ソニー銀行がセット定期の特別金利キャンペーンを行っています。
外貨定期預金とのセットで、円定期(3か月)が最大30.01%です。
近年よく見る定期預金とは桁が違う金利に驚きますが、落ち着いて中身をチェックしていきましょう。
いったいいくらの利息が受け取れるのか、シミュレーションをしてみました。
外貨の動きや注意点とともに解説します。
目次
キャンペーン内容
≪画像元:ソニー銀行株式会社≫
2023年1月4日(水)~2023年3月31日(金) | |
対象商品 | 期間中に預け入れとなる通貨米ドル、期間3カ月のセット定期 |
金利 | セット25:円定期適用金利 年3.34%(税引後2.661%) セット50:円定期適用金利 年10.01%(税引後7.976%) セット75:円定期適用金利 年30.01%(税引後 23.913%) |
最低申込金額 | セット25:40万円 セット50,セット75:20万円 |
その他 | 募集総額500億円に達した場合、キャンペーンを終了します。 |
≪画像元:ソニー銀行株式会社≫
円の定期預金と、米ドルの定期預金をセットで作ると特別金利が適用されるキャンペーンです。
米ドルと円の割合によって円定期預金の金利が異なり、米ドルの割合が大きくなるほど金利も高くなる仕組み。
全3種類のうち、資金の75%を米ドル定期に振り分ける「セット75」で、円定期預金3か月が最大の30.01%です。
注意をするポイントはどこ?
円定期に適用される金利の高さに目を奪われてしまいますが、注意しておく点がいくつかあります。
ポイント1:外貨定期預金は値動きがある
円定期預金に預けるお金は、元本が守られています。
預金保険の対象なので、ソニー銀行に預けるその他の普通預金や定期預金などと合算して1,000万円とその利息までは保護されています。
しかし、外貨定期預金に預けるお金は値が動きます。
- 預けたときよりも円高が進む → 円に戻したときに減る可能性
- 預けたときよりも円安が進む → 円に戻りたときに増える可能性
≪画像元:GoogleFinance≫
上の図は、直近5年の円とドルの関係を表したものです(2023年1月16日現在)。
グラフの赤い線の頂点は、2022年10月20日に約32年ぶりに1ドル150円台まで円安が進んだときを表しています。
それ以降は円高に値が動き、執筆時点(2023年1月16日現在)では1ドル128円です。
米ドルの定期預金に預けたときよりも、大きく円高が進んだとき(上のグラフで赤い線が下降する)に円にもどすと、利息を多くもらっても損をすることがあります。
ドル円相場が大きく変わらないか、円安方向に向かっているとき(上のグラフで赤い線が上昇する)に円にもどせば、利息以上に増えることがあります。
ポイント2:3か月の定期預金なので、利息計算に注意
提示されている金利は、1年間の金利です。
たとえばセット50を利用して円定期を50万円作ったとき、金利が約10%なので5万円の利息を受け取れるわけではありません。
3か月は1年の4分の1ですから、受け取れるのも5万円の4分の1で約1万2,500円です。
後程、シミュレーションで詳しく説明します。
ポイント3:為替手数料に注意
日本円から米ドル預金を作るときと、米ドル預金から日本円にもどすとき、通貨を変換するための手数料がかかります。
ソニー銀行の基準手数料は、1米ドルあたり15銭です。
参照:ソニー銀行外貨預金
ちょうど今回のキャンペーンと同じタイミングで、外貨購入の為替コスト0円キャンペーンも行われているので、円から米ドルに交換する際の手数料はかからずに利用できます。
≪画像元:ソニー銀行株式会社≫
- 対象期間:2023年1月4日(水)午前0:00~2023年3月31日(金)午後11:59
- 対象:円から預け入れの外貨預金 全通貨
シミュレーションしてみよう
実際に100万円でこのキャンペーンを利用したらどうなるのか、試算してみましょう。
ソニー銀行のセット定期かんたんシミュレーションを使って、いくつかのパターンを見てみました。
すべて、1月16日現在の為替レート(1米ドルが128円)で計算しています(為替コストについての計算は省きます)。
【セット25】のシミュレーション:外貨預金の割合が少ないセット
≪画像元:ソニー銀行株式会社≫
100万円のうち、
- 75万円は3か月の円定期で、税引き後の利息が4,921円
- 25万円は3か月の米ドル定期で運用
1ドルが128円のとき(1月16日時点)、25万円を米ドルに換えると約1,953ドル。
年利3%で、3か月後の税引き後利息は11.47ドルと試算が出ました。
約1,953ドルに利息の11.47ドルを足すと、約1964.47ドルです。
円高が進んでいた場合、同じだった場合、円安が進んでいた場合の円換算額を試算してみます。
10円の円高になっていた場合(1ドルが118円) 円に換金すると約23万1,807円
計算式:1964.47×118=約23万1,807
25万円ではじめた分が、約23万1,807円となり、約1万8,193円減ります。
円定期と米ドル定期でついた利息分よりもマイナスが大きくなる計算です。
同じだった場合(1ドルが128円) 円に換金すると約25万1,452円
計算式:1964.47×128=約25万1,452
米ドル定期に預けた分も、1,452円分増えます。
10円の円安になっていた場合(1ドルが138円) 円に換金すると27万1,096円
計算式:1964.47×138=約27万1,096
2万円以上の利益になります。
【セット50】のシミュレーション:円定期と米ドル定期に半分ずつ資金を振り分けるセット
≪画像元:ソニー銀行株式会社≫。
50万円分の円定期で受け取れる3か月後の利息は、9,833円。
セット25の約2倍の利息が受け取れます。
50万円相当(約3,906ドル)の米ドル定期で受け取れる3か月後の利息は22.92ドル。
元金と利息合わせて約3928.92ドルを円に換金したとき、為替の動きによってどうなるか試算してみます。
10円の円高になっていた場合(1ドルが118円) 円に換金すると約46万3,612円
計算式:3928.92×118=約46万3,612
50万円相当で運用したものが約46万3,612円になります。
円定期で受け取った利息と合わせても、約2万5,000円の損失です。
同じだった場合(1ドルが128円) 円に換金すると約50万2,901円
計算式:3928.92×128=約50万2,901
米ドルに預けた分も、約2,901円増えます。
10円の円安になっていた場合(1ドルが138円) 円に換金すると約54万2,190円
計算式:3928.92×138=約54万2,190
米ドル定期預金の分で約4万2,190円増えます。
円定期の利息も含めると、5万円以上の利益です。
【セット75】のシミュレーション:4分の3を米ドル定期に預ける積極的なセット
≪画像元:ソニー銀行株式会社≫
25万円分の円定期で3か月後に受け取れる利息は、1万4,740円です。
セット25の約3倍の利息が受け取れます。
75万円相当(約5,859ドル)の米ドル定期で3か月後に受け取れる利息は、34.38ドル。
元金の約5,859ドルと合わせて、約5893.38ドルを円に換金するシミュレーションをしました。
10円の円高になっていた場合(1ドルが118円) 円に換金すると約69万5,418円
計算式:5893.38×118=約69万5,418
75万円相当分が69万5418円になるので、約5万4,582円分の損失です。
円定期で受け取る利息を合わせて考えると、約3万9,842円の損失です。
同じだった場合(1ドルが128円) 円に換金すると約75万4,352円
計算式:5893.38×128=約754,352
米ドルに預けた分で、約4,352円増えます。
10円の円安になっていた場合(1ドルが138円) 円に換金すると約81万3,286円
計算式:5893.38×138=約813,286
米ドルに預けた75万円相当が約81万3,286円になり、約6万3,286円増えます。
円定期で受け取る利息と合わせると、約7万8,026円の利益です。
損失を少なくするためにできること
高金利でも、米ドル定期の部分は円高が進むと損失になる場合があることがシミュレーションでわかりました。
可能性をゼロにはできませんが、少しでも損失を少なくするためにできることがあります。
預け入れのタイミングを見極める
キャンペーン期間中にまだ円高が進むのではないかと予想するならば、なるべく預け入れのタイミングを遅くします。
預け入れるときはより円高を狙い、換金するときはより円安を狙ってください。
米ドル定期預金の満期がきても円に換金しない
米ドル定期預金が満期を迎えたとき、預け入れた時よりも円高が進んでいて損をするなと思ったら、円に換金せずそのまま米ドル預金で持っておきます。
その後、円安になったタイミングで円にもどしてください。
高金利のキャンペーンでも、試算をしてから利用しよう
しっかりとシミュレーションをすることで、どれくらい値動きの幅があるのかが具体的にわかります。
ソニー銀行は数字を入れるだけでシミュレーションができる仕組みが整っているので、積極的に試算してみてください。
- 外貨の値動き
- 利息計算(1年ではなく3か月)
- 手数料
に注意して、高金利のキャンペーンでお得を享受してください。(執筆者:元銀行員、FP2級 福島 怜実)