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介護保険を利用したらなんでも安くなる?

介護保険を使ってサービスを利用すると、保険が効いて1割~3割負担で済みますので、自費であれこれ行うよりも安くなります。
ホームヘルパーやデイサービスも実費になるとかなり高額ですが、保険が適応されますと利用しやすい料金設定になります。
また、自宅に手すりを付けるなどの住宅改修や、ポータブルトイレなどの購入ができる福祉用具購入の場合も、自己負担は大変お安くなります。
このような事情もあり、
と勘違いされている方が多いように思います。
費用を浮かせることができると踏んで、実際そうではないといろいろと計算が狂ってしまうと思います。
よくある勘違いをQ&Aでお答えします。
Q1:特別養護老人ホームは「安い」?
在宅生活が難しくなり施設を検討されたとき、「特別養護老人ホームは安いからそこに入りたい」と言われますが、必ずしもそうではありません。
特別養護老人ホームを含む介護保険施設がとてもお安いとされる理由は、収入に応じて食費や部屋代の減免があるためです。
減免を受けるために条件がある
年金などの収入額が少ない方は安くなりますが、課税世帯や預貯金が単身で1,000万円(夫婦で2,000万円)を越えている場合は減免の対象にはなりません。
減免が受けられない方の場合には、今主流であるユニット型の特別養護老人ホームなどは、手頃な有料老人ホームと変わらないか、もしくはそれより高くなってしまうこともあります。
費用が変わらないとなれば、長い間空き待ちをして入居する意味があまり感じられなかったりしますので、課税世帯の方は民間の施設も視野に入れて検討されることをお勧めします。
Q2:ヘルパーさんに「安く」病院に連れて行ってもらえる?

訪問介護のヘルパーに病院に連れて行ってもらってほしい、と希望される方はとても多いのですが、通院介助の場合、普段のお掃除のようにすべてが保険で賄えるわけではありませんので「高く」ついてしまう場合があります。
訪問介護には生活援助と身体介護の2種類に分けられている中で、通院介助は「身体介護」にあたります。
そして、制度的に要支援の方の場合には、ヘルパーが通院介助を使うことはかなり難しいとお考え下さい。
要介護の方であれば、もちろんヘルパーに病院に連れて行ってもらうことは可能です。
注意しておきたいポイント
保険請求ができるのは身体介護が発生している時間のみという点です。
例えば、
・ 一緒に歩いている
・ 病院の中でトイレ介助している
・ 車イスを押している
といった様に、実際に介護している時間のみ保険が算定されます。
乗り物に乗って病院に向かっている時間やただ座って待っているだけの時間は算定ができません。
その時間は訪問介護事業所の定める自費サービスの料金を支払います。
こちらの自費サービスが意外と高額なので必ず事前にご確認しておきましょう。
一般的に1時間3,000円前後の料金設定が多いので、そうなりますと介護保険請求分と自費請求分を合わせて、「安い」とはいえないお値段になることが多いです。
Q3:介護タクシーは「安い」?

この勘違いもとても多いのですが、介護タクシーは介護保険で利用できるわけではありませんので、一般的なタクシーに比べると「高い」場合があります。
介護タクシーとは、一般のタクシーでは通院が難しいような方が、車イスごと乗り込めたりするようなタクシーのことを言います。
特殊な車を手配するので料金設定も一般のタクシーより割高になることが多いのですが、なぜか「要支援や要介護だと介護タクシーが安く利用できる」と思われている方がたくさんおられるようです。
介護保険の訪問介護の種類で、通院の時に車で送り迎えをする「通院等乗降介助」というサービスがありますが、実施している事業所が非常に少ないです。
要支援の方は利用できません。
なんでも安くはならない「介護保険」
介護を頑張ているご家族が「安くなると思っていたらそうじゃないのか!」と驚かれることの多い3つのことをご紹介しました。
介護保険の制度はややこしいので、何ができて何ができないのかはわかりにくいかですが、ついうっかり利用してから後悔する前に必ずかかる費用を確認しましょう。
介護保険が適応されて何もかもが安くなるわけではないことを少し意識しておくだけで、「まずはケアマネージャーに聞いてみよう」というお気持ちが持てるかと思います。
お困りのこと、こうしたいという希望をケアマネージャーに相談していただければ、なるべくお安く対処できる方法を見つけてくれるものです。(執筆者:佐々木 政子)