収益物件であれば新築ワンルームや新築アパート、実住物件であれば新築マンションやリノベーションマンション、戸建など、分譲会社や不動産業者が売主の物件が売り出されていることがあります。

売主から直接購入すると仲介会社を通す必要がなく、仲介手数料が不要となるので、お得なのではないかと考える方も多いと思います。

確かに

「仲介手数料は 3% + 6万円(消費税別)」

と、約4%程度必要なので、支払わなくて良いならメリットはあります。

しかし、本当に売主業者の物件を買うのは得なのでしょうか。

売主物件は仲介手数料不要だが物件の価値は自力で判断

収益物件の場合の収益構造

収益物件において、売主が分譲会社や不動産会社の物件というと、新築ワンルームや新築アパートなどがあります。

収益物件の場合は、購入後に賃貸経営を行うことになりますが、首都圏だと

・ 新築ワンルームは利回り4〜5%

・ 新築アパートは利回り6〜7%程度

に設定されています。

売主業者も土地を仕入れる段階で利回りを設定し、実現が可能であれば建設するという流れです。

新築ワンルーム

新築ワンルームの場合は、分譲会社が物件を建設し、販売会社が委託して物件を販売します。

その収益構造はどうなっているかというと、例えば2,000万円の物件の場合、物件にもよりますが

・ 物件のコスト:大体6〜7割程度

・ 利益:1.5〜2割

・ 販売会社への報酬:1.5〜2割

です。

新築プレミアム価格とよく言われますが、実際には3割〜4割程度のマージンが乗っているというわけです。

新築ワンルーム

新築アパート

新築アパートの場合は、アパートメーカーが物件を建築し、自社でセミナーなどを行って販売しています。

収益構造は、1億円の物件の場合、物件コストは7〜8割程度です。

新築ワンルームと比べると、販売会社を使わないので、売主業者のマージンは少し低めです。

新築のアパート

実住物件の場合の収益構造

新築マンションは、収益物件と収益構造はほぼ同じなので説明は省きます。

売主が不動産業者の、リノベーションマンションや戸建についてお話します。

収益構造は、中古のマンションや戸建てを安く仕入れ、300万〜500万程度のリノベーションを行って、売値の7割〜8割に設定しています。

実住物件の場合は、仕入する不動産業者が、その物件の相場から逆算してマンションや戸建の購入を行います。

そのため、相場から大きく離れていることは少ないので、不動産業者のマージンは乗っていますが、大きく損することはありません

不動産業者が売主の物件:収益物件は要注意

仲介手数料不要の売主業者の物件を購入する場合、実住物件はそこまで気にすることはありませんが、収益物件の場合は注意が必要です。

新築ワンルームマンションの場合は、やはりプレミアム価格ということで3〜4割のマージンが乗っていますので、購入後数年経てば価格が下がるリスクがあります

どの程度下がるかシミュレーションした上で、購入を検討する必要があります。

新築アパートなら部屋数を増やして利回りを上げる

新築アパートの場合は、部屋数を増やせば利回りを上げることができます。

例えば、首都圏の場合だと、狭くても需要があるので、12平方メートルの部屋も結構あります

2階建アパートを企画して、120平方メートルの部屋を作れるとすると、6室だと20平方メートルですが、10室だと12平方メートルです。

家賃はどうかということ、20平方メートルで6万円ならば、12平方メートルでは6割の3.6万とはなりません。

実際は、12平方メートルでも家賃5万程度と、それほど下がりません。

入ってくる収入は、

・ 20平方メートルは6室で月額36万

・ 12平方メートルは10室で月額50万

と、部屋数が増えれば利回りは上がります。

狭い新築ワンルーム

物件としての価値を分析した上で購入する

しかし、これは新築時の話で、将来的な空室率や家賃の下落率は大きく変わってきます。

いくら購入時に安く買えても、収益がどんどん減るような物件であれば、将来的に運営に困ったり、売却時の価格が大きく下がります。

仲介会社が入っていれば、購入する物件をある程度分析してくれますが、自分で購入する場合は自分でシミュレーションなどして購入しないといけません。

そのため高額な新築アパートは、物件を見極める力がない人は、購入をやめておいた方が良いと思います。

売主業者から物件を購入することは、仲介手数料がいらないというメリットはありますが、物件を見極める力がないと失敗するリスクがあることをしっかりと理解した上で購入を検討してください。(執筆者:宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター 山口 智也)