金融機関でお金を育てる方法というのは、現在のところ証券か保険しかありません。銀行金利をみてもわかるように、ほとんど利息はつかないですよね。今の銀行は、1年以内に利用するお金を保管しておくところです。ですから、今月からNISAが始まりましたので、注目している方も多いのではないでしょうか。
NISAとは、イギリスで始まった少額投資非課税制度の日本版です。日本版というだけに、本家イギリスとは異なっていますが、『1年間に100万円の枠で期間は5年間、投資して得た利益に対して税金はかからない』というもので、口座開設が5年間ですから、最大10年間運用できるという、いわば、国による『投資推進お試し期間制度』です。
NISAに向いている投資スタイル
雑誌・ネット・金融機関など、いろんなところで特集が組まれていますので、すでに『おなかいっぱい』ではないでしょうか? 『高配当を狙え!』とか、『いやいや安全なものを!』とか言われていますが、『実際のところどうなのよ?』と思いませんか?
投資をするスタンスはいろいろあって良いと思うのですが、ことNISAに関しては100万円分購入して50万円分売却したから追加で50万円…という使い方はできません。累計でみますから、デイトレなどの激しい売買には向かないですね。ということは、じっくり育てる感じの投資が向いているといえます。
・好きな企業を応援する
・株主優待めあて
といったあたりが、長めに株式を保有する理由になりえるでしょうか。
NISAで購入できるのは、今のところ株式と投資信託に限られています。投資信託は月5,000円からでも始められる手軽な投資方法です。10年や20年といった時間を味方につけた長期運用により、ファンドマネージャーの指図のもと資産形成をしようという方法です。ですから、NISAの期間は短期すぎるのではないかといえます。
またNISAは収益に対して課税されませんが、損失を出しても通常の口座のように損益通算などが出来ません。ですから、本当にこれまで投資したことのない人に『投資とは何か』をお試しをしてもらうの、『収益非課税』で国をあげた証券購入の勧誘をしている、と見ることが出来るのです。
そういったことを念頭に、興味のある人には『小さなお金で投資を体験するキッカケ』として、自分が投資に対してどのように接することが出来るのか、チャレンジしてみるにはいいのではないでしょうか。
どれくらい興味を持って取り組めるかによって変わる投資対象
いかに自分自身が興味を持って取り組めるかによって、投資のスタイルが変わってきます。でも、投資をするからには一般の新聞を読んでいてはダメで、経済新聞や、投資先の業界新聞など、を読むなどする努力が必要だと思います。情報収集と分析をせずにしての証券会社の営業マンと相談するのは好ましくないと思います。
また、雑誌ですと「スポンサー誘導」、「読者の同調行動」で期待する結果が得られないことも考えられますので、参考程度がちょうど良いかもしれませんね。
自分から進んで取り組めるなら株式を、あまり取り組む余裕がなければ投資信託を、どうしても投資に全く興味がなければ保険の活用も一つの手、となるかと思います。
なにがなんでもNISAという前に、自分がどれだけ興味を持って取り組み、関わっていけるかが肝心ですね。ほったらかしに出来ないのが証券ですから。金融機関を上手に使いこなしましょう。(執筆者:池田 弘司)