財務大臣は2021年から預金口座への登録義務化の方向を発表していました。

しかし、すでに金融機関が口座名義人からマイナンバーを収集する動きはあります。

マイナンバーを金融資産の把握に利用することには、徴税の観点から国民の批判も呼んでいますが、一方で社会保険料や医療費・介護費などの負担能力把握に大きな役割を果たすものと考えられます。

高齢者にも保険料・医療費の負担を求めていこうという動きもあり、マイナンバーの存在で高齢層に偏在していると言われる資産を基準にしていきやすい方向にはあります

社会保障制度の所得制限に資産残高制限を加えた基準が、今後広がりを見せていくことも予想されます。(執筆者:石谷 彰彦)

《石谷 彰彦》
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石谷 彰彦

石谷 彰彦

1977年生まれ。システム開発会社・税理士事務所に勤務し、税務にとどまらず保険・年金など幅広くマネーの知識を持つ必要性を感じFPの資格を取得。行政非常勤職員や個人投資家としての経験もあり、社会保障・確定申告・個人所得税関係を中心にライティングやソフト開発を行う。近年は個人の金融証券税制に重点的に取り組み、上場株式等課税方式有利選択ツールを公開。お得情報の誤解や無知でかえって損をする、そんな状況を変えていきたいと考えている。 <保有資格>AFP・2級FP技能士・日商簿記2級 寄稿者にメッセージを送る

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