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燃料費調整単価の「上限撤廃」で電気代がさらに高騰 対策や注意点について解説

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燃料費調整単価の「上限撤廃」で電気代がさらに高騰 対策や注意点について解説

2022年後半から大手電力会社が次々と燃料費調整単価の上限撤廃を発表。

すでに上限撤廃が実施されて電気代が上がっている家庭も多いでしょう。

そこでこの記事では、電気代高騰を加速させる「燃料費調整単価の上限撤廃」について詳しく解説。

上限撤廃でどれくらい電気代が上がるかの検証や、電気代高騰を抑える対策についてもお伝えします。

燃料費調整単価の上限撤廃

「燃料費調整単価の上限撤廃」 とは何か?

「燃料費調整単価の上限撤廃とは何か?」について説明します。

燃料費調整単価の上限撤廃

「燃料費調整単価」とは?

「燃料費調整単価」は、電気の燃料(石油、LNG、石炭など)価格の3か月平均値(平均燃料価格)をもとに算定する燃料の単価であり、電気代の計算に用いられます。

従来は国の制度で燃料費高騰による家計への負担が軽減されていたが…

燃料費の高騰が直に反映されると電気代が急騰し、契約者の大きな負担となります。

その負担軽減を目的とする国の「燃料費調整制度」があり、一定の条件を満たす電力プランにおいては燃料費調整単価に上限額が設けられています

従来、家庭向け電力プランの多くはその対象でした。

しかし、今は世界的な燃料費の高騰で電力供給が厳しくなっているため、電力会社が次々と燃料費調整単価上限額の適用範囲を縮小。

多くの電力プランにおいて燃料費調整単価の上限が撤廃されています

上限額撤廃電力プランの多くは「基本契約要綱(低圧)」適用プラン

上限額撤廃電力プランの多くは「基本契約要綱(低圧)」適用プラン

≪執筆者撮影≫

出典:中部電力ミライズ「電気料金に関するお知らせ」(契約者向け郵送文書)

燃料費調整単価の上限が撤廃された電力プランの多くは、特定小売供給約款適用プラン(従量電灯Bなど)以外の電力プラン(基本契約要綱適用プラン)です。

たとえば中部電力では以下のプランが該当します。

上限額撤廃対象プラン

≪執筆者撮影≫

ポイントプラン、おとくプラン、とくとくプラン、スマートライフプラン、スマートライフプラン(朝とく・夜とく)、スマートライフforスマートエアーズなど、全20プラン

出典:中部電力ミライズ「電気料金に関するお知らせ」(契約者向け郵送文書)

※電力会社によって対象となるプランは異なります

このような電力プランでは、燃料費調整単価の上限撤廃で各家庭の電気代が急騰する恐れが出てきました

それを防ぐためには、まだ上限が撤廃されていない従量電灯Bプラン等への変更が視野に入ってきます。


【筆者検証】燃料費調整単価の上限撤廃でいくら電気代が上がるか?

契約プランの変更を決める上で最も重要な判断材料は、「上限額撤廃後に電気代がいくら上がるか?」です。

それを知れば変更の是非やタイミングを計りやすくなります。

ここではわが家が契約している中部電力を例に、上限撤廃後の電気代の変化について説明します。

中部電力では上限撤廃後の燃料費調整単価が撤廃前の2倍以上に!

中部電力では上限額撤廃後の2022年12月以降の燃料費調整単価は撤廃前の2倍以上になっています。

2022年11月2022年12月2023年1月
5.36円/kWh11.04円/kWh12.3円/kWh

ただ、この数字だけでは具体的にいくら電気代が上がるかわかりません。

そこで、一例として現在「おとくプラン」(基本契約要綱適用)で契約中のわが家の電気代について、電気代がどの程度調べてみました。

「カテエネ」で上限額撤廃前後の我が家の電気代をチェック

中部電力の「カテエネ」サイトには、「おとくプラン」など「基本契約要綱適用の月の電気代と「従量電灯B」との比較で電気代の差額を算出できるシミュレーションページがあります。

そこで、2022年にわが家で最も電気を使った月と使わなかった月について、燃料費調整単価上限廃止前後の「おとくプラン」と「従量料金B」の電気代の差額を算出してみました。

消費電力量最大月(413kWh)

2022年11月2022年12月2023年1月
電気料金差額-211円2,135円2,656円

このケースでは上限撤廃後は1か月で約2,100~2,700円電気代が上がります

消費電力量最小月(242kWh)

2022年11月2022年12月2023年1月
電気料金差額-187円1,188円1,493円

こちらのケースでは消費電力量が小さいものの、1か月で約1,200~1,500円電気代が高くなります

以上の結果、我が家の場合は従量電灯Bにプラン変更した方がよいとの結論が出ました。

参照:中部電力ミライズ「燃料費調整制度の変更に伴う電気料金シミュレーション」

注意!従量プラン等への変更で損をするケースもある

ただ、それだけを理由に燃料費調整単価の上限があるプランに変更すると損をするケースもあるので注意が必要です。

たとえば、中部電力は基本契約要綱適用プランから従量電灯B等のプランにに変更すると以下のサービスが利用できなくなります。


・毎月の電気料金からの割引、毎月の電気料金支払額に応じたカテエネポイントの付与(税込200円あたり1ポイント)

・カテエネポイントの電気料金への充当(100ポイント単位)

・ガスセット割引・家族ポイント割引

・for APプラン、CO2フリーメニュー、暮らしサポートセット

・再生可能エネルギーの固定価格買取制度による買取期間満了後にご加入いただける一部の買取メニュー

引用元:中部電力ミライズ「電気料金に関するお知らせ」(郵送文書)

たとえば、「ガスセット割引」の契約者はガス代が高騰する恐れがあるので、契約プランの変更には慎重な判断が必要です。

ただ、以上に該当しない場合は今すぐ従量電灯B等に変更しても差支えなさそうです。

上限撤廃で電気代が千円単位で上がることを考えると、多少ポイントで損をしても契約プランを変更した方がよいかもしれません。

燃料費調整単価の動きを見ながらプラン変更のタイミングを計るのもあり?

そうはいっても、「今後燃料費調整単価が下がるかも」などの理由からしばらく様子を見たい家庭もあるでしょう。

実際、2023年2月の燃料費調整単価は1月より大きく下がっており、今後さらに下がる可能性もあります。

その場合はあわててプラン変更をせず、燃料費調整単価の動きを見てから決断してもよさそうです。

参照:中部電力ミライズ

どの契約プランでも節電による電気代節約は必須

現在「従量電灯B」などのプランは、燃料調調整単価の上限設定により電気代が抑えられています。

ただ、最近は燃料費単価上限がある電力プランの電気代も値上げされるとの報道も出ており、どの契約プランでも電気代が大きく上がる可能性が出てきました

そのため、どの契約プランでも節電による電気代節約は必須となります。

「電灯をこまめに消す」

「エアコンを最も電気代がかからない方法で使う」

「省エネ家電に切り替える」

など、地道にわが家の消費電力量を下げる努力が不可欠です。

電気代の高騰が家計に及ぼす悪影響を抑えるには、もはやその方法しかないと言っても過言ではないでしょう。(執筆者:元銀行員 FP2級 大岩 楓)

《大岩 楓》
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大岩 楓

執筆者:元銀行員 FP2級 大岩 楓 大岩 楓

元銀行員にしてベテラン主婦のフリーライターです。クレジットカードや節約記事などの執筆のほか、既成記事の校閲も行っています。50代になった現在、最大の関心事はずばり「老後のお金」今後のマネープランについて真剣に考え始めました。そこで自らの勉強も兼ね、銀行員時代に培った金融知識と25年以上の家計管理経験をベースにお金に関するさまざまな事柄について深堀りしていきます。 <保有資格> FP2級 寄稿者にメッセージを送る

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