2月・3月は個人事業等の確定申告や決算などで悩む方も多いのではないでしょうか。そこで、今からでも十分に間に合う節税について少しだけお話ししたいと思います。
私自身にも言えますが、日々の業務に追われ決算時期になって納税額が予想よりも多くなっていて心配になった経験はありませんか。
例えば、「今期は、赤字が回避できたなぁー」と思ったものの、納税する額が多くなっていた・・納税は、国民の義務でありますから適切に収めるのは当然ではあるものの、経費節減して設備投資も我慢して経営されていた方にとっては悲しい状況とも言えます。
色々な方の相談をお伺いしていると、社長≒経営者が多く、売上げを上げる努力はするものの経理や税金に詳しくない方が以外と多いのだと感じます。経営者としては、税金・経理が得意な社員を確保してほしいものの、優秀な人材を確保したり、経営コンサルタントを導入したりする余裕は小さな会社には荷が重いのが現状なのではないでしょうか。
ランニングコストを考えれば、社員にFPの資格や簿記の資格を取得させる。専属のFPと契約するやり方もありますが、即効性のある対策を今回は、ご紹介します。
青色申告者に対しての貸倒引当金の活用
1つ目は、青色申告者に対しての貸倒引当金の活用です。節税の方法としては、一度きりの方法ではありますが、貸し倒れリスクを補填することを目的に、債務の一定の割合を経費として計上するやり方です。
事業を営んでいると売掛金や貸付金などの債権「人に対して借金を回収する権利」が生まれます。そこで、回収できなくなったら困るので「貸倒損失」として必要経費に計上するやり方です。計算方法は、簡単に示すと以下の通りです。
貸倒引当金の見積額 = 売上債権(売掛金や受取手形など)の期末残高 × 設定率
但し、貸付金については、個人事業主の方は注意が必要です。個人事業≒経営者の場合、資金の貸付先がどこか「きちんと説明できるようにしなければならない。」事業に対しての貸付であれば良いのですが、個人的な貸付は認められない為です。貸付した相手先をきちんと説明できるよう借用書などを交わしておくことをお勧めします。
もっと細かい話をすると、法人税法上は、(a) 個別評価金銭債権に係る貸倒引当金と (b) 一括評価金銭債権に係る貸倒引当金に区別し、貸倒引当金の対象となる債権の範囲および繰入限度額の算定方法を規定しており、個別評価金銭債権に係る繰入限度額もあるので、個別案件については、税理士へ相談することになります。
前払いで節税
2つ目は、前払いで節税です。事務所家賃・火災保険料を1年分まとめて先払いする方法です。期末前であれば、一気にこれらの経費計上できますので、比較的簡単な方法といえます。消耗品を購入していく節税方法も一般的な方法ではありますが、無駄な消耗品を購入しても経費負担や在庫が増えてしまうだけで節約したい経営者にとっては頭の痛い話です。
どうせ支払うのであれば、経費勘定には、1年前払いしても経費として認めてもらえる項目があるのでそれを使うのです。それが、家賃・火災保険料・信用保証料などです。
但し、条件があります。
・1年分の経費であることです。2年分払っても1年分しか認めてもらえません。 ・一度この処理をするとその後も、年度末に同じ経理処理が必要になることです。
この2例は、緊急的な処置ですので、1度しか効果を発揮しないものです。その他にも不良債権を処理するなど色々な対策がありますが、ほんの少しだけ書かせていただきました。
結論からすると、日頃きちんと管理して、適切に記帳していれば慌てることもなく、納税する金額も用意できるものです。記帳も申告も税理士に丸投げしていると、後から税理士から納税予定額を聞いてビックリした多額の納税をされた経営者の方もおりました。数字に強い経営者を目指すことも経営者としての試練であるのです。