誰が言ったかは忘れてしまいました。
きっと有名な哲学者です。
「太陽」って言っているから、物理学者なのでしょうか。
私の頭の片隅に残っていたこの言葉がぱっと脳の中央で踊り始めたのには、理由があります。
それは、長期金利がほんのちょっと上昇したから。
今回はそれをきっかけに、住宅ローンの固定金利か変動金利か(期間固定金利か)という、よく耳にする問題に切り込んでみようと思います。
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目次
長期金利が「高止まり」しています
7月26日に0.1%を回復した新発10年国債利回り(長期金利)。
その後はどうなるかと眺めていましたが、どうやらこの0.1%前後の居心地が良いらしくて、ここ1か月間はこのあたりをウロウロしています。
その金利決定のメカニズムというか市場の温度については、私などよりももっとわかりやすく解説してくださる寄稿者の方がおられますから、それには触れません。
ここでは「マイナス金利」と言われていた長期金利が底を打ち、久々に上昇したと思ったらどうやらそれが安定しそうだということを問題にします。
なお「高止まり」という表現ですが、0.1%を高いとするかどうかは難しいです。
それについては後述します。
固定金利は変動金利よりも先に上がります
長期金利の上昇がなぜ問題なのかというと、一般的には長期金利は短期金利に先んじて上昇するからです。
そのため将来の景気観測が金利に反映される。
・短期金利:無担保コール翌日物(銀行どうしの、借入した翌日に返済する融資)の金利。
現在の景気がダイレクトに反映される。
将来の観測が含まれるから、長期金利のほうが先に上昇するのですね。
これは分かりやすい。
長期金利が上昇することは、後の短期金利の上昇を予感させます。
それでは長期金利と短期金利は、私たちの生活にどのような影響を与えるのでしょうか。
庶民に最も影響が大きいのは、住宅ローンでしょう。
というのも、住宅ローンの固定金利は長期金利と、変動金利は短期金利と連動しているからです。
実際に7月末以降の長期金利じわり上昇に合わせて、各銀行は住宅ローン商品の固定金利をじわり上昇させています。
そして、のちの変動金利の上昇が予想されます。
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変動金利は今後上昇する可能性が強まりました
このお話は、すでに固定金利で住宅ローンを契約されている方には関係ありません。
だって固定金利ですから、市場の金利が変わってもローン契約の金利も返済額も固定されたままです。
問題なのは、
なのです。
もしこの長期金利の「高止まり」が続けば、いずれ短期金利そして住宅ローンの変動金利が上昇していくことが十分に見込まれます。
さらに言えば、現在は約1年ぶりの0.1%台ということでニュースになっている長期金利ですが、実は10年前は約1.5%で、30年前の昭和63年には5%前後を行ったり来たりしていたのです。
(参考資料:財務省 過去の金利情報(昭和49年(1974年)~))
うん、0.1%は別に高くない。
もっと高くなって1%、もしかしたら5%を突破するかもしれません。
一方、現在の各金融機関が販売している住宅ローン商品を眺めてみると、固定金利と変動金利の差は1%弱となっています。
ということは、
だということになりますね。
また変動金利で契約された方は、これまでその金利差の恩恵を受けてきていますから、プラスマイナスが逆転するのは1%よりももっと上昇してからになります。
それで収まるかどうか。
まぁ、その判断が難しいところに落ち着くのが、市場なのですが。
そのリスクは、とって良いリスクですか?
ということで、損か得かを問題にするのであれば、
というのが正直なところです。
しかし私が言いたいところは、ちょっと損得からズレたところにある。
住宅ローンで損をしても受け容れられる人は、この損得というゲームに参加しても良いと思います。
だけどそうではない人は、たくさんおられるのではないでしょうか。
変動金利の住宅ローンでは金利が上昇すると、5年ごとに返済額は1.25倍という上限の範囲内で見直されます。
つまり、毎月8万円の住居費が10万円まで、12万円なら15万円まで膨らむ可能性があるということです。
その2万円3万円という支出増に家計が耐えられないとき、どんなことが起こるのでしょうか?
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・主婦(夫)のパートを増やす。
・外食を減らす。
・子どもたちの習い事を減らす。
・古着の利用を増やす。
・レジャーをランクダウンさせるか、減らす。
・マイカーをランクダウンさせるか、手放す。
などなど考えられますね。
しかし旦那様のおこづかいを減らせば、働くモチベーションが落ち、将来増えるはずだった収入が増えないかもしれません。
主婦がパートを増やせば、その分家事や育児がおろそかになり、家族が不健康になって将来の医療費などがかさむかもしれません。
子どもたちの習い事は、その子の将来に有用だと考えてさせていたはずです。
そう。いずれもその支出によって家族の生活が潤い、それは将来の収入増や支出減を支えていた、いわば投資や保障の側面があったものだと思うのです。
その縮小は、家族の将来まで連動して縮小させてしまい、スパイラル的に家族がますます貧しくなってしまうのではないでしょうか。
そのリスクは、毎月2万円3万円よりもはるかに大きい、とってはいけないリスクだと思います。
もし現在の家計が収支ギリギリのところを推移していて、十分な貯蓄がないのであれば、変動金利で住宅ローンを契約している人はなるべく早く固定金利に借り換えるべきです。(執筆者:徳田 仁美)