今年も個人事業主の方にとっては、確定申告のシーズンがやってきました。

今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、申告期間が4月15日まで通常よりも1か月延長されます。

しかし確定申告会場への入場には「入場整理券」が必要となり、申告書の提出のみの方でも提出に時間がかかる可能性があります。

そして、毎年、あまり大きく話題にはなりませんが、一部の方にとっては提出期限が3月15日までのものがあります

それは、「青色申告承認申請手続」です。

毎年、白色申告で提出されている方は、今こそ青色申告を検討されてみませんか。

青色申告してみませんか

白色申告と青色申告の違い

確定申告も含めて、白色申告の方がシンプルで手間がかかりません。

具体的には、白色申告では「確定申告書B」、「各種控除関係の書類」、「源泉徴収票」の他に「収支内訳書」が必要になります。

一見、青色申告の場合と同じように思えるかもしれませんが、白色申告の「収支内訳書」は、売上・仕入や経費、その年の所得金額を記入する程度で青色申告ほど複雑ではありません。

また、記帳方法も1つ1つの取引ごとではなく日々の合計金額をまとめて記載するなど、簡易な方法で問題ありません。

ただし、白色申告の場合でも記帳の義務と保存義務はあります

次に青色申告ですが、確定申告では、「確定申告書B」、「各種控除関係の書類」、「源泉徴収票」の他に「青色申告決算書」が必要になります。

白色申告との違いは「青色申告決算書」で、貸借対照表などの記載も必要で複雑かもしれません。

また、記帳方法も簡易帳簿でも可能ですが、原則、複式簿記の方法が必要になります。

もし、「青色申告決算書」と「複式簿記での記帳」の2つの壁がクリアできれば、青色申告での申請も可能になる訳です。

青色申告の主なメリット

では、「青色申告決算書」と「複式簿記での記帳」の2つの壁をクリアするメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

下記の項目は青色申告者のみの特典で白色申告者にはありません

主なメリットを記載します。

(1) 青色申告特別控除

不動産所得や事業所得がある場合、複式簿記にて記帳を行い、貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付して法定申告期限内に提出すると電子申告の場合は65万円、申告書(紙)での提出の場合は55万円の控除ができる。(それ以外の場合は最高10万円の控除)

(2) 純損失の繰越し

事業所得などに損失が発生し、他の所得と損益通算を行っても損失金額が発生する場合には、その損失額を翌年以後3年間繰り越すことができる

(3) 青色事業専従者給与

生計を一にしている配偶者や親族のうち、年齢が15歳以上で、かつその事業にもっぱら従事している人に支払った給与は、事前に提出した届出書に記載された金額の範囲内で必要経費に算入できる

(1) と(3) のメリットは総所得金額の減少につながります。

この総所得金額の減少は所得税だけでなく住民税の税額にも関わってきます

それだけでなく、個人事業主の場合で国民健康保険に加入している場合の国民健康保険料は総所得金額も決定要因のうちの1つですので、保険料の低下にもつながります

そして、(2) は、もしその年に赤字が発生しても翌年以降に黒字になることで、その赤字を相殺できます。

これも、所得税・住民税の税額以外にも国民健康保険料の低下にもつながります。

会計ソフトを利用することで貸借対照表や複式簿記は簡単にできる

会計ソフトを使ってみよう

ここまでの白色申告や青色申告の違い、青色申告のメリットについてご存じだった方も多いでしょう。

一方で「面倒くさい」「簿記に関する知識がなくやり方が分からない」などの意見も多く聞きます。

それらの意見は「会計ソフト」を利用することで解決できます。

市販の会計ソフトも高価なものもありますが、3~4万円で販売されているもので十分な場合が多いです。

毎年、年度ごとに買い換えている方もおられますが、消費税の増税などよほど大きな税制の変更がない限り、買い換えずにそのまま利用している方もおられます。

複式簿記に関する入力ですが、簿記で登場する「借方・貸方」をあまり理解していなくても大丈夫です。

簿記3級の資格取得も必要ありません。

例えば、売上高10万円があり、それを現金で受け取ったとしましょう。

売上高は貸方、現金は借方にそれぞれ該当しますが、複雑です。

会計ソフトでは、総勘定元帳の「売上高」を選択し、「相手勘定科目」の項目は現金を選択する。

そして、金額の10万円を入力すればOKです。

売上の10万円を貸方と借方の「どちらかに入力するのか」については間違えて入力した場合、売上高合計額が-10万円と表記されますので、間違いに気づくと思います

そこで修正すればそれだけで複式簿記での記帳が完了します。

会計ソフトでは、取引を入力する際に、

「お金が動いた項目は何か」

「合計額が増えるのか、または減るのか」

を理解していれば大丈夫です。

そして、「青色申告決算書」一式も会計ソフトの方で自動計算してくれ、原則、そのままプリントアウトすることで提出することも可能ですので、手間はかかりません。

青色申告の承認申請手続期限とは

今まで白色申告であった人が新たに青色申告の申請をする場合は、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を納税地(住所地)の税務署(所轄税務署長)に提出します。

手続きの手数料も発生しませんし郵送でも可能です。

ただし、確定申告時期と重なるので、「忘れていた」や「時間がなかった」は避けたいです。

なお、新規開業した場合(その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合)には、業務を開始した日から2か月以内に「青色申告承認申請書」を納税地(住所地)の税務署(所轄税務署長)に提出します。

会計ソフトを利用しても、それでも最初は慣れるまで手間がかかるかもしれません。

しかし、そのことで、節税と国民健康保険料の削減の2つのメリットがあり、慣れてくるとそのメリットは継続します。

白色申告の方はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。(執筆者:CFP、FP技能士1級 岡田 佳久)