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年金だけで老後は足りる?65歳以上夫婦の家計は月4.2万円赤字

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年金だけで老後は足りる?65歳以上夫婦の家計は月4.2万円赤字
年金だけで老後は足りる?65歳以上夫婦の家計は月4.2万円赤字

夏のボーナスが入って少しほっとする一方で、この先の老後資金は足りるのかと気になる方も多いのではないでしょうか。長寿化が進む中、退職後の生活が20年、30年と続く可能性を考えて資金計画を立てる必要があります。年金や退職金だけに頼ろうとすると、心細く感じる場面も出てきます。この記事では、老後にかかるお金の目安と、あわてず備えるための考え方を家計目線で整理します。

「人生100年時代」とは何か

「人生100年時代」は、ロンドン・ビジネス・スクール教授のリンダ・グラットン氏らが著書「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)」で示した考え方です。厚生労働省は、人生100年時代構想会議中間報告を引用し、ある海外の研究では2007年に日本で生まれた子供の半数が107歳より長く生きると推計されていると紹介しています。長寿化を前提に人生の設計を見直す必要がある、という考え方です。

日本でも関心は高く、2017年9月には「人生100年時代構想会議」が設置され、教育や働き方をめぐる議論が重ねられました。長生きそのものは喜ばしいことですが、暮らす期間が延びるぶん、退職後の生活を支えるお金をどう用意するかという課題も大きくなります。

教育と働き方に起きる変化

長い人生を前提にすると、学び方や働き方も一度きりでは足りなくなります。ここで注目されているのが、社会に出たあとも必要なタイミングで学び直す「リカレント教育」です。文部科学省は、社会人の学びを応援するポータルサイト「マナパス」を運営し、講座や支援制度に関する情報をまとめて探せるようにしています。

働き方も、これまでの「教育・仕事・老後」という3つの段階を順番に進む形から、学びと仕事を行き来する柔軟な生き方へと変わりつつあります。定年後も働き続ける人は増えており、収入を得る期間を延ばすことは、老後資金への備えにもつながります。

老後の暮らしに毎月かかるお金

老後の暮らしに不安を感じる人は少なくありません。とくに気になるのが、年金だけで毎月の生活費をまかなえるのかという点です。実際の家計を、総務省「家計調査」(2025年)で見てみましょう。

65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、毎月の実収入が254,395円、税や社会保険料を差し引いた可処分所得が221,544円です。これに対して消費支出は263,979円で、可処分所得から消費支出を引くと毎月およそ4.2万円が足りない計算になります。65歳以上の単身無職世帯でも、可処分所得118,465円に対して消費支出は148,445円で、毎月およそ3万円が不足しています。

年金だけで老後は足りる?65歳以上夫婦の家計は月4.2万円赤字

※総務省「家計調査」2025年(令和7年)平均。金額は世帯の平均値で、収入や支出は世帯ごとに大きく異なります。

かつて話題になった「老後2,000万円」という数字も、こうした不足額から示されたものです。金融審議会の報告書「高齢社会における資産形成・管理」(2019年)が、当時の統計をもとに毎月の不足額を約5万円とし、20~30年で約1,300万~2,000万円が必要になると試算しました。ただし報告書自身が、これは平均から導いた目安で、不足しない場合もありうると断っています。実際の不足額は世帯ごとに大きく異なるため、金額をそのまま当てはめず、自分の家計に置き換えて考えることが大切です。

老後資金に備える資産形成の基本

不足しそうなお金は、早めに少しずつ備えておくと負担が軽くなります。資産形成でよく挙げられるのが、「長期」「分散」「積み立て」という3つの考え方です。長い期間をかけて、投資先や時期を分けながら、一定額を続けて積み立てていく進め方で、値動きの影響をならしやすいとされています。

国の税制優遇制度を使う方法もあります。NISAは、投資で得た利益が非課税になる制度です。2024年からは口座を開設できる期間が恒久化され、非課税で保有できる期間も無期限になりました。年間の投資枠はつみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円の合計360万円、生涯で使える非課税の保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)です。iDeCo(個人型確定拠出年金)は、掛金を積み立てて自分で運用し、老後に受け取る私的年金の制度で、国民年金基金連合会が実施機関となっています。どちらも目的や使い方が異なるため、暮らしや目的に合わせて選ぶとよいでしょう。

資産形成で気をつけたいこと

備えを始めるときは、いくつか注意したい点があります。まず、貯蓄や退職金のすべてを金融商品に回さないことです。生活費や急な出費に備えるお金は手元に残し、当面使う予定のない余裕資金の範囲で始めるのが基本になります。

もう一つは、相場下落だけを理由に慌てて売買するのではなく、使う時期、必要額、リスク許容度をあらためて確認することです。値動きは一時的なもので、長い目で見て続けることに意味があるとされています。短期の上下に一喜一憂せず、無理のない金額で淡々と続ける姿勢が大切です。判断に迷うときは、金融機関の相談窓口や専門家に、制度の内容を確認しながら進めると安心です。

早めの準備が、長い老後の安心につながる

人生100年時代は、退職後の暮らしがこれまでより長く続く時代です。年金や退職金だけに頼ると心細い場面もありますが、家計調査平均の不足額だけで判断せず、自分の年金見込額と生活費から必要額を計算することが重要です。長く働くこと、学び直すこと、そして無理のない範囲で早めに備えを始めること。この積み重ねが、長い老後の安心につながります。夏のボーナスで家計に少し余裕が出るこの時期に、まずは毎月の収入と支出を見直すところから始めてみてください。

《編集部》
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