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iDeCoは病気やケガ(保険)、相続、自己破産などの備えとして使える。優れた点を最大限に引き出す4つの活用術。

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iDeCoは病気やケガ(保険)、相続、自己破産などの備えとして使える。優れた点を最大限に引き出す4つの活用術。

税制面で優遇されている「iDeCo」

税制面で優遇されてるiDeCo

2017年1月から公的年金の加入者であれば、国民年金の保険料の免除者などの一部の方を除いて、個人型の確定拠出年金(以下では愛称の「iDeCo」で記述)に、誰でも加入できるようになりました。

そのため従来は加入資格のなかった公務員、国民年金の第3号被保険者に該当するため、自分で保険料を納付する必要のない専業主婦なども、iDeCoに加入できるようになったのです。

このiDeCoが他の老後資金を準備するための制度より、優れている点としては、

(1)掛金を拠出する時

(2)拠出した掛金を運用する時

(3)拠出した掛金とその運用益を受け取る時

3つの段階における税制面の優遇です。

例えば投資から得られた利益に対しては、所得税、住民税、復興特別所得税を合わせて、20.315%の税金が課税されますが、(2)の税制面の優遇により、これらの税金が非課税になります。

こういった税制面の優遇を受けるために、iDeCoへの加入を勧める金融関係の専門家は多いようです。

ただiDeCoは次のように、病気やケガ、相続、自己破産などの備えとしても活用できるので、これらのためにiDeCoに加入しても良いと思うのです。

1. 一定の障害状態になった時に請求できる「障害給付金」

iDeCoは60才まで引き出せない

iDeCoは老後資金を準備するための制度ですから、拠出した掛金とその運用益は原則として、最低でも60歳にならないと引き出せません

しかし政令(内閣が制定する命令)で定める程度の、次のような障害状態になった場合には、60歳になる前であっても、「障害給付金」として引き出せるのです。

・ 1級および2級の障害基礎年金を受給している

・ 1~3級までの身体障害者手帳の交付を受けている

・ 療育手帳(重度の者に限る)の交付を受けている

・ 1級および2級の精神保健福祉手帳の交付を受けている

例えば

・ うつ病などの「精神障害」
・ がんや糖尿病などの「内部障害」
・ 手足の障害などの「外部障害」

は、障害年金の対象となる病気やケガに該当するため、障害年金は意外に広い範囲の病気やケガに対応しているのです。

これらの病気やケガが悪化して、日常生活に支障が出るようになると、障害基礎年金を受給できる可能性があり、受給できればiDeCoの障害給付金を請求できます。

ですから

iDeCoは民間の医療保険や介護保険などと同じように、病気やケガの備えとして活用できる

のです。


2. 非課税枠により相続税が課税されにくい「死亡一時金」

相続税が課税されにくい「死亡一時金」

一定の障害状態になった場合だけでなく、iDeCoの加入者が死亡した場合にも、60歳になる前に拠出した掛金とその運用益を、「死亡一時金」として引き出せます。

死亡一時金の税法上の取り扱いは「みなし相続財産」になるため、これを受け取った遺族に相続税が課税されます。

ただ「500万円 × 法定相続人の数」という非課税枠があるため、例えば夫が死亡して、妻と2名の子供が相続人の場合には、1,500万円までは非課税になるのです。

しかも生命保険から支払われる死亡保険金にも、同様の非課税枠があるため、両者を合わせて3,000万円まで、非課税にできる可能性があります。

ですからiDeCoは生命保険などと同じように、相続の備えとして活用できるのです。

なお2015年1月から相続税の基礎控除額が、「5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)」から、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」に引き下げられました。

これにより地価の高い都市部に持ち家がある場合には、一般的な会社員の家庭でも、相続税が課税される可能性が出てきたため、死亡一時金や死亡保険金の非課税枠を使えるか否かが、明暗を分けるかもしれません。

3. 受取人になる方は相続放棄しても「死亡一時金」を受給できる

相続放棄しても「死亡一時金」を受給できる

総務省が5年ごとに実施している「住宅・土地統計調査」によると、2013年時点で日本国内に空き家は820万戸(空き家率:13.5%)もあり、これは過去最多の水準になるそうです。

しかも今後はさらに増えていくと予想されるため、政府は1年以上放置された空き家の、固定資産税を引き上げできる法律を制定して、空き家を減らそうとしております。

こういった状況を受け、相続放棄により親が住んでいた持ち家を、相続しない方もいるようです。

また親に多額の借金があるような時にも、相続放棄を選択する場合があると思います。

相続放棄をすれば持ち家や借金を相続しないで済みますが、親がためていた預貯金なども相続できなくなります

相続放棄をしやすい状態にする

iDeCoの死亡一時金は、民法上の相続財産には該当せず、生命保険の死亡保険金などと同じように、受取人になる方の固有の財産に該当するため、相続放棄しても受給できるのです。

将来的に子供が持ち家を相続する見込みがなく、空き家になる可能性が高いのなら、死亡一時金や死亡保険金で子供に財産を残し、持ち家やその他の財産は、相続放棄しやすい状態にしておくという考え方もあると思うのです。

注意点

1. iDeCoの加入者が死亡してから5年間に渡って、死亡一時金の請求がない場合には、死亡一時金は民法上の相続財産として取り扱われるため、早めに手続きを済ませる必要があります。

2. 相続放棄した方は「500万円 × 法定相続人の数」という非課税枠を、使えなくなる点にも注意する必要があります。

4. iDeCoに加入していれば自己破産しても老後資金を残せる

備えあれば憂いなし

自己破産をした場合、原則として保有している財産は換価されて、債務の返済に充てられます。

例えば将来的に受け取る可能性のある退職金は、仮に今すぐに退職したら、いくらになるのかをお勤め先に試算してもらい、その8分の1に相当する金額の財産と評価して、債務の返済に充てるのです。

しかしiDeCoに拠出した掛金とその運用益は、換価の対象となる財産にはならないため、自己破産しても保全されます

そのため十分な収入があるうちに、iDeCoに加入して掛金を拠出しておけば、万が一に自己破産しても、拠出した掛金とその運用益を、老後資金として残せるのです。

節税や老後資金の準備のために、iDeCoに加入する方は多いと考えられますが、例えば個人事業主や中小企業の経営者にとっては、

自己破産の備えになる

という点も大切になると思うのです。(執筆者:木村 公司)

《木村 公司》
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執筆者:社会保険労務士 木村 公司 木村 公司

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。 【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種 寄稿者にメッセージを送る

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